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INTERVIEW

Japanese

Ran

2020年08月号掲載

Ran

Interviewer:三木 あゆみ

この夏、二十歳を迎えるシンガー・ソングライター Ranが、誕生日目前にデビュー・ミニ・アルバム『無垢』をリリースする。"自身に向き合った嘘のないもの"をテーマとした今作は、様々な感情や視点に寄り添った6曲が収録されている。普段は表に出せないような感情や、うまく言い表せない複雑な思いを吐露するような彼女の歌は、誰もが抱く鬱屈とした気持ちにもリンクし、それを溶かしていく力がありそうだ。彼女にとって、初めてのCDとなる本作について本人に訊いた。

-Ranさんは来月で二十歳になられるそうですが(※取材は7月下旬)、"もうすぐ成人だ"みたいな実感はありますか?

15歳を過ぎたくらいあたりから、"もう15歳かぁ。あれ? 16歳になっちゃった。うわ! 17歳になっちゃった。え、もう二十歳か!"みたいな感じがあって。

-そういうのって、気づいたらなっているって感覚ですよね。自分でこういうところが大人になったなぁと思ったりすることはありますか?

曲の詞の書き方とかもそうなんですけど、最近になって考えが丸くなったなぁって思うようになりました。

-どういうところでそう思ったんですか?

例えば、私は本とか小説とか映像とかからいろいろと取り入れることが多いんですけど。曲を作り始めたくらいのころは、その物語はどこで何が交差してるのかとか、間違い探しじゃないですけど、疑うような目で見ていたんです。でも最近は、その物語自体を自然に受け取るというか。恋愛の物語であれば、そのふたりの関係性を重視するとか、そういう見方に変わってきたような気がしています。

-そうなんですね。今年に入ってからは初のサブスク配信など、シンガー・ソングライターとしての活動でも、新しいことや変化がいろいろあったと思うのですが、改めて振り返ってみていかがですか?

ここ1年で周りの環境もそうですし、いろんなことが一気に前に進み始めたというか、変わり始めたなってすごく感じてました。サブスクが配信したころは頭も身体もついていくので精一杯で、ついていけてるのかどうかもわからないような自分だったんですけど、いろんな方に曲を聴いていただく機会ももちろん増えましたし、聴いてくれた方からのメッセージとか、目に見えるもので伝わってくるということがあって。そこからまた、いろんな感情が生まれたりして、そういうところで変化を感じることはありましたね。

-そして、誕生日目前にデビュー・ミニ・アルバム『無垢』をリリースされることが決定しました。自分への誕生日プレゼントにもなりそうですが、CDを出すことが決まったときの心境はいかがでしたか?

もう、素直に"嬉しい!"って感じで。曲の構成とかどうしようってすっごく悩みましたね。

-今作には、すでに配信リリースされている「環」、「蘇生」、「ご飯の食べ方」に加えて新曲3曲も収録されていますが、こちらは今作のために書いたものですか? それとも以前からあった曲ですか?

「靡かない」、「悲劇ごっこ」は、私が曲を作り始めたころからあった曲で、「黒い息」は一昨年の冬に東京に来たんですけど、上京して半年ぐらい経ってから書いた曲で。なので、今作のために書き下ろした曲ではないかもしれないです。

-そうだったんですね。個人的には先行配信の3曲と新たに収録される3曲がすごく対照的だなって思っていたんです。今回の収録曲について、何か意識したことはありましたか?

『無垢』は、言ってしまえば自分中心に書いたアルバムなんですよ。物事に対して"こういうのが嫌い"っていう直接的な感情だったり、そういうことが自分を蝕んで変えてしまうんじゃないかっていう思いだったり、自分から違うものに変化することや新しいところに進むのが怖い気持ちだったり、そういうのをむしろ外に出していこうみたいな。

-なるほど。今作は、"自身に向き合った嘘のないもの"がテーマということですが、普段表には出さないような自分しか知らない感情や思いを出していたり、潜んでいる影の部分にも迫ったりするような曲が詰まっているなと感じました。このテーマはどういうところから生まれたんですか?

最初はギターの弾き語りでアーティストさんの曲をカバーしていたんですけど、自分が曲を作りたいって思ったきっかけが、周りに対する憤りとか不安とか、うまくいかないこととか、そういうことを歌にしたいという思いから始まったんです。そこからずっと、そうやって曲を書いてきたので、今回のこのテーマが一番今の自分に出せるコンセプトのまとまりだと思って。そこから来ていますね。

-人間関係の中で感じることから曲が生まれることが多いんですか?

それが一番多いかもしれないですね。私は人が嫌いっていうわけじゃないんですけど、集団行動とかもそんなに長くはできないタイプなんです。ひとりでいたほうが楽しいというか。

-なんとなくそういう気持ちもわかるような気がします。今作のタイトルの"無垢"は、どういったところから付けられたのでしょうか。

結婚式とかの白無垢ってあるじゃないですか。最初にそれがぱっと浮かんで。で、今回のミニ・アルバム自体、色がないなと思ったんですよ。私は色とか結構気にするというか"こういう色だな"って思っちゃうタイプなんですけど、それがなくて。表すとしたら白とか黒とかそういうような色で、そこで白無垢の"無垢"っていう言葉が出てきたんです。自分が曲を作り始めたときの気持ちから変わらないものとか、そのまんまの私を表すような意味で付けました。

-今回のアーティスト写真や、ジャケット写真のアートワークもタイトルに関連していそうですね。モノクロでクールな印象で。

アートワークに関しては、私も含めてスタッフのみなさんと何度も話をして、いろいろなものを取り入れるというよりかは、こういうシンプルなものが一番しっくり来たんです。最初はこういうものって決めずに、スタジオとかでいろいろと試してみて、その中から決めていった感じですね。

-そうだったんですね。そして、1曲目「黒い息」もアートワークの雰囲気にぴったりだなと思いました。ダークな一面も見せている曲ですが、どのような背景でできた曲なのでしょうか。

この曲は書いた当時に抱いていた感情をぶちまけたみたいな感じで(笑)。

-(笑)どういう思いだったんですか?

周りの環境もいっぱい変わって、初めての環境に置かれたときに、自分がどうしていいか全然わかんなかったりしてて。そういう感情がリアルに言葉に表れているんじゃないかなと思います。