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INTERVIEW

Japanese

ONIGAWARA

2017年04月号掲載

ONIGAWARA

Member:斉藤 伸也(Vo/Gaya/Prog) 竹内サティフォ(Vo/Gt/Prog)

Interviewer:沖 さやこ

-ラストの「I don't wanna die」(Track.10)に込められた想いは、まさしくそれですよね。

竹内:そうですね、ノスタルジーのその先へ行きたかった。その曲はアルバムの制作過程で最後に作った曲なんです。真似してるだけでは超えられないし、近づくこともできない。芯の部分を強くしていかなきゃいけないと思ったんですよね。......今回は僕よりも斉藤の方が"1stフル・アルバムを作る"という意気込みがすごく強くて。"シングル以外できてる曲は入れたくない、全部イチから作りたい"というのは斉藤のこだわりでした。

斉藤:再録は『エビバディOK?』でやったので、まっさらなところからアルバム制作をしたかったんですよね。正月とか本当に大変で、自分で自分の首を絞めたなとも思うんですけど(笑)。アルバムのために作った曲でアルバムを作りました。

-シングルが3曲入っていて、そこにアルバムのための新曲が入ってできあがったという、とてもアルバムらしいアルバムで。そこは現代に残すべき90年代のノスタルジーだなと。「僕の恋人」(Track.4)はシングル曲にはならないけれど、いい曲という部類の曲だと思いますし。

斉藤:そうですよね、アルバムに入っているめっちゃいい曲。これはいい曲だなと思ったからイントロをなくして、いきなり歌い出す構成にしたんです。やっぱり、アルバム買ってアルバム曲がいい曲じゃないとがっかりするじゃないですか。アルバム曲はほとんどカップリング曲とか嫌じゃないですか? 椎名林檎さんがカップリング曲を(アルバムに)入れなかったり、入れてもアレンジをまったく変えていたりして、そういうところは真似したいんですよね。それがシングルを買ってくれた人への誠意だとも思うし。

-そうですね。アルバムでしかできない曲を入れることは大事だと思います。

斉藤:ずっとカルビ食べ続けるアルバムはちょっとつらいですよね。

竹内:でも結構このアルバムも味濃いんじゃない......(笑)?

斉藤:シングル3曲あって、リード曲的なものが2曲あって、聴き疲れするかな? と思ったけど、「目立ってます」みたいなバカみたいな曲が入ってると(笑)、バカなりに役目があるなと思いますね。「僕の恋人」も「Shake it!」(Track.7)もサラッと聴けるし。

-「Shake it!」は"即興で吹きました"という感触のある生のホーン隊にフランクな雰囲気があって心地よかったです。

斉藤:「ヒットチャートをねらえ!」のレコーディングをしてくれたホーン隊が急遽吹いてくれたんですよ。すごくいい感じになりました。これで「ダバダバ」をシングル・カットできればまさしく90年代ですね(笑)。いつかシングル・カットやりたいね! 2017年の音楽シーンで一番意味ないことかもしれないけど(笑)。

-楽しみにしています(笑)。現在形のONIGAWARAが堪能できる、珠玉のJ-POPアルバムが完成しました。

斉藤:これまでの我々の曲は、竹内メンバーのモード的に怒りのパワーが強かったかなと思うんですよね。"なにくそ!"、"音楽で絶対黙らす、認めさせる"、"ポップ・ミュージックで世の中をひっくり返す"と思っていた時期もあったんですけど......今回はそういうものとは違う方向性なんです。

竹内:前は自分の言いたいことだけを詰め込んで作っていたので、人のことを考えていなかったかも。でも、今回は聴いてくれる人の幅を広げたかったから、怒りを控えめにして。

-怒りや批評的な性質がなくなったわけではないんですね。

竹内:全然なくなってないです。常々"もっとONIGAWARA聴け!!"と思ってます(笑)。歌詞も自分の言いたいことを言っているけど、いろんな解釈ができるものにはしたくて。聴いてくれたお客さんが判断をするのがポップスだと思うんです。

斉藤:怒りが愛に変わる瞬間があったのかな? 去年の夏くらいに"俺は愛と人生をテーマにしていく"と言われたんですよ(笑)。

竹内:愛と人生って大きくて広いじゃないですか。ひとりにひとつあって、誰しも同じものを持っていない。それを深く考えていくと、究極の"誰にでも届く曲"が作れるんじゃないかなと思うんです。怒りは響く箇所が限定されちゃうんです。だから怒りは抱えつつ抑えつつ、ですね。もっと大きなポップ・ミュージックを作っていきたいなと思います。