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INTERVIEW

Japanese

Have a Nice Day!

2025年04月号掲載

Have a Nice Day!

Member:浅見 北斗(Vo)

Interviewer:石角 友香

ライヴハウスのフロアで一人一人の孤独感がモッシュとシンガロングで昇華されていく。しかも音楽的にはどの曲も踊れるナンバーだ。Have a Nice Day!(通称:ハバナイ)独自のパーティー哲学はそのままに、4年ぶりとなるニュー・アルバム『DYSTOPIA ROMANCE 5.0』では、ノンストップDJミックス的なライヴ観を反映した曲調や音像のダンス・トラックが並ぶ。コロナ禍の渦中から現在に至る浅見北斗の音楽観の変化を軸に、現在を探ってみた。

-オリジナル・アルバムの『DYSTOPIA ROMANCE 2021』(2021年)以降、2022年には既発曲をリアレンジしたライヴ盤『LONG NIGHT RODEO』が出て。1回浅見さんの中でハバナイで次にやることが見えたのかな? と思ったんですが。

そうですね。『LONG NIGHT RODEO』はライヴ音源とスタジオで作った素材を混ぜて作った音源ですね。ライヴ中心のバンドなんで、コロナ禍にライヴがなかったのは結構やりづらかったんです。そうするとやっぱリリースもちょっと難しいですよね。なんのために作ってるのかな? っていう感じもあるし、モチベーションも保ちづらいというか。だから4年前の『DYSTOPIA ROMANCE 2021』はシングルは気合入れて作ってるんですが、制作全体としてはいろいろ試行錯誤して頑張ってみたけどまとまらなかったような。

-なるほど。

で、2022年からライヴの編成を変えたんですよ。リズム隊はもともとGOTO君がドラムをやってたんですけど。パーカッションのシマダボーイ、彼に手伝ってもらえないかって声を掛けてですね。あとギターも今一緒に音作りやアレンジをやってくれてるマキノゲンにスイッチしまして。それに鍵盤の遊佐ちゃんもいて。5人編成ですね。 それで、楽曲と楽曲を繋いでいくっていうDJのミックスの要領を参考にして、2時間のロング・セットのライヴをやれるバンドを作ろうかなと思って、2022年の6月に最初のライヴ("Have a Nice Day! ONEMAN GIG!!!")をやって、そこから2年間でバンドを仕上げていったところですね。で、去年の2024年の7月に(club)asiaでワンマン([Have a Nice Day! ONEMAN SHOW "STORM"])をやって、そのときに今のスタイルがだいぶ完成してきたなという実感があって。あと去年リリースした『ISLAND』、『STORM』は過去音源のリアレンジ音源集なんですが、そのときの制作で今現在のハバナイの音作りがだいぶ見えてきました。

-『ISLAND』のトロピカル・ハウスっぽいミックスにパーカッションはすごく合ってました。

ビートを充実させればもっとダンス・ミュージックに近づけるかなと思って。なのでパーカッション入れたことは良かったですね。人を踊らせるのはまずリズムだし、長い時間ライヴやるのにいろんなバリエーションあったほうが良いですし。

-たしかに。

コロナ禍の前とかまさにそうなんですけど、モッシュとシンガロングがあればまぁいいかみたいな感じだったんです。ただやれることの限界があるというか(笑)。音楽的には楽曲強度を上げてくだけのゲームみたいな感じにもなってて、制作もライヴもあんまり楽しくなくなりつつあって。結局ワンマンが1つのパーティーになってることが現在のハバナイの強みというか。 昔はいろんなグループ4、5組呼んでやっと1つのパーティーとして成立するみたいな感覚があったんです。だからハバナイでワンマン・ライヴをやる意義って当時はあんまり自分では見いだせてなかったんですけど。むしろ気合入れてワンマンをやってる人たちがうらやましいなって思ってて。でも初めて今のメンバー編成でロング・セットをやったときに"これで1つのパーティーになってる"って実感があって、そこからやっとコロナ以降のハバナイがスタートした感じですね。

-以前のハバナイのライヴって、ロック・バンドを求めてるわけじゃないけど、ロック的なものを求めてる人が来てたじゃないですか。でもそういうノリの先が見えてしまった?

もちろんロック・バンドは好きですけど、自分の中にあるのはそういうものだけでもないというか。もともと2000年代のアンダーグラウンドなシーンを追いかけていたときに、そこにダンス・ミュージックがあったりヒップホップがあったりハードコア・パンクがあったり。で、各自全く違うことをやってるんだけど、その人たちが1つに集まったときに1つのパーティーになってるみたい瞬間がたくさんあって、そういうものにすごく憧れてたんですね。同じことができるわけじゃないけど、自分なりにそいうことができたらいいなというのが最初の入り口にあって。それを自分が現実的に作れる音楽にどうにか結実させたいとあれこれとやって、最終的に1つのバンドでそれをやることになった感じですね。

-今のスタイルは自然な流れだと。たしかに浅見さんのバックグラウンドからしたら、2021年頃までのモッシュとシンガロングの世界に限界を感じるのも分かるというか。

モッシュさせることはもうできてるし、シンガロングさせることもできてる。じゃああとは自分たちの音楽をダンス・ミュージックにすることができたらパーティーとしてより素晴らしくなるんじゃないかなと。それは四つ打ちの曲を増やすってことでもないんですけどね。DJの人たちはいろんな曲を掛けるわけですから。