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INTERVIEW

Japanese

のんぴー

2024年04月号掲載

のんぴー

Interviewer:山口 哲生

大事な部分を知らずに進んでしまうと、ひとつ挫折をしたときに、立ち直る力を持てないんじゃないかなと思った


-なるほど。先ほど路上ライヴのお話がありましたが、のんぴーさんも路上で歌っていたわけですけども、ほとんどギターが弾けない状態で立ったっていうことですよね?

そうですよ。だからTikTokで"チューニングしろ"って言われて炎上したんですよ。その炎上でチューニングのことを知りました。ギターは買ったらそのままギターだと思っていたから。だってそうじゃない?

-たしかに最初はわからないですよね。

でしょ? ギターを買うじゃないですか、コードを見るじゃないですか、押さえたらその音が出ると思うじゃん。なんなん、チューニングって。で、チューナーを買ったっす。そのときの動画を今見返すと酷いなぁと思うんですけど(笑)、それもそれで思い出ですね。

-路上で学んだこともいっぱいありました?

もう全然ありますよ! 去年の11月にワンマン・ライヴをさせていただいたんですけど、5,000円のチケット800枚を路上ライヴで手売りだけで売り切るっていうことをしていて。その理由は、今の時代に手売りだけで売り切るアーティストって、そんなにいないと思うんですよ。でも、例えば誰かに本当に大切なお願い事をするときって、電話じゃなくて会いに行くじゃないですか。私は、800人規模のワンマン・ライヴをできないことは自覚していて。でも、やると決めたならば、直接自分の声を届けて、買いたいと思った人にちゃんと手渡しで売るっていうことを、ちゃんと根本に持っておきたい。そうしておかないと、このままSNSとかで一気に広まっていったときに、そういう大事な部分を知らずに進んでしまうと、ひとつ挫折をしたときに、立ち直る力を持てないんじゃないかなと思ったんですよね。誰にも負けない土台を作りたかったから、手売りにこだわったんです。

-もう本当に一歩一歩ですね。これをやってきたんだという自信を積み上げていくという。

私自身、こういう性格なのもあって、路上ライヴをやっていると酔っ払いに絡まれることもあるんですよ。お酒かけられたりすることもあって。

-かけられる!?

これは悪意があるわけじゃなくて、"お姉ちゃん、歌うまいね~"みたいな感じで、シャンパンみたいにかけてくるっていう。そうやって絡まれたりとか、ムカつくことはたくさんあるんですけど、私たちの目標はチケットを売ることなんで、キレたところでしょうがないんですよ。酔っ払いに絡まれても、鳥のフンが落ちてきても、炎上しても、許可書ありますか? とか言われても、目標が明確なら耐えられる。一応人間なので、"お前知ってる!"って近い距離で指を指されたらムカつくんです。"お前知ってる!! 誰だっけ!?"って言われたら、"お前が誰だよ"って思うんですよ。でも、"のんぴーと申します! よろしくお願いします! 11月にワンマン・ライヴがあるんで、もし良かったら来てください!"って笑顔で言い続けるというのは、人間としてすごく成長しますよ。

-いやぁ、すごい。

そういう忍耐力だったり、小馬鹿にして行く人もいるけど、立ち止まってくれる人もいて、そこでやっていて良かったなっていうことだったり、その経験は何にも負けないなと思いますね。

-でも、酒をかけられるのはさすがにシンドイですよ......。

全然ありますよ。うちら全然お金なかったんで、全国で路上やります! って言っても、お金をいただいているわけじゃないから、全然儲からないんですよ。20都道府県行ったんですけど、ファンから貰ったカップラーメンを片手に車中泊したりとか、それか日帰り。だから本当に全国を行っただけっていうか。

-いわゆる観光とか、そういったものは一切しなかったと。

北海道でも沖縄でもマック食べてたし。1回ファンの方から貰ったコンビニ弁当みたいなのを食べたこともあったけど。だから、もし叶うならば、前泊して、ご当地の美味しいものを食べたい! それが今年の目標! 今回のツアーは夜なので、1泊しないといけないんですよ。(※隣に座っているマネージャーに向かって)食べような?

-ぜひ食べてください(笑)。ここからは先日配信された1st EP『一日一笑』についてお聞きできればと思うんですが......。

聴きました!? 良くない!?

-うん。いいEPでした。

私もそう思います!

-より広いところに打って出てやろうっていう気概とか、のんぴーさんがここまでやってきたことや、ご自身の気持ちをしっかりと表していて、すごく清々しい1枚だと思いました。

そうなの。もうね、「一日一生」は"ライオン・キング"みたいにしたくて。全動物を引き連れて、最後に王になって、みんなが"わぁー!"ってなってるシーンあるじゃないですか。あのシーンを思い浮かべて、最後のヴァイオリンとかを入れたんですよ。壮大さを出したくて。

-その曲も後ほどじっくりお聞きするとして、EPを作るにあたって、どういう1枚にするかというのは、かなりイメージがあったんですか?

"一日一生"というのは、今回のライヴハウス・ツアーのテーマでもあるんですけど、自分たちがそういう年になるだろうなと思っていて。ちょっと話を戻しますけど、"一日一生"と言ったからには、その曲を歌えるようなアーティストにならなきゃいけないんですよ。ただ、今回は結構無謀なツアーというか。800枚を売り切るのに10ヶ月かかったのに、今回は総集客が3,500人で、桁が1個違うんですよ。そうなると、自分たちが"一日一生"で生きていかないと、たぶん足りない。なので、自分が「一日一生」を歌うことによって、そういうアーティストでいなくちゃいけないし、みなさまの期待に応えなきゃいけないし、そういう1年にしたいなと思って、この曲を書きました。

-目標に向かうためにも、この曲が必要だったと。

そうです。それが「一日一生」という曲ですね。「へいよう」という楽曲は、さっき話した路上ライヴでの自分の思いを書いてるんですよ。だから、その2曲は自分のために作ってるんです。自分が伝えたいことや、自分の歌手像を伝えていて。で、「ウロボロス」はファンのみなさまが私に求めているのんぴー像を分析して書きました。どういう年齢層が、どういう形で、私に何を求めているのか。それを自分の作りたい音楽と融合させたものが「ウロボロス」なんです。その3曲を1枚のEPに入れるというのは面白いなと思って。あと、このEPでツアーを回るわけだから、そうなったときにライヴがもたれないようにしたのと、もともとこのEPは3月22日に出す予定だったんです。

-そうだったんですね。

さっき話しましたけど、高校時代に"ねえねえ、のんぴー、曲作ってよ"って言ってたのは、今のマネージャーともうひとりいるんです。うちらは3人組で仲が良かったんですけど、そいつの誕生日が3月22日なんですよ。で、のんぴーが歌を歌い始めたのは、"ねえねえ、のんぴー、曲作ってよ"って毎日言われ続けたことだったから、言ってた奴にそろそろ曲を書くかと思って作ったのが、「ヲレら」っていう曲になってます。これを誕生日プレゼントとして、っていう。まぁ、歌手として一番最初に曲を送るのは、そいつかなって。