Japanese
さとうもか / Have a Nice Day!
Skream! マガジン 2021年10月号掲載
2021.09.05 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 稲垣 遥 Photo by 小山田祐介
Have a Nice Day!とさとうもか。今パフォーマンスを観ておきたいと思わせる勢いのある2組のツーマン・ライヴが、下北沢LIVEHOLICで開催された。チケットはソールド・アウト。年齢も性別もファッションも様々な観客がコンパクトな会場に入り交じっていた。
"こんにちは~"とニコニコしながら先にステージにひとり上がったのはさとうもか。キーボードの前に腰掛けると「old young」を弾き語った。ポロンポロンと跳ねるように鍵盤を叩き、自在にテンポ・チェンジしていく様にオーディエンスが惹き込まれてゆく。次いでは、10月13日発売のメジャー1stアルバム『WOOLLY』収録の新曲「Cupid's arrow」を披露――しようとしたところで"イヤモニつけ忘れた!"とアクシデントに気づくも、"そのままやってみたい"と、キラキラしたポップネスがはじけるオケをバックに歌う姿は、実に自由で楽しそう。続けて大人びたクールな低音メロで印象を変える「Destruction」もマイク1本で歌ったあと、ギターを持つと「オレンジ」へ。今度は往年の女の子向けアニメのテーマさながらの、マジカルでキュートなさとうもかサウンドでフロアの色を次々と塗り替える。
そんなふうに冒頭からくるくると表情を変えてきたなかで投下したのが、彼女の名を知らしめた現状の代表曲と言える「Lukewarm」だ。サビの"恋をすると人間になっちゃう"のフレーズでおそらく初見の者も含め、一気に横に揺れる観客たち。このドリーミーで浮遊感のある心地よさはどんな人にも問答無用で、分け隔てなく届くようだ。さらに、そこからの「愛ゆえに」が印象的だった。好きな相手との繋がりを終わらせたくないがために自分を犠牲にする、その瞬間さえ愛おしく想ってしまう、縋る恋を歌うこの曲。音源やMV公開時も世代を問わず共感を呼んだが、ライヴでは、気持ちを諦めるようにぶっきらぼうに歌うパートもあり、あえて活動開始当初のようにギター弾き語りでの演奏を選んだことで、豊かな声色が強調され、聴き手の心をぐっと掴んで揺さぶった。
"今日は本当に楽しかったです、私は!"と声を上げ、フロアからも温かな拍手が湧くと最後の1曲は1stシングル「melt bitter」。まだ整理のつかないほろ苦い想いにけりをつけるように、ぎゅっと握りしめた拳を振り下ろしながら歌うなど、曲の世界に入り込んで歌う彼女に魅せられた。
後半、ハバナイことHave a Nice Day!は「みんなどこ行く」から幕を開けた。キーボードがループするミドル・チューンでなだらかに火を灯していき、「RIGHT HERE RIGHT NOW」でひと息に、怪しい重低音とシンセで会場全体を支配したのが痛快だった。浅見北斗(Vo)はタッパのある身体を反らせて、その場に沈み込みながら"RIGHT HERE, RIGHT NOW"と何度も歌い、後半のテンポ・ダウン以降は、中村むつおのギターもより粘度を増し聴き手を陶酔させていく。
数年前までのハバナイのライヴと言えば、"モッシュピット"が合言葉の、ダイブや高密度でのモッシュで激しく熱を爆発させる光景が印象的だったが、コロナ禍でそれらの行為もシンガロングもなしにせざるを得なくなった。それでも、ハバナイは止まることなく音を磨き、パフォーマンスをより鋭利に尖らせて、新たなフェーズへ歩みを進めている。それを確信させるステージだった。
アニメ"天空侵犯"EDテーマでもあるエモーショナルなディスコ・チューン「わたしの名はブルー」では浅見、中村、遊佐春菜(Key)の3声が重なるサビも聴き手を高揚させると、浅見と中村が高くジャンプし、インディーズ時代のディスコ・パンク「Fallin Down」に繋ぐ。キラキラとシンセの音の粒が降り注ぐなか、浅見が繰り広げる高速ステップに触発され、観客も日頃我慢していたものを晴らすように各々の場所で拳を上げて踊り出した。"気持ちいー!"浅見も声を上げる。さらに「TOO LONG VACATION」、「LOCK DOWN」と最初の緊急事態宣言下で"寄り添う"のではなく、"パーティーを続ける"とシニカルな角度からリスナーの支えになる姿勢を示してきたナンバーを投下。
終盤はハバナイの真骨頂と言える、過剰なほどロマンチックな愛の詞が乗る「Night Rainbow」、「僕らの時代」、「わたしを離さないで」と畳み掛けていく。鋭いビートとシンセを軸にした刹那的でドラマチックなサウンドは無敵の没頭感で、汗まみれのモッシュピットはなくとも、飛び跳ねる人、横に揺れる人、腕を掲げる人、心にすべてを焼きつけようとステージを見つめる人――と満員のオーディエンスがそれぞれ快美な旋律に頭も心も身体も任せている。長らく願っていた美しいライヴハウスの景色を目の当たりにして、目頭が熱くなる。「ビューティフルライフ」まで45分10曲を駆け抜けると、浅見は回りながらそこにいた全員に拍手を送り"またやりましょう。あざした!"と挨拶した。
湧き起こる拍手を受け、追加で「愛こそすべて」を演奏。一歩一歩進むようなテンポのポップで温かなサウンドに乗せ、飾らない素朴な声で、"君に触れたい 手を取り合って 煌めきの中で/伝えたいことはただ一つだけ 愛こそすべてと"とド直球に清いメッセージを、観客を指差しながら歌う。フロアの多方から愛ある野次が飛んだり、それを浅見が煽ったり憎まれ口を叩いたりして笑っていたあの頃も確かに良かったが、今、当時には考えられなかった方法でまた、彼らは最高のライヴを作り上げていた。
[Setlist]
■さとうもか
1. old young
2. Cupid's arrow
3. Destruction
4. オレンジ
5. Lukewarm
6. 愛ゆえに
7. いちごちゃん
8. My friend
9. melt bitter
■Have a Nice Day!
1. みんなどこ行く
2. RIGHT HERE RIGHT NOW
3. わたしの名はブルー
4. Fallin Down
5. TOO LONG VACATION
6. LOCK DOWN
7. Night Rainbow
8. 僕らの時代
9. わたしを離さないで
10. ビューティフルライフ
En. 愛こそすべて
- 1
LIVE INFO
- 2023.01.28
-
BiSH / ASP
DYGL
"FUKUOKA MUSIC FES.2023"
ぜんぶ君のせいだ。 ※振替公演
東京初期衝動
めいちゃん
フラワーカンパニーズ
東京スカパラダイスオーケストラ
映秀。
"フリ放題コーリング2023"
黒川侑司(ユアネス)
鶴
アルカラ
リュックと添い寝ごはん
BACK LIFT
藤井 風
Saucy Dog
tricot
パスピエ
Symdolick
鳴ル銅鑼
CYNHN
OKAMOTO'S
原因は自分にある。
Vaundy
浪漫派マシュマロ / 底なしの青 / GIMMICK_SCULT ほか
- 2023.01.29
-
DYGL
GANG PARADE × ASP
go!go!vanillas
anew
フラワーカンパニーズ
東京スカパラダイスオーケストラ
神はサイコロを振らない
神聖かまってちゃん
ドラマストア
Saucy Dog
Non Stop Rabbit
PELICAN FANCLUB
パスピエ
fhána ※振替公演
アルカラ
"フリ放題コーリング2023"
めいちゃん
藤井 風
tricot
岡崎体育
LEGO BIG MORL
鳴ル銅鑼
Laura day romance
なきごと
忘れらんねえよ
PIGGS
女王蜂
SCOOBIE DO
the pillows
Vaundy
Lenny code fiction
浪漫派マシュマロ / Ohm ほか
- 2023.01.30
-
Official髭男dism ※振替公演
斉藤和義 ※振替公演
the HIATUS
- 2023.01.31
-
Official髭男dism ※振替公演
私立恵比寿中学 ※振替公演
Saucy Dog
斉藤和義 ※振替公演
PIGGS × 夕闇に誘いし漆黒の天使達
the HIATUS
ヤバイTシャツ屋さん
cinema staff × KOTORI
- 2023.02.01
-
Symdolick
ircle
ストレイテナー / Nothing's Carved In Stone ほか
- 2023.02.03
-
AliA
藤井 風
DYGL
めいちゃん
Subway Daydream
ビレッジマンズストア
セカイイチ
Base Ball Bear
ZAZEN BOYS × w.o.d.
忘れらんねえよ
- 2023.02.04
-
アルカラ
映秀。
BACK LIFT
Vaundy
藤井 風
ヤバイTシャツ屋さん
BiSH / BiS
go!go!vanillas
Awesome City Club × マハラージャン
AliA
PAN × セックスマシーン!!
OKAMOTO'S
Panorama Panama Town
めいちゃん
tricot
ユアネス
フラワーカンパニーズ
Saucy Dog
GOOD ON THE REEL
塩入冬湖(FINLANDS)
JYOCHO
"BAYCAMP 202302"
Poppin'Party × RAISE A SUILEN
This is LAST
- 2023.02.05
-
アルカラ
ヤバイTシャツ屋さん
BACK LIFT
Vaundy
DENIMS
ExWHYZ × BiS
リュックと添い寝ごはん
go!go!vanillas
DYGL
Non Stop Rabbit
OKAMOTO'S
ゲスの極み乙女×さらば青春の光
Panorama Panama Town
映秀。
フラワーカンパニーズ
東京初期衝動
Dragon Ash
Saucy Dog
SHE'S ※振替公演
This is LAST
Base Ball Bear
Who-ya Extended
ザ・クロマニヨンズ
女王蜂
Roselia × Morfonica
神はサイコロを振らない
ぜんぶ君のせいだ。
パスピエ
- 2023.02.06
-
THE VAMPS
- 2023.02.07
-
コレサワ
THE VAMPS
藤井 風
This is LAST
夜の本気ダンス × Maki
SUPER BEAVER
- 2023.02.08
-
ircle
藤井 風
BiSH / BiS / GANG PARADE
BBHF
ヨルシカ
- 2023.02.10
-
Vaundy
ircle
ポルカドットスティングレイ
塩入冬湖(FINLANDS)
DYGL
This is LAST
Rhythmic Toy World
kalmia
Base Ball Bear
BLUE ENCOUNT × THE ORAL CIGARETTES × 04 Limited Sazabys
片平里菜
- 2023.02.11
-
岡崎体育
Vaundy
東京初期衝動
OKAMOTO'S
ircle
Non Stop Rabbit
底なしの青 ※振替公演
アルカラ
KALMA
go!go!vanillas
"SOUND CONNECTION -Harvest Begins-"
Rhythmic Toy World
THE BACK HORN
This is LAST
Organic Call
ビレッジマンズストア
なきごと
ぜんぶ君のせいだ。
伊東歌詞太郎
真っ白なキャンバス
yutori
GANG PARADE × 豆柴の大群 × ASP
映秀。
BUMP OF CHICKEN
WEAVER
Subway Daydream
BLUE ENCOUNT
RELEASE INFO
- 2023.01.31
- 2023.02.01
- 2023.02.04
- 2023.02.05
- 2023.02.08
- 2023.02.10
- 2023.02.13
- 2023.02.14
- 2023.02.15
- 2023.02.17
- 2023.02.22
- 2023.02.24
- 2023.02.28
- 2023.03.01
- 2023.03.08
- 2023.03.15
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
PIGGS
Skream! 2023年01月号