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INTERVIEW

Japanese

のんぴー

2024年04月号掲載

のんぴー

Interviewer:山口 哲生

3月20日に配信された1st EP『一日一笑』を掲げて、ワンマン・ツアー"のんぴー 「一日一生」 Tour 2024"を開催中のシンガー・ソングライター、のんぴー。学生時代をハワイで過ごし、帰国後から音楽活動をスタートさせた彼女は、昨年11月に恵比寿LIQUIDROOMでワンマン・ライヴ"OUROBOROS"を開催。チケット800枚を路上ライヴで手売りのみで販売し、見事完売させた。そんなのんぴーの武器は、リスナーの心を熱く震わせるハスキー・ヴォイスと、天真爛漫なキャラクター。また、今回の取材が本人にとって人生初インタビューだったのだが、50分間ノンストップで喋り続けるというトーク・スキルも、これから多くの注目を集めるだろう。まっすぐに未来を見つめている"人間パワースポット"のんぴーについて、深く探る。

-のんぴーさんって本当にいい声してますよね。

そうなんですよ! 自分で"声いいな"と思ってなかったら、表に出て歌ってないです。

-たしかにそうですね(笑)。昔からご自身の声は好きでした?

そうですね。自分の声は好きでしたけど、歌が上手かったわけじゃなくて。歌うことは好きだったし、喋ることとか目立つことも好きだったんですけど、まさか歌をやるとは思ってなかったです。

-歌をやることになるきっかけというと?

高校生活をハワイで過ごしたんですけど、体育祭みたいなやつで"ステージ"っていう分野があるんですよ、学年対抗みたいな感じで。そのときに"お前ちょっと歌ってみろよ"みたいな話になって歌ったんですけど、そのときに見た光景っていうのが、すごいなぁと思って。そのときに"音楽やってみたらどうだ?"って言ってもらえて。

-それで音楽の道に進もうと。

両親は小さいながら自営業をしていたので、私も何かしら経営はしたいなと思って、経営学を学びに留学したんですけど。どんな経営をしようかなって考えているときに、自分の好きなものが声だったので、声を使って経営をしてみようと思って。自分の声が好き、人に何かを届けてみたい、目立ちたいというのを融合させたときに、歌手という道に進むことになりました。

-"声を使って経営をしたい"っていいワードですね。そういった大きな出来事がありつつ、日本とハワイの違いってどんなところがありました?

もともと口が達者だったのと、人をまとめるのがすごく得意だったんです。声もデカいですし、なんとか意見が通る環境で育ってきたし、ある程度8割ぐらいまではできたんですよ。スポーツにしろ勉強にしろ、何にしろ自分の中で解決することができたので。だから小、中学生時代は、"クローズ"を観すぎてちょっとイキりすぎた感じの子だったんですけど。

-ははははは(笑)。

その生活から一転して、言葉が通じなくなったんですよね。あと、経済面もハワイだと裕福な人たちが多くて。うちは特に裕福なわけではなかったけど、あっちに行ったら物価も高ければ言葉も通用しなくて、自分をアピールする武器がなくなってしまったんです。そのときに初めて、誰かに助けを求めないと生活できなくなったんですよね。それまでは、わからないこともなんとか小手先で上手くやってきたけど、わからないことを聞かないといけない、シンプルに"ちょっと手伝ってくれない?"って言わなくちゃいけなくなって。そこで自分の中のプライドが折れて、自分の弱さを認めたっていうことが、ハワイで収穫した一番大きなものだったかなと思います。

-なるほど。

誰かと助け合わなきゃいけない、誰かに頼らなくちゃいけない、自分だけじゃ無理なことがある。そのことに気づくのに少し時間がかかりましたね。日本では、それに気づいたとしても、たぶん認めなかったと思うんですよ。どうにかできちゃうんじゃないかっていう自信もありましたし。ただ、言葉が通用しないっていうのでハナから無理だったので、そこで人間性が変わったかなと思います。

-どう変わりました?

人の話を聞けるようになりました(笑)。それまでは、自分の話を聞かない人を周りに集めなければいいと思っていたんですよ。やっぱり人間、合う人/合わない人がいるから、合わないなら合わないで、その人と仲良くするために時間をかけるよりは、新しい人と出会うほうが早いと思っていたので。でも、その人にはその人なりの過去があって、いいところもあるし、自分にはできないものを持っているところが少なからず絶対にあるから、人の粗探しをするんじゃなくて、自分はできていないけどその人にはできているところを探すのが、趣味みたいになっていきました。

-昔はそれができなくて、合わない人とは距離を置いていたと。

距離を置くというか"お前ウザーい! バイバーイ!"みたいな(笑)。

-言っちゃうタイプ(苦笑)。

言ってました。中学生のときは、本当にみんなのことが嫌いで。誰も自分のことをわかってくれないと思っていたんですけど、成人式のときに、今だから言える話をみんなでしていたら、私がみんなのことを嫌いだったわけじゃなくて、みんなが私のことを嫌いでした(笑)。それに気づけてなかった。

-(笑)ちなみに、歌手をやると決める前に、それまで音楽をしていた経験とかは?

ゼロです。

-じゃあもうイチから。

はい。高校生のときに、サンタさんからギターをいただいたというか。うちの家はちょっと特殊で、サンタが家に来なかったんですよ。うちのパパいわく、"俺はサンタと友達でよく飲むんだけど、サンタは世界中の子供にプレゼントを届けるから忙しい"と。"だから、うちにはサンタ来なくていいよって言っといた。その代わりに、俺がクリスマスには好きなものを1個買ってやる"っていう家だったんです。で、高校生のときも、うちにはサンタが来ないっていうのを使って、ギターを買ってもらったんです。それを弾けもしないのに背負うっていう。いるじゃないですか、そういうのをカッコいいと思っちゃうタイプ。で、そこまではよくいるけど、私はギターを背負って、スケボーを片手に持って歩いていて。

-どっちもできないのに(苦笑)?

そう(笑)。もう本当にイタい奴。高校はハワイ半分、日本半分っていう感じだったんですけど、日本の高校で"のんぴー、ギター弾けるの?"って言われて、"弾けるよ"って言っちゃったんですよ。言っちゃったからには弾けるようにするしかないから、ギターを練習して、友達との思い出とか、先生に向けての歌を作ってみてよって言われたことによって、曲作りをちょくちょくするようになって。その動画を友達がTikTokに上げ始めたのが、のんぴーの始まりですね。で、TikTokに上げるようになった友達が、今のマネージャーなんですよ。だから高校ノリでそのまま来ていて。

-へぇー! でも、ごまかさずにギターを練習したのはすごいですね。

ダサいの嫌いだったので(笑)。

-のんぴーさんが生きていく指針として、ダサいかダサくないかは結構重要?

重要! カッコいいことが重要だし、嘘だろうが嘘じゃなかろうが、言ったことは実現させるというか、嘘じゃなくさせる。自分が放ってしまった言葉を信じてくれる人たちに"嘘ついた"って言われたくないから、ギリギリ頑張ってる(笑)。

-でも、それまで音楽経験ゼロで、ギターを練習しつつ、いきなり曲を作るというのも大変だったと思うんですが。

それは、喋ることが好きだったし、もともと政治家とかにもなりたいと思っていて。言葉ってすごくて。例えば"お前頑張れよ"って、言う人によって重みが違うじゃないですか。すごい人に"頑張れよ"って言われたら、それを糧に頑張ろうって思う。人が違えば言葉の重みが変わってくるっていうのが好きで。だから、"のんぴーに言われたら頑張れるよ"って言われるようになりたい。人間性を高めて、言葉の説得力を出せるようになりたいというのはずっと思っていたし、喋ることもすごく好きだったので、それを曲に乗せるだけだったというか。

-なるほど。

でも、曲は作れないから、ギターは最初にGコードを覚えたんですけど、一番最初に作った曲はGコードのみの曲でした。次に作った曲はCコードのみの曲で、その次はDコードのみの曲だったんですけど、そしたら次はそれを組み合わせると思うじゃないですか。カポ1でGコードのみの曲を作って(笑)。

-ははははははは(笑)。

そうやってどうにか作っていたんですけど、たまたま出会ったアレンジャーさんに、ここはこういうコードのほうがいいんじゃないかって変えてもらって、曲にしていくようになって。それが去年の話ですからね。音楽を始めてまだ2年目なので。

-そのアレンジャーさんとは、それこそTikTokで繋がったりとか?

いや、そのアレンジャーさんが路上ライヴをされていて。この人、ギター上手いなと思ったので、"すみません、ギターを教えてください。お金はないです。武道館に立ったらランボルギーニ買うんで、タダで教えてください"って。

-すごい(笑)。

で、ギターを教えてもらったり、アレンジをしてもらっていたり。今回出させてもらったEPも、2、3曲は彼とやってますね。でも、1年間でギターのレベルはだいぶ上がりましたよ! なんか私の負けず嫌いをくすぐってくるというか。"やりたくないならやらなくていいよ。そこで諦めちゃうんだね"って言ってくるんですよ。

-煽られると(笑)。負けず嫌いなんですね。

負けず嫌いというか、結構影響されやすいところがあって。"(週刊少年)ジャンプ"を見すぎたんですよ。"ONE PIECE"と"NARUTO"を見すぎてこうなっちゃった。喋り方とかも、"あのさ、あのさ!"みたいな。もうずっとイタい奴。どうにかしてください(笑)。

-たぶんもう無理だと思います(笑)。

ははははは(笑)! 末期(笑)? 表に立つ以外もう向いてない。

-そうそう。むしろそのまま行ってくださいよ。曲を作るときは、曲先行というよりも、まず歌いたいテーマがご自身の中にあって、それを形にしていくと。

そうです。音楽で何かを伝えたいというのと、私は弾き語りにこだわってますね。今回のライヴ・ツアーも、ギター1本でステージに誰も乗せずにやろうと思っているんですけど。

-こだわりですか。

世界一のアーティストと言われているEd Sheeranさんにしろ、長渕 剛さんにしろ、尾崎 豊さんにしろ、優里さんにしろ、あいみょんさんにしろ、弾き語りって魂を歌う元祖だと思っていて。あと、うちらの世代ってコロナ禍で体育祭も文化祭もなかったので、ほかの人から見たらそこまで大したことじゃないのかもしれないけど、そのメンツで作り上げてきた時間っていうものが、その日の思いを倍増させて、いい思い出になるっていうのを知らないんですよ。みんなが集まったときに出る力が、倍じゃなくて、倍以上になるっていうことを知らなくて。それこそライヴも携帯で観れるからいいや、イヤホンで聴けるからいいやっていう感じで、ライヴハウスに行くことの楽しさ──ライヴの日まで待って、チケットを持って、当日そこに行って、ちょっとしたハプニングもあって、みたいな面白さを知らない。けど、テーマ・パークとかには行くんですよね。で、私は弾き語りというものを失くしたくないと思っていて。声とギターだけでまっすぐ届ける音楽を、心をうわー! って震わせるライヴハウスという場所を残していきたいし、うちらの世代にも繋げていきたい。"家の中で携帯"じゃなくて、自分が自分じゃなくなれる場所を、弾き語りでどうにか繋いでいきたいっていうのが、弾き語りにこだわっている理由です。