Japanese
おとぎ話
2024年06月号掲載
Member:有馬 和樹(Vo/Gt)
Interviewer:藤坂 綾
おとぎ話がニュー・アルバム『HELL』をリリースした。2000年のバンド結成から今年で24年、13枚目にしてこんなにもピュアで瑞々しいアルバムを完成させるとは、驚きと喜び以外何があるというのだろうか。ポップに振り切った背景にはバンドの歴史もしっかりと刻みつつ、ここからまだどこへでも行けるという自由さすら窺える。まるでデビュー・アルバムのようなこの作品ができあがった理由を、すべての楽曲を手掛ける有馬和樹に訊いた。
もうかっこつけなくていいんじゃないかって、自分が好きなものをこれですって胸張って言えるようになった
-ツアー[おとぎ話"PIGGIES"]はいかがでしたか。
ずっと続けてるバンドなんで、バンド自体がルーティーンになってきちゃったりするんですけど、そうならないような仕掛けをいろいろ考えてライヴをやってたんで、充実したツアーだったかもしれないです。
-仕掛けというのは?
日本人の音楽の捉え方ってわりと定型があるけど、おとぎ話は違う意味の答えを追求しているので、その部分をどうやってメンバー4人が考えて演奏するかってところかな。そういうことを今まであんまり考えてやってこなかったんですよ。20年以上同じメンバーでやってきてるなか、"それでいいんじゃない"みたいな感じで今まではやってきてて。でも、僕が曲を作ってるんですけど、コロナ禍からは言いづらいところというか、こんなふうにしてほしいってことをちゃんと全部話してからライヴをやろうって、ずっとやってきたんです。なので、演奏の仕方みたいなところで全員の共通認識を持ってやったツアーだったかなと。
-そういう話をしようと思った理由は?
今までは自分が目をつぶってた部分があったんで、とにかく目をつぶんないようにしようかなと思ったのが大きな転機で、それをメンバーにもちゃんと言語化しようと思って。言語化して、それを伝えるということがこの数年で始まった感じなんです。友達だからそこまで言わなくてもいいかなとか、自主性って言葉で逃げてたというか、みんなを信じてるし、それぞれにそれぞれの良さがあるからと思ってたんですけど、そうは言っても他人だよなと。バンドをやるのも他人が集まってコミュニティを作るわけだから、そのコミュニティの中で自分が作った曲を自由にやってもいいって言ったあとに、"あー、やっぱりこうすればよかった"って自分ひとりで感じてるのも、時間の無駄遣いだなと思って、それでちょっと変わったんですよ。
-実際、こうすればよかったって思うことが多かったですか。
そうですね。でも人間ってあとで後悔する生き物で、後悔なくやれてる人はばちくそ売れてると思いますから。なんでバンドを続けてるのかなって考えたら、楽しいからやってるわけで、楽しいことをやるんだったらしれっとかっこつけてやりたいのに、それをやるまでの準備ができてないと感じて。メンバーの仲がいいんで、みんなから見たら足並みが揃ってるように見えるかもしれないけど、わりと有馬がひとりで引っ張っちゃってるんです。気負ってるわけじゃないんですけど、天才すぎてもう未来に行っちゃってますからね(笑)。
-話すことで、ここで4人の足並みを揃えておこうと。
そうそう。みんなとちゃんと話して、これはこうやってやったほうがいいんじゃないかっていう話がやっとできたかなと。ちょっと遅いですけどね。
-それに気づいて、ちゃんと話ができるだけで全然違うと思います。
結構違うんですよ。しかも20年以上やってるとマンネリ化するんでね。自分たちと同じ時代にいたバンドなんて、バンドを続けてる人のほうが少ないんで、モチベーションで言うとそういうところでやめちゃうんじゃないかなって。だから、例えばカリスマ性のあるヴォーカルだったら、解散してひとりでやるっていうやり方をしたほうがやりやすかったりもするんだろうけど、僕にはそんなカリスマ性ないんでね(笑)。変な感受性というか、変な人なんで、その意味ではあるんですけど、音楽というジャンルでデビューする人間ではなかったと思います。
-あはははは(笑)、そんなことないです。話したことによってのバンドの変化は感じてますか。
すごく感じてますけど、うちのバンドは何も考えてないメンバーもいるから、そういう面では奇跡のバンドだなと思いました。わけわかんないなと。でも、わけわかんないバンドっていないじゃないですか。わけわかるんですよ、だいたいのバンドが。世の中のすべてのバンドがだいたいわけわかるからお客さんがつくんだけど、こんなにわけわかんないのにお客さんが一応いるバンドってなかなかいないなと思って、そういう意味では見込みあるなと思いましたよ。
-具体的にどんなところが変化したと感じてます?
やっぱり演奏が合うようになったかな。曲を届けるのに、考えさせないでそのままノれたらいいよなっていうのがテーマであって。ライヴで観てるものが現象とかになっちゃうことに、自分はあまり興味がないんですよ。僕はお金を払ってライヴを観に行って、ただめっちゃいい音楽だなと思って帰りたいし、そういうライヴが好きなんです。10代の頃は違ったんですけどね。生きていけばいくほど、当たり前のようにいい演奏で身体を揺らすということが、こんなに気持ちいいものかってわかったんで、そういうバンドになりたいんですよ。これからそうなれるんだろうなっていうきっかけを得た感じです。
-それはすごいです。すごく大きい変化ですよね。
めちゃくちゃ大きいですよ。で、そういうアルバムなんです。これを作ったからこそ、なお言語化できたという感じですね。
-すごく納得がいきました。今回のアルバム、13枚目ですよね。なのにキラキラ感がすごくて、でもこれぞおとぎ話という感じで、デビュー・アルバムみたいな印象を受けたんです。
そうですよ。これはもうキラキラさせたんです。こんな13枚目のアルバム、絶対ないですから。曲を作るのは僕だけなんで、今まではこういう演奏をしたいからこんな曲を作ってみんなで鍛錬しようみたいな気持ちがあったんですけど、そもそも自分が他のメンバーのスキルやキャラクターに合わせることができるから、今まではそのときのバンドのムードに合う曲を作ってたんですよ。世間の風潮とかも含めて、今のおとぎ話はこういうふうに演奏したほうがいいかもなって。それって自分の中ではハードルを上げないでできることなんですよ。できちゃう範囲内なんです。だからバンドを今一度クリアな状態にしてやりたいなと思ったとき、自分がクリアになってないなということに気づいてしまって。
-あー、なるほど。
だから今まで開けてなかった引き出しを全部開けちゃおうと思って作ったら、ひたすらポップになったという。自分でもびっくりしましたよ。"え? まだこんなにピュアなんだ"って。だからこれはたぶんみんなびっくりすると思います。
-1曲目のイントロからなんだかすごい予感がしましたもん。
もう完全にそうですよね。わかりやすくって。昔自分が聴いてたものを作ろうとか、そういうつもりも全然なくて、楽しけりゃいいじゃんと。そう思いながら作っていったらどんどん楽しくなってきちゃって。今までは、自分が今目にしてるもの、例えばマンガやプロレスや映画の中のかっこいいものとか、インテリジェンスなところをちょうどいい感じで曲に落とし込もうとか、そういうスカした部分をおとぎ話の中に入れようとしてたのを、全部やめちゃおうかなと思ったんです。やってもしょうがないやって。
-たぶん、スカせないですよね。
スカせないんですよ。もうバカみたい。なんでそんなこと考えてたのかなって。今までの人生をすごい思い出したというか、もういいかなと思って作ったんです。
-スカしてみようというのは、かっこつけたいとか、そういう気持ちがあったんですか?
めっちゃわかりやすい言い方をすると、"呪術廻戦"がめちゃくちゃ好きなら、"とにかく好きだよ"って曲を書けばいいじゃないですか。映画とかでもそうだけど、芸術的な映画が好きとか、アートっぽいフランス映画が好きとか言ってても、ほんとは"ワイルド・スピード"が好きなんだろ? みたいな。だから僕は、"はい、「ワイルド・スピード」好きです"って。そういうふうに、もうかっこつけなくていいんじゃないかって思ったんです。自分が好きなものをこれですって胸張って言えるようになったという感じかな。
-なるほど。
洋服とかもそうで、今は自分の側にいる神保(賢志)君が描いてくれてるのが好きだから、毎日これ着てようかなって。そう思ったらすごく楽になってきて、いろんなことが。あんまり考えて行動しなくても、面白いものって寄ってくるかもって思ったんですよね。今までは自信がなかったかもしれない。だから今はとにかくめちゃくちゃ自信あります。
-好きなものを好きって言えることって、すごい自信になると思います。
そうそう、ほんとそういう感じ。だから出会う人もそうで、自分のことを慕ってくれる人、出会った人は全員友達みたいな感じになってきてて、まったく感情が違うんですよ。そしたら、若い子たちから、"おとぎ話が好きなんで対バンしてください"ってすっごく言われるようになって、めちゃくちゃ嬉しいんですよ。"憧れてました"とかね。今までもいたとは思うんですが、素直に喜べてなかったから嬉しいと感じられなかったんだけど、今はほんとただ素直に嬉しい感じになりました。
-すごくいいですね。だからこういうアルバムなんですね。
そう、もうこれですって感じ。これがおとぎ話ですって。だからほんとに1stアルバムみたいなもんですよね。今までこんなふうにやってたからこうやるみたいなものはなくて。もちろん今までのことは肥やしになってるから、生きてはいるんですけど、そういうの全部取っ払ったみたいなアルバムです。しゃべってる自分に一番近い、等身大ですね。有馬の頭の中をそのまま出してる感じ。変な夢とか見るじゃないですか。それをそのまま書いちゃった感じ。例えば、「闇堕ち」は、プロレスのベビーフェイスっていう正義のほうにいた選手が、次の日から急にヒール・ターン(※悪役に転向すること)することがあって、でもヒール・ターンしてからのほうが人気が出る選手もいるんですよ。僕は、ずっと正義でやってる人も好きだけど、ヒール・ターンして人気が出ちゃった人も好きだし、マンガでも敵のほうが人気のマンガもあるじゃないですか。そういうの、いいよなと思って、それをそのまま曲にした感じです。
-私はバンドのことも重ねて歌ってるのかと思いました。"ありのままですから/美しいって思う"の部分とか。
全然(笑)! これは自分の話。真夜中にコンビニにアイス買いに行くし、めちゃくちゃ自分の人生観です。
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