Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

sankara

2019年06月号掲載

sankara

Member:Toss(Rap) Ryo(Vo)

Interviewer:石角 友香

少年期をイギリスで過ごしたTossとハワイで過ごしたRyoからなるsankara。ラップや歌に日常的に触れてきた彼らの音楽は日本語と英語がスムーズに交差し、音楽性も洗練されていながらナチュラルだ。これまで地元でDIYな活動を続けてきたふたりだが、最近になって"SYNCHRONICITY'19"や"夏びらき MUSIC FESTIVAL 2019"など、幅広いイベントに精力的に出演。そんななか今回リリースするEP『BUD』は、具体的に彼らの音楽性を知らしめる名刺代わりの作品になるだろう。アーバン&メロウなバンド/アーティストがポピュラーになってきた流れで自然に聴けるうえに、ヒップホップのマインドを備えた存在感に注目したい。

-おふたりとも海外生活をされていたとか。

Ryo:幼少期ですね。僕は4歳から12歳までの8年間ハワイにいました。

Toss:僕はイギリスに小1から小5まで住んでました。

-Ryoさんは、ハワイの生活が今の音楽性にどういうふうに影響してると思いますか?

Ryo:やっぱりタイム感ですかね(笑)。ゆったり生活してるので、ハッピーなことはハッピーだし、そのへんのことは小さい頃に学んで、そのまま持ってきた感じで。最初は日本であんまり受け入れられなかったですけどね。ハワイのノリっていうのは(笑)。

-Tossさんはイギリスから帰国してどうでしたか?

Toss:僕の場合、日本人が誰もいない学校に行ってたので、プチ差別みたいなこともあって。それで反骨心というか、日本に来てもずーっとそういうことを思ってて、歌詞もちょっと捻くれた内容になってるかなと、自分でも思います(笑)。

-まったく違う背景を持ったふたりは、どんなきっかけで出会ったんですか?

Toss:高校の入学式で隣に座ってて、そこから3年間ずっと同じクラスで。いわゆる、ちょっと海外暮らししてて、英語できれば入れるみたいな学校に行って偶然知り合うという。そのときから音楽は一緒にやってました。

-お互いの印象はいかがでしたか?

Ryo:入学式のときは印象悪かったです。でも気づいたら仲良くなってました。同じクラスで席近くて、気づいたらラップしてて(笑)。結構すぐでしたね。

Toss:クラスに黒人がいたんですよ。その黒人がヴォーカルで、僕らがギターとベースで、謎のバンドを組んで、結構ミクスチャーみたいなを曲やってたんですけど、ふたりとも感触的には全然やりたいものとは違ってて、3ヶ月ぐらいで解散して。

-ミクスチャーではないと。

Toss:で、ふたりでやろうと。先輩がやってるイベントに"なんかやれ"って言われて行ったのがきっかけで、友達のDJのレコードのインストで無理矢理曲を作って、見よう見まねで書いて。それが最初のきっかけです。

-おふたりの高校はバンドを組むとか、何か音楽を始めるには話が早そうですね。

Ryo:そうです。休み時間、常に音楽が流れてました。

Toss:しかもヒップホップとか。僕らのとき、トランスとかギャル男みたいなのが意外といなくて、ダンサーとかが結構いて、音楽をガンガンかけても怒られない学校でした。

-時代としてはどのあたりですか?

Ryo:高校のときはR&B、ヒップホップの融合が全盛の頃じゃないですか? NELLYとかJA RULEとか。俺らが聴いてたのは別として、外国人が多かったんで、向こうのメイン・ストリームをガンガン流して、昼休みに聴いてましたね(笑)。今考えてみると、恵まれてましたね。自然に聴ける環境にいたんだなって。

-じゃあ、リファレンスは洋楽ばかりですか?

Ryo:そうでもないです。

Toss:初めて使ったインストはBUDDHA BRANDさんでした。今でも好きです(笑)。

-当時の音楽性は? 今はわりとメロウ・グルーヴ寄りですけど。

Toss:でも形は変わらず、パートも変わらず。歌があって、ラップやって、そのときよりはちょっと上手になったかな? ってぐらいです(笑)。

-トラックメイキングは?

Toss:僕ら、トラックに関しては昔から恵まれてて、当時から若いけど質のいいトラック作れる奴らが周りにいて。恵まれすぎて、自分たちが作る気も失せたというか。そいつらには勝てねぇし(笑)。じゃあ俺らは歌ってラップするよ、みたいな。

-sankaraは、MVでは都会的なイメージもあるけど、オーガニックでもあるというか。そもそもそういう音楽性なんですか?

Toss:そうですね。お互い、ライフスタイル込みでそれが好きなんだと思うので。

Ryo:オーガニックって自分たちで言うのは恥ずかしいけど(笑)。

Toss:超オーガニックではないけど、超都会でもないんで、ちょっとズレてる(笑)。間ぐらい。

-今回のEP『BUD』はリミックスも込みで6曲入りで、sankaraを紹介するにはちょうどいいボリュームという感じがしましたけど、どういう方向性で作りました?

Ryo:その場で今感じてるものとか、自分たちのこととか、内面のことが多かったです。

Toss:ほとんど自分たちのことですね。今のしがらみとかも含めて。

Ryo:吐き出したいこと吐き出して。

Toss:きれいに音楽にして、広まったらいいなっていう。

-日常的な景色ですもんね。

Toss:フィクションはあんまりないです。完全に自分たちのことで。

Ryo:それが誰かに寄り添う音楽になってくれればっていう。

Toss:そのマインドがヒップホップですね、僕らは。あんまジャンル関係ないし、意識してないんですけど、歌詞はそういうのが多いかもしれないです。

Ryo:音楽的にはヒップホップでジャジーなものとかは通ってるんですけど。

Toss:オフィシャルのジャズは俺らはわからないんで、仲間内のDJが元ネタを調べて、みたいな。

Ryo:逆に今の時代の音楽にフィットしてるのか、フィットしてないのかもわからないんですけど(笑)。

-フィットしてるでしょう。

Toss:1周回ってきた感じが最近すごくする。

Ryo:感覚的にいいと思ってるものはずっと変わらずにきてたから、今、それが"時代だよね"って言われると、嬉しいは嬉しいですね。

-sankaraの耳当たりの良さって、それこそ今事務所の棚にジャケが飾ってありますけど、Nulbarichとか。

Ryo:ははは(笑)。

-最近で言うと、TENDREとかとも通じる感じがします。

Ryo:めちゃめちゃ嬉しいです。

-彼らはバンドだったりするけど。

Toss:ゆくゆく売れたら、バンドでやりたい(笑)。

Ryo:まずはこのDJスタイルでそこと戦えるようになりたいですね。