Japanese
トンボコープ
2024年01月号掲載
Member:雪村 りん(Gt/Vo) そらサンダー(Gt) 林 龍之介(Dr) でかそ(Ba)
Interviewer:高橋 美穂
2023年に躍進したバンドのひとつに挙げられるトンボコープが、その華々しい1年を締めくくるに相応しい新曲「独裁者」をリリースした。ピアノやホーンが取り入れられたポップな曲調ながら、歌詞では盲目的な愛を"銀河系の独裁者になったら/君と僕だけ"という発想にまで飛躍させてしまう跳躍力で、ソングライティングのスキルを発揮している。今作について、そしてここまでの歩みについて、4人全員にインタビュー。結成約1年半、平均年齢21歳のニューカマーの、伸び代しか見えない未来に注目してほしい。
-まず、トンボコープを始動させた中心人物というのはどなたなんでしょうか。
雪村:僕です。
-雪村さんは、当初から現在のような状況をイメージはしていたんでしょうか?
雪村:イメージはしていたんですけど、こんな早く今の立ち位置に来れるとは思っていなかったです。
-イメージしていたということは、"楽しくバンドをやろう"っていうだけじゃなくって、最初から野心というか、どんどん世の中に名前も音も広めていきたい気持ちがあった?
雪村:はい。いろんな人に自分の音楽を聴いてもらいたいとは、最初から思っていました。
-それにもとづいて、ほかのメンバーのみなさんを誘ったところもあるんでしょうか?
雪村:そうですね。
-2023年の飛躍を、そらさんはどんなふうに感じていらっしゃいますか?
そら:組んだ当初は誰にも知られていなかったので、まさか1年でここまで大きな舞台に立てるようになるとは思っていませんでした。
-具体的なターニングポイントって、いつだったと思いますか?
そら:僕は初めてMV(2022年配信リリースの「信号花火」)を出したときだと思っています。
-でかそさんは、この1年半の状況をどんなふうに感じていらっしゃいますか?
でかそ:りん君も言っていたように、最初から大きなバンドになるイメージで始めてはいたんですけど、もっと時間がかかると思っていたし、もっと地道に積み重ねていくものだと思っていたし。でも、最近はSNSだったりで瞬間的にたくさんの人に広められるので、その力もあって予想よりも速いスピードでイメージに近づいている感じはします。
-SNSも使って広めていこうっていう方向性は当初からあったんですか?
でかそ:始動した直後は精力的にSNSを使っていたわけではないんですけど。さっき話に出た最初のMVを出すにあたって、そこに向けてリーチを増やしたいっていうので、SNSに力を入れるようになりました。
-なるほどね。林さんは、今の状況をどう見ていらっしゃいますか?
林:僕も同じで。最初から、誰にでも聴いてもらえるような音楽をやろうということは言っていたんですけど、予想以上に早い段階でいろんな人に聴いてもらえて、びっくりしています。
-今の状況があるのは、何よりも楽曲が良かったからだと思うんです。トンボコープは最初から"こういう音楽性でいこう"ということは決めていらっしゃったんでしょうか?
林:大まかに、ドームとかアリーナを埋められるようなバンドになりたいという共通認識はあって。誰にでも聴いてもらえるような音楽にしようっていうのは話していました。
-ライヴハウスではなく、最初からスケールが大きい会場をイメージしていたんですね。
林:はい。曲を作るたびに、そういうイメージがより鮮明になっていきました。
-SNS時代とはいえ、本当にたくさんの人に伝わっているんだ! と実感できるのって、やっぱり生身のお客さんを目の前にするライヴだと思うんですよね。特に思い出深いシーンってありますか?
林:(2023年)7月に、下北沢MOSAiCでチケットフリーのイベント("MOSAiC 19th ANNIVERSARY『白フェス 2023』")があったんですよ。そのときにトンボコープ目当てのお客さんがめちゃくちゃいて、ライヴハウスの外に道路を挟んで列ができていて。"おぉ!"ってテンション上がりましたね。
-いろんなバンドが出演するイベントやフェスだと、なお実感するかもしれないですね。お客さんが多いといいパフォーマンスができる感覚はありますか?
林:そうですね。対バン目当てで来た人が"トンボコープいいな"って思ってくれるのも嬉しいんですけど、やっぱりトンボコープ目当てで来てくれると、こっちまでテンションが上がります。
-楽曲はどういう感じで作っていくんですか?
雪村:基本、僕と林が曲を作って。お互い別々の曲を書いて、編曲は全部僕がやって、ある程度形にしてからメンバーのみんなに音源を渡して、アレンジを詰めて完成させています。
-雪村さんと林さん、それぞれのソングライティングの特徴ってありますか?
雪村:僕は編曲までできるので、細かいところまで詰めて、変化球も投げつつ、人に聴いてもらえるような工夫をしているんですけど、林はストレート、剛速球っていうか。一発聴いたら誰もの心に残るようなものを考えてくれるので、それが強みだと思っています。
-でかそさんは客観的に見られる立場でもあると思うんですが、おふたりの楽曲を聴いて、どういうところに魅力を感じますか?
でかそ:ふたりは作り方も違っていて。りん君はDAWを使っていて、その中でどういう順序で曲作りをしているかはあんまり知らないんですけど、最初から全体のサウンドをイメージして曲を作っている感じがして。引き出しが多いというか、さっきの話で言うと球種が多い。聴き手の需要に合わせる力が高いなって思います。で、龍之介はギター1本で、弾き語りで曲を作るスタイルなので。龍之介もバンド・サウンドをイメージしているとは思うんですけど、ギターと歌だけでいい曲ってわかるような印象があって。そこが、さっき剛速球って言っていたところに繋がるのかなっていう。
-雪村さんは、最初からDTMで曲作りをしているんですか?
雪村:はい。一番最初は、高校生のときに携帯のGarageBandってアプリで曲作りを始めて。そこからパソコンでDTMの使い方を勉強して、完全にそっちで作るようになりました。
-今はバンドとはいえDTMで曲を作ることも思うんですけど、DTMで作った曲をバンドに落とし込むって、すんなりできるものですか?
雪村:僕がバンド大好きでリード・ギターも弾けるから、完全にバンド・サウンドにした状態で(メンバーに)渡すので、DTMだからといってバンド・サウンドから悪い方向に逸脱したりはしないのかなと思っています。
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