Japanese
Re:name
2021年01月号掲載
Member:高木 一成(Ba/Vo) Soma(Gt/Cho) ヤマケン(Dr)
Interviewer:高橋 美穂
大阪発の3ピース・バンド、Re:nameが2ndアルバム『postmodern indie』をTOWER RECORDSにてリリースした。2016年に結成されてから、数々のイベントに出演し、名と音を広めてきた彼らだが、今作は決定打と言えるような1枚だ。ルーツが洋楽であることが見えるカラリとした空気感や、心地よいグルーヴ感。それでいて、親しみやすいメロディや、音源ならではのアレンジなど、幅広いリスナーの耳を掴む工夫が散りばめられている。まだ平均年齢21歳。可能性の塊のような3人に、今作についてはもちろん、バンドのこれまでとこれからについても、詳しく訊いた。
-いろいろあった2020年ですので、まずはアルバムをリリースした心境から教えてください。
高木:この2020年は、アルバムの制作にずっと費やしてきたので、無事にリリースできてホッとしています。
ヤマケン:曲自体はほぼ一成が作っているんですけど、自粛期間で時間があったから、こんなにたくさん曲ができたのかな、というのもありますね。
Soma:ほんとに今回のアルバム、いろんなことに挑戦していて。僕たちのいろんな可能性を見せられる1枚になったと思います。
-"postmodern indie"というタイトルからも意志を感じますが、いかがでしょうか?
高木:僕が付けたんですけど、今回新しいことに挑戦したいという気持ちが大きくて、そういうコンセプトのアルバムなんです。あと、もうひとつ、他のインディーズ・バンドと違うことをしたいので、新しいインディー・ミュージックっていう意味のタイトルにしたかったんですね。アルバムのタイトルって目に入るじゃないですか。だから、カッコいい言葉を使って、パッと見どういう意味かわからんようにしたいっていうところで、こうなりました。
-その、他のインディーズ・バンドと違うことをしたい思いは、活動を続けていくうちに大きくなってきたものなのでしょうか?
高木:その気持ちは、バンドを続けていくなかで生まれてきましたね。最初は、僕の曲の強みがなんなのかわからなかったので、とりあえず作れる曲を作っていたんですけど、だんだん"Re:nameって、こういうところが他と違っていいよね"と言ってもらえるようになって。強みをわかり始めてから、もっと他のバンドと違うことができるんじゃないかなって思うようになって、今回のアルバムで爆発したというか(笑)。やりたいことをやった感じになりました。
-自分たちのルーツも、より曝け出せるようになったんでしょうか?
高木:僕は中学校の頃から洋楽を聴いていたので、洋楽に影響を受けた曲作りは最初からやっていたと思うんですけど、バンドを続けていくなかで、僕が聴いている音楽もだんだん変わってきて。今回は、いろんなジャンルの音楽を吸収して、それをそのまま出していこうってなりましたね。
-アルバムを聴いていると、とても新鮮な音楽性なので、ルーツがすごく気になるんですよ。だから、この機会に、おひとりずつルーツをうかがえればと思うのですが。
高木:僕はONE DIRECTIONをきっかけに洋楽にのめりこんだんですけど、バンドにハマったきっかけは、ONE DIRECTIONのオープニング・アクトで有名になった、5 SECONDS OF SUMMERです。見てカッコいいなって思って、ギターを始めました。今、一番ハマっているバンドはTHE 1975ですね。あんな感じの、幅広い音楽ができるバンドになりたいなって思っています。
-洋楽とはいえ、レイドバックしたところではなく、ONE DIRECTIONが入り口というところに、新世代感というか、リアルタイム感がありますね。
高木:そうですね。昔の洋楽は、あんま詳しくないんです。ただ、好きなバンドが昔のバンドに影響を受けているというところで、テイストが吸収できているんだと思います。
-ヤマケンさんはいかがですか? 今作では「ティーンエイジャー」で日本語詞を書かれていらっしゃいますが、やはり邦楽ですか?
ヤマケン:そうですね。メンバーそれぞれ、好きな音楽は違うんですよ。僕はあまり洋楽を通っていなくて、サザン(サザンオールスターズ)、ミスチル(Mr.Children)、SMAP、back numberみたいな、日本の王道ポップスを聴いて育ってきて。一成の曲は洋楽っぽいですけど、総じてメロディがいいんですよね。日本のポップスにあるメロディの良さが、一成の曲にもあるので、洋楽をあまり通っていない僕にもすぅっと入ってくるというか。だからRe:nameの楽曲は好きですし、自分が作る楽曲にも、そういうエッセンスが入っているのかなって思います。今ハマっているのは、星野源さんやKing Gnuのような、メイン・カルチャーで活躍しているけれど、実は尖っている人たち。バンドをやっているなかで、そういう人たちをすごくカッコいいなって思うようになりました。
-ヤマケンさんのポップな感覚、日本の今の感覚も、バンドにとってはきっと大事ですよね。Somaさんはいかがでしょうか?
Soma:僕はバンドをがっつり聴いてきたわけではないんですよ。中学が高木と一緒で、その頃に洋楽をめっちゃ薦められて聴いたりして。Justin Bieberとか。最近はtofubeatsとか、ヒップホップをメインに聴いています。歌詞とかよりも、ノリを聴くことが多いですね。
-なるほど。Re:nameって、メロディはもちろんいいんですが、リズムやリフで聴かせる曲も多いので、フェイヴァリットがヒップホップというのは納得です。ここからは、よりアルバムについて詳しくうかがいたいのですが、いつぐらいから制作していたのでしょうか?
高木:去年の12月に前作(3rd EP『Lovely Day』)をリリースしたんですけど、いつぐらいにアルバムを出そうってなったのかな。ヤマケン、覚えてる?
ヤマケン:次はアルバムにする? ってなんとなく考えてはいたんですけど、自粛期間に一成がデモをいつもの倍ぐらいのペースで送ってくるようになって、アルバムで絶対にいけるなと思うようになりました。
高木:僕はできた曲をメンバーと共有しようと思って、どんどん送っていたので。収録されている曲の中で最初に送ったのは、去年の12月とか今年の1月とかでしたけど、そこからコンスタントに新曲をあげていきました。だから、制作期間ということになると、2020年の初めぐらいからになりますね。
-ライヴが止まっても、高木さんの創作意欲は止まらなかったっていう。
高木:そうですね。時間もありましたし、デモのクオリティを上げるためにいろいろ調べたり、知らないアーティストを聴いてみたりしていました。
-状況に絶望して立ち往生する、ということはなかったんですね。
高木:そうですね。僕ら、他のインディーズ・バンドと比較すると、ライヴに重きをあまり置きすぎていないところがあって。ライヴもしてはいるんですけど、音源や、MVのように作品で勝負したいところがあるんですよ。だから、たしかにライヴができなくなったことは大きかったですけど、あまりブレることはなかったです。
-なるほど。先ほどからお話を聞いていてもわかるように、楽曲の振り幅は大きいですよね。私MVから観て、最初は「FILM」、次に「Swingboat」だったんですよ。この2曲からして、MVのイメージも曲調もまったく違うじゃないですか。陰と陽というか。
高木:そうですね。
-まず、「FILM」ですけど、みなさん平均年齢20歳ですよね?
高木:今、僕が20歳で、ふたりは21歳です。
-「FILM」はタバコと酒、いわゆる脈々と続くロックンロールのイメージを彷彿とさせるアイテムが出てきて。それを20歳のバンドが作っているのは、インパクトありました。
高木:「FILM」はアルバムの中でも最後にできたんです。僕のイメージとしては、アルバムをめくっていって昔を懐かしむ、みたいな曲だったんですけど、MVは監督の方にお願いしたんですよ。あと、ヤマケンもアイディアを出してくれて。だから、僕が曲を作ったときのイメージというより、客観的に曲を聴いたときのイメージが、MVになっているんだと思います。
ヤマケン:いつもデモを貰うときに、なんとなくの画が浮かぶんですよね。「FILM」のMVはその画が再現されていると思います。監督にも、暗い、裏路地みたいな雰囲気でお願いしますって言ったら、そこに監督のエッセンスも加わったものになって。MVは、作り手の一成のイメージも尊重したい。でも、そことリスナーのイメージが離れていても良くないっていつも思っているので、今回、うまく調整する役割を果たしたかったんです。
Soma:僕も、ヤマケンとイメージは共有したんですけど、僕が想像していた以上のものが完成したと思います。めっちゃいいMVになりましたね。
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