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INTERVIEW

Japanese

Czecho No Republic

2024年11月号掲載

Czecho No Republic

Member:武井 優心(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

やっと今のCzecho No Republicとして、出すべきものを提示できた


-切なさっていうか歴史?

えげつないノスタルジックの渦じゃないですか。いるだけでももう満タンに入ってるんで、そこに行こうと思ったんです。「Bad Dreams」はそこで書いた曲なんですけど、曲を書けない時間のほうが長くて、全然書けなくて。着いたもののどんな曲書いたらいいんだみたいな感じで、じいちゃんばあちゃんのアルバムとかを見てて、でも埃溜まってるからその埃を吸って体調悪くなって、2〜3日寝込んじゃったんですよ(笑)。それが誘発して風邪をひいたのかよく分かんないですけど。で、体調悪! って寝てるとき、この状況をメッセージとしてはどう受け取ったらいいんだろうと考えたら、"過去を懐かしんでんじゃねぇよ"っていう新手の強気メッセージかもしれないと思ったんです。冒頭で言ったように、過去に一番とらわれてたのは自分かもしれないって......。「Bad Dreams」は悪い夢から目覚めるっていう歌詞じゃないんですよ。"Awake in Bad Dreams"で、"悪い夢の中で目覚める"って、混沌とした日々の中で突然何か一個はっと気付く瞬間に近いのかなと思ってるんです。まさしく体調が悪くて悪夢にうなされてたんで、結局は寝ても覚めても悪い夢なんですよ。悪い夢の中で目覚めて悪い夢に戻ってくるって面白いなと思って。それでメッセージができて、メロディも一発でパーって書けたんですよ。で、これキャッチーかもしれないなと思って、持って帰って後半部分を作ってって感じでした。

-そうなんですよ。悪夢の中なのがいいんですよ。悪夢や地獄っていうのは今の状況にもすごく似てる感じがするし、なかなかそこから出るのは難しいですよね。そこで生きるしかないっていうか。

そうなんですよ。結局逃げられないんで、その中で気付くみたいなのが面白いなと。

-イントロダクションでも"Awake in Bad Dreams"って歌ってるし。

そうなんです。本当はアルバム・タイトルも"Bad Dreams"にしようかと思ってたんです(笑)。そしたらタカハシマイが"いや、さすがに暗いだろう"って言って却下になったんですけど。

-次の「Go!Go!Juliet」にも"奴隷"っていう言葉が出てくるし、この曲にもその次の「Psychedelic Night」にも"物足りない"と出てきて、全然違う曲だけど繋がってる感覚もある。

そうそう。短期間で書いてるんで、出てくるワードが被ってくるんですよ。昔だったら変えてたんですけど、そのときちょうどZAZEN BOYSを聴いてたんです。"くりかえされる諸行無常"とかめっちゃ言うじゃないですか。俺、向井(秀徳/Vo/Gt)さんを全然通って来なくて、ZAZEN(ZAZEN BOYS)の新譜超カッコいいなってとこからNUMBER GIRLを掘り下げていってたんですよ。そしたら同じことばっか言ってるなと思って。超面白い、言いたいことが本当ならば歌詞って被ってていいんだと感じました。

-「Psychedelic Night」はこういうのが聴きたかった的なシンセ・ポップで。この曲はどうやってできたんですか。

この曲、最後から2番目にできた曲なんですけど(笑)。結局、リードみたいになる曲が最後にできるんですよ。アルバムの曲が出揃ってきて一回みんなでアルバムの設計図を組み立てたときに、"まだ曲足りないね"ってなってきて。これに入ってないのでさらに5曲~10曲ぐらいまだあったのかな? で、こんなにいっぱい書いたのにまだダメかとちょっと焦り始めてて、枕元にギターとかを置いて寝てたんですよね。たまに夢の中で音楽が鳴ってて、"なんだっけこの曲"みたいなときがあるんですけど、面倒くさくてそのまま寝るんです。そういうときって勝手に完成してるから、すげぇキャッチーな曲が多いんですけど。で、それがまたあって、起きたときに"あ、また今日変なメロディ鳴ってんな"となって、時間ないからもうこれを作ろうって思って。ゼロイチがいつも大変なんですけど、この曲はすでにサビがあったんで、朝起きて速攻でヴォイス・メモでこのサビを録音して、コードをループしてあのアンサンブルを乗せてったらできたんで、歌詞含め3日ぐらいで書いたんですよ。でも作るのすごく楽でした(笑)。

-(笑)あと個人的には久しぶりにチェコのシューゲイズの側面というか、今回とにかくエネルギーみたいな曲が多いじゃないですか。「Wonderland」とか。

そうですね。「Wonderland」、推し曲にしません? って言ったんだけど、"全然ないでしょ"ってなった。長いし(笑)。

-インスト部分が長いですもんね。でも推し曲なんですね。

それぐらい自分の中ではこれ書けたときに決意が定まった感じがしましたね。すげぇいい曲だなと思う。これは昔のチェコと今のチェコが融合されてるみたいな感じかな。

-音の壁みたいなセクションが突破していく体感に満ちてて。

これはもうとにかくライヴで没頭してARCADE FIRE的な幸福感と......あと作ってるとき、たぶんチバ(ユウスケ/The Birthday/ex-THEE MICHELLE GUN ELEPHANT etc./Vo/Gt)さんが亡くなったときだったんですよ。めっちゃ切なくて。ミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)は聴いてたんで、そういうバンドのグルーヴで後半持ってくみたいなのを、スタジオで何回も合わせて作っていきましたね。"いやもっといけるでしょ"、"ドラムもっと走れない?"みたいな。

-別にシリアスなだけでもないし楽しいだけでもないし、14曲もあるからカラーはいろいろあるけど、ここからまたCzecho No Republicというバンドを聴こうって人にも、こんなバンドですよと言えるアルバムじゃないですか?

うん。本当そうなんです。それができて良かったなぁっていうか。結局俺は過去の5人のバンドのときを引きずってたんで、やっと今のCzecho No Republicとしての自信作というか、正解って言葉は合ってないかもしれないですけど、出すべきものを一発で提示できた感じがして、心は落ち着きました。

-そして今回は久しぶりに全国ツアー("つぎはぎのMirage Tour")もあるんですよね。どんなものにしたいですか?

だいぶ5人でライヴをお届けするようになって。本数は最初少なかったですけど、だんだん増やして、どんどん仕上がってきて、新しい5人でのライヴ・スタイルがいよいよ固まってきてるんで、過去と比べるのはあれですけど、今は今ですごいいい状態になってるんです。オープン・マインドないいライヴになると考えてるんですよね。昔はもっといろんな幅を見せたいとか、きっとあったと思うんですよ。もっとできると斜に構えたり、やるべき仕事を全うしないでネクスト・モードに勝手に行ってたり。それが今ないんで、等身大のライヴが見せられるんじゃないかなっていう。まぁさらにその先で一歩リードできたらカッコいいですけどね。

-オーディエンスは今そのときしか分からないわけで、それを楽しみに行くので。パフォーマンスしてる人が"もっと超えていきたいな"って思うとかすると、そこに温度差が出たりするのかもしれないですが。

俺、いつもライヴのときにはすでに違うモードになってたんですよ。アルバム・ツアーがもう次の新曲の脳になってるとか、そういうので良くなかったんで、今回は期待に応えられると思います。

-今回はその日はその日で今を楽しめる感じ?

絶対。全員集合、太字で書いといてください(笑)。本当に来てください。

RELEASE INFORMATION

Czecho No Republic
NEW ALBUM
『Mirage Album』
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NOW ON SALE
MDMR-2065/¥3,800(税込)
[murffin discs/mini muff records]
配信はこちら

TOUR INFORMATION
"つぎはぎのMirage Tour"

[2025年]
1月11日(土)大阪 Live House ANIMA
1月19日(日)東京 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
1月25日(土)愛知 名古屋 ell.SIZE
2月8日(土)香川 高松 TOONICE
2月9日(日)広島 CAVE-BE
2月11日(火祝)福岡 LIVE HOUSE OP's
2月23日(日)新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
3月1日(土)宮城 仙台 ROCKATERIA

[チケット]
オールスタンディング ¥3,900(D代別)
■チケット最終先行販売:11月16日(土)10:00~11月28日(木)23:59
チケットはこちら