Japanese
リツキ
2017年12月号掲載
Interviewer:秦 理絵
2008年からスタートした"閃光ライオット"の意志を引き継いで、TOKYO FMの人気番組"SCHOOL OF LOCK!"とEggsがタッグを組んで開催している10代限定の参加型音楽フェス"未確認フェスティバル"。その2017年のグランプリ獲得アーティストであるシンガー・ソングライターのリツキが、12月20日に初の音源作品となる1st EP『DAWN TO YOUTH』をリリースする。彼は現在高校2年生。人生2度目のライヴで3,000組以上の応募の中からグランプリに輝いた圧倒的な才気は、アコースティック・ギターと歌のみというシンプルな録音でパッケージした今作から十二分に伝わってくるはずだ。
-"未確認フェスティバル"の反響がすごいですね。"天才"だと、いろいろな方から絶賛の声が上がりっぱなしです。
天才じゃないですけどね(笑)。でも褒めてもらうのは嬉しいです。
-新木場STUDIO COASTで行われたファイナルのステージは覚えてますか?
覚えています。楽しかったです。まさかあんなに大勢の人に聴いてもらえるとは思っていなかったので、すごく嬉しかったですね。
-まだ音楽を始めてから間もないと聞いていますが、今回はどうして"未確認フェスティバル"に応募しようと思ったんですか?
1年前ぐらいにアコギを弾き始めたんです。それまではエレキ・ギターをやっていたんですが、アコギを持ったから何か弾き語りをやれたらいいなと思って、自分で曲作りを始めました。そうすると"人に聴いてほしいな"と思うようになったんですよね。でも親とかは嫌なので(笑)。コンテストに応募すれば、誰かひとりは聴いてくれるじゃないですか。審査員の人とか。もしかしたら10秒ぐらいかもしれませんけど。
-とにかく誰かに自分の作った曲を聴いてほしかった。
そうなんです。誰にも聴かせずに20曲ぐらいはあったので、断片だけっていうのも合わせたら70曲ぐらい作っていました。
-その前にエレキ・ギターをやってたのはバンドでですか?
いや、バンドもやりたかったんですけど、1、2回練習したら終わっちゃうみたいな感じだったんです。そのときは歌でもなかったので、趣味にもならない程度でしたね。
-エレキ・ギターを始めたきっかけはなんだったんですか?
覚えてないんですが、小学校4年生ぐらいのときにNIRVANAとかTHE BLUE HEARTSの曲をやりたくて、楽器もできない子を誘ってバンドをやろうとしたんですよ。もちろん僕も楽器ができないから、結局、何もできずに終わった感じでした。
-当時、好きだったのがNIRVANAだったんですか?
そうなんです。ギターがかっこいいなと思ったんですよね。
-今回のEPに収録されている「スコットランド・ダンス」っていう曲には、歌詞にフリッパーズ・ギターも出てきますね。
フリッパーズ(フリッパーズ・ギター)は親の影響で聴いていました。そこから音楽に興味を持つようになって、いろいろな音楽を聴くようになっていったんです。
-そういう音楽を聴いてるとクラスの中では浮いてませんでしたか?
完全に浮いてましたね。小学校のころから中1ぐらいまでは日本のロックを聴いてたんです。まだ当時はRADWIMPSとかも周りの人は聴いてなかったのでその時点でも合わなかったんですが、中学校ではジャズやゆらゆら帝国を聴くようになって、さらに合わなくなりました。"変な曲を聴いて奇をてらってる"とか言われるんです。自分では良さをわかってるつもりだったので、すごく嫌でした。"未確認フェスティバル"に応募してグランプリを獲るまでは、変な奴って言われていましたね。
-でもグランプリを獲ったら風向きも変わった?
一気に。友達も僕が言ってる音楽を聴くようになって、"いいね"って言ってくれるようになりました。
-自分で音楽を作ろうと思ったのも、そのあたりのフラストレーションからですか?
曲を作ろうと思ったのは、たくさん音楽を聴いているなかで、自分がこういうのが聴きたいのになっていうのを聴けなかったからですね。
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今年8月に開催された"未確認フェスティバル2017"のファイナル・ステージで、シンガー・ソングライターとして初めてグランプリに輝いたリツキの1st EP。そのステージで披露された「偏見」のほか、グランプリ獲得後に書き下ろした新曲も含めて全4曲が初の音源化となる。アコースティック・ギターとリツキの歌のみという必要最低限のシンプルな弾き語りによる研ぎ澄まされた音像には、言葉にすることはできない焦燥や葛藤、孤独のようなものがざらついた質感のままパッケージされている。新たに書き下ろした「スコットランド・ダンス」が放つ陽性のアプローチにリツキの底知れない可能性を感じつつ、わずか4曲に作品としての奥行きまで意識したバランス感覚も含めて、やはり逸材だ。(秦 理絵)
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