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INTERVIEW

Japanese

YAJICO GIRL

2017年09月号掲載

YAJICO GIRL

Member:四方 颯人(Vo)

Interviewer:秦 理絵

新人アーティストの活動を支援する"Eggsプロジェクト"とTOKYO FMの人気ラジオ番組"SCHOOL OF LOCK!"が主催する10代限定のロック・フェス"未確認フェスティバル2016"で3,000組以上の応募の中からグランプリを獲得したYAJICO GIRL(通称:ヤジコ)。多くの新人オーディションでもグランプリを総なめにする現役大学生の5人組ロック・バンドが、9月6日にニュー・ミニ・アルバム『沈百景』をリリースする。収録されているのは鋭利でありながら、人肌に寄り添うような温もりと哀愁を湛えた新世代ロック・ミュージック。彼らはいまバンドに吹く追い風をどんなふうに受け止め、今作を作り上げたのか。メンバーを代表して、全曲のソングライティングを手掛ける四方颯人にメール・インタビューを行った。

-メンバーは2012年に高校の軽音部で結成されたそうですが、バンドを組もうと思ったきっかけは何ですか?

日本のロックが好きだという共通点だけで組みました。最初にバンドを組んで、そのバンドで3年間活動するというシステムだったので、お互いどんな人なのかもわからないままなんとなく組みました。

-最初にバンドを組んだときに目指していたバンド像はありましたか? それは現在のYAJICO GIRLの音楽性に繋がっていますか?

目指していたバンド像的なものは特にないかもしれません。高校時代にいろんなバンドのコピーをしていたので、そのなかでなんとなく"これはいい感じ"、"これはちょっと違う"みたいな共通認識ができたのかもしれないです。

-それぞれメンバーが影響を受けた音楽を教えてください。

僕はASIAN KUNG-FU GENERATION、フジファブリック、チャットモンチー、サカナクション、くるり。榎本(陸/Gt)は、WEEZER、BUMP OF CHICKEN、RED HOT CHILI PEPPERS。吉見(和起/Gt)はYogee New Waves、The SALOVERS。武志(綜真/Ba)はPIXIES、フジファブリック、古谷(駿/Dr)はおそらくJ-POPです。

-ヴォーカルの四方さんが全曲の作詞作曲を担当していますが、YAJICO GIRLとして初めて作った曲はどんな曲でしたか? それはいまも演奏していますか?

大学受験生のときに"渇き。"という映画を観て、それに影響を受けて「スーパードライ」という曲を作りました。最近は全然やってないです。

-YAJICO GIRLは"未確認フェスティバル2016"でグランプリに輝いていますが、応募しようと思った理由を教えてください。

"閃光ライオット"(※"SCHOOL OF LOCK!"主催で2008年~2014年まで開催されていた10代アーティストのみの"参加型ロック・フェスティバル"であり、"未確認フェスティバル"の前身イベント)のときから、すごいバンドを輩出しているオーディションだということはメンバー全員知っていたので、とりあえずまだ10代やし、出してみようっていう感じになりました。

-ファイナル・ステージに辿り着くまで3回の審査がありましたが、ひとつずつステップアップするかたちで合格の報告を受けたときには、どのようなことを感じましたか?

ステップアップするにつれて、自信が湧いてきました。最終審査を通って、ファイナルに出れると決まったときはやっぱり一番嬉しかったです。"優勝したい!"という気持ちよりも、"コースト(新木場STUDIO COAST)でライヴできるんや"という喜びが大きかったです。

-ファイナル・ステージに立ったときは、どんな心境だったのでしょうか?

いつもやってるライヴハウスの十数倍のキャパだったので、とにかく"でかい"と思いました。"未確認フェス"のお客さんはすごく活気があって、めちゃくちゃ盛り上がってくれるので気持ち良くライヴできました。

-昨年は"未確認フェスティバル"の他にも数々のコンテストで優勝しています。そんな現在のバンドの状況をどのように受け止めていますか?

自分たちの音楽を気に入ってくれてる人がたくさんいるということなので、本当に嬉しいです。客観的に見て自分たちに実力があるとはあまり思えないので、曲に引っ張ってきてもらったイメージです。

-そうした状況のなかでリリースされる初の全国流通ミニ・アルバム『沈百景』は、良質なポップスであり、同時に掴みどころのない感情と真正面から向き合うような鋭さを持ったロック・アルバムだと感じました。どんな作品になったと思いますか?

音楽的なところで言うと『ひとり街』(2016年リリースの1stアルバム)でできなかったことをたくさん試せたかなと思います。アレンジの幅が広がったと感じています。当初から音楽を仕事にしていくという"決意"や、決意することで生じる"別れ"を描きたいと思っていたので、いましか書けない曲が5つできあがったかなと思ってます。

-ミニ・アルバムのタイトルを"沈百景"にしたのは、どんな意味がありますか? "毎日の生活の中で沈んだ気持ちに寄り添う作品"という意味かな、と想像しました。

僕の中で音楽としっかり向き合うことって"潜る"だったり"沈む"というイメージが強くあって、沈んでいくことで見える景色があると思うし、それを目指したいという意志を込めて"沈百景"と名づけました。でも、沈んだ気持ちに寄り添うというのも素敵だなと思いました。