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INTERVIEW

Japanese

Youmentbay

2019年12月号掲載

Youmentbay

Member:ヤマヤ(Gt/Vo) サクライエナ(Pad/Vo)

Interviewer:TAISHI IWAMI

ヤマヤとサクライエナの男女ツイン・ヴォーカルによるふたり組バンド Youmentbayが、3ヶ月連続でシングルをリリースする。ソウル/R&Bにヒップホップ、インディー・ミュージックやドメスティックなポップスなど、様々な音楽性をシームレスに往来するサウンドが魅力的だったセルフ・タイトル・アルバムから約10ヶ月。その1曲目となる「息をとめて」は、ギター・ヴォーカルのヤマヤとドラム・ヴォーカルのサクライに、サポート・ベースを加えた3人編成から、5人編成へとシフトし生楽器の強度にフォーカスしたライヴに対して、打ち込みを駆使したチャレンジングな曲に。そこにあるふたりの意図や音楽性の魅力を探って見えた"ポップだからこそ語れること"の追求とは。

-今年初めにリリースしたセルフ・タイトル・アルバムと、今回のニュー・シングル『息をとめて』を聴いて、現在進行のサウンドとノスタルジーと普遍性を併せ持つ、独自のポップ・センスをお持ちだと思いました。

サクライ:ありがとうございます。それは、"これをやる"とか、"こうなりたい"とか、決めずに曲を作り、活動しているからだと思います。

-理想のサウンドやミュージシャン像はないのですか?

サクライ:何かのブームの先駆けになった人たちって、影響を受けた文化や音楽はもちろんあれど、アウトプットはすごくオリジナルで、最初はどこにも属せなくてちょっと変わり者扱いされてたこともあったと思うんです。でも、それがいつしかひとつのジャンルとして語られるまでになった。そういう流れはひとつの理想ではあります。だから私たちも、自分たちから自然に出てくるものの可能性を信じて高めていきたいと思っていますね。

-その"先駆けになった人たち"とは、例えば誰ですか?

ヤマヤ:過去を振り返ることよりも、先を見ていろんなことに挑戦していった人たちですね。僕らが世代的に思いっきり通ったバンドだとASIAN KUNG-FU GENERATIONとか。今の日本だと断トツで星野源さん。日本に育ったことで染みついてる感性と、海外も含めた最新の動きを捉えて、自分なりに咀嚼するセンスのバランス感覚が圧倒的にすごくて、人の心に残る作品を生み出してる。本当に大好きです。

-おっしゃったようなアイデンティティは、Youmentbayを結成した当初からお持ちでしたか?

ヤマヤ:いえ。それ以前の、サクライと出会った頃まで振り返ると、ただ音楽が好きなだけで何も考えてませんでした。僕らは同じ大学の出身で、軽音サークルで出会ったんですけど、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とかくるりとかスピッツをひたすらコピーして楽しんでるだけの仲間同士で。

サクライ:BLINK-182をやってるときが一番楽しかったよね。

-今の路線だと、雰囲気的にくるりやスピッツはわかるんですけど、BLINK-182が最も楽しかったんですか? 曲はすごくカッコいいですけど、今のYoumentbayがやっていることと比べると、演奏が大味すぎません? 特にギターは。

サクライ:そのまんま"これで行くぜ"って感じ、清々しいじゃないですか。

ヤマヤ:あまりひとつのバンドやひとりの人物のすべてに没入して聴くタイプではないんです。元BLINK-182のTom Delongeも、すごく好きだですしカッコいいなって思うけど、ギタリストとしてどうこうというわけではなくて。

サクライ:うん。私もあんなにムキムキにはなれないし(笑)。おっしゃったように、曲がすごく良くて演奏が大味なぶんガチガチのコピーじゃなくて、私たちなりの演奏をハメて楽しむ幅があったから、好きだったのかも。

-そこからどのような経緯でYoumentbay を結成したのですか?

サクライ:私はドラムをやりたくてバンドを始めたんで、オリジナル曲を作る気はなかったんです。大学を卒業したあとは就職して、息抜き程度にヤマヤ君と演奏してたんですけど、そこで"曲作ってみよう"ってなって。完全にノリですね。歌うこともそのタイミングで始めたんですけど、やってるうちにめちゃくちゃ楽しくなってきて、Youmentbayを結成するに至ります。

-曲作りが楽しくなったのは、ヤマヤさんがいたからこそだと思うのですが、サクライさんにとってヤマヤさんはどんな存在ですか?

サクライ:友達は結構いるんですけど、自分だけだと想いはあっても形にできないことを、補完してくれるような、理解者ですね。ものを作るパートナーとしては唯一の存在だと思います。

-ヤマヤさんにとってのサクライさんは?

ヤマヤ:僕はサクライと違って、そもそも友達が少なくて。

サクライ:物腰は柔らかいから、周りと楽しくはやれるけど、友達のラインを"本当に全部話せる人"に置いてるから、少ないんだと思います。

ヤマヤ:って感じで、僕の貴重な理解者です。

サクライ:で、就職も嫌々したわけじゃないけど、ちょうど生き方の中で、自分にしかできないことを考えてた時期でもあったんです。そこに運良くヤマヤ君という仲間もいたし、これは本腰入れてやってみようかと。そして、初めて完成した曲が「Night Radio」でした。

-2018年初めにEPとしてリリースし、今年のセルフ・タイトル・アルバムにも入っている曲ですが、初めてとは思えないアイディア力と自由度を感じます。

ヤマヤ:技術的にもまだまだで、そんなに難しいことはしてないし、できないんですけど、いろんな要素が含まれてます。初めて作った曲ゆえの面白味のある曲であり、今となってはYoumentbayの魅力を象徴している1曲ですね。

-例えばサクライさんは、ここまでの話からすると、もともとは直線的なロック・ドラマーだったんですよね? そこからタメを効かせながら弾むドラムにすぐシフトできたんですか?

サクライ:BLINK-182の2ビートをあんなにも気持ち良くドカドカ叩きながらも、跳ねたドラムというか、今みたいなドラムをしたいという想いはずっと心のどこかにあったんです。打楽器自体は小中高と吹奏楽部に入ってやっていて、その中にはジャズっぽい曲もあったし、いろんな曲に触れてきたんで......。

-その経験が生きた?

サクライ:ということでもなく(笑)、その時期にやってたことを含めても、「Night Radio」みたいな曲はなくて。自分の人生に対して天邪鬼なのかもしれないです。やったことのない方向にばかり行っちゃう(笑)。

-イメージとしてはどんなことを思い浮かべて作ったのですか?

ヤマヤ:その頃は、アフロとか、南米ものとか、フィジカルの強いリズミカルな音楽をよく聴いていました。あとは、THE INTERNETとか。ソウルやヒップホップが根にある、バンドというよりは、コレクティヴのような人たちの音楽も好きでしたね。そこまで技巧的なことは僕らにはできないけど、あんな感じで自由にやってみようって。それが、結果的にいい緩さやポップ感に繋がったんだと思います。かと言って、そこに逃げることなく、演奏はちゃんと上達させなきゃいけないんですけど。

-手先のテクニカルな技巧よりも、インディー・ポップのローファイ感を求めたように思いました。

ヤマヤ:それはあると思います。「Holiday」(2018年5月リリースの2nd EP表題曲)もそうで、ドラムやベースは濃厚なファンクなんですけど、ギターに関してはそこにリズミカルなカッティングを合わせていくというよりは、例えば、JAPANESE BREAKFASTやJay Som、Mitskiのような、ローファイ寄りのインディーにある、リバーブの効いた音の生む雰囲気をイメージしていました。