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INTERVIEW

Japanese

ゆるふわリムーブ

2018年05月号掲載

ゆるふわリムーブ

Member:網谷 直樹(Vo/Gt) 久保 真也(Gt) 本田 智志(Ba) 高宮 蘭真(Dr)

Interviewer:秦 理絵

昨年リリースした初の全国流通盤ミニ・アルバム『芽生』が"第10回CDショップ大賞2018"の"中国ブロック賞"を獲得するなど、地元広島を中心に少しずつ知名度を上げつつある4人組ギター・ロック・バンド、ゆるふわリムーブが5月16日に2ndミニ・アルバム『綻び』をリリースする。テレビ新広島が企画する"全力応援プロジェクト"のテーマ曲として書き下ろしたリード曲「明日を鳴らせ」を始め、これまでバンドが得意としてきた恋愛系の曲以外にもテーマを掲げたことで、バンドの新境地を切り拓く異色作になった。"僕らは変化を恐れないことを伝えたい"と意欲を語るメンバー全員に話を訊く。

-前作『芽生』(2017年6月リリースの1stミニ・アルバム)が"CDショップ大賞"の"中部ブロック賞"を受賞しましたね。

網谷:純粋に嬉しいです。前作の『芽生』は、新しい出会いも芽生えたらいいなっていう願いも込めて作ったので。いい感じに実が結んだかなと思います。

高宮:CDショップの人たちからコメントをたくさん貰ったんですよ。僕らは"Eggs"っていうTOWER RECORDSのレーベルからCDを出してるんですけど、TOWER RECORDSじゃないCDショップの人からのコメントを貰えたのも嬉しくて。熱いですよね。

-『芽生』をリリースしてから半年ぐらいが経ちましたけど、バンドとしてはどのあたりに重きを置いて活動をしてきた期間でしたか?

網谷:やっぱりツアー(2017年7月に開催した"ゆるふわリムーブ「芽生」release tour 君と空の下で")が大きかったですね。ライヴを通して新しい人たちと出会えたらいいなっていうのはあったので。"どうやって表現したら、より自分たちの音楽が伝わるかな?"とか考えながらライヴに臨んでました。

本田:そのためにも、とにかく練習っていう感じでしたね。

久保:自分たちがなりたいイメージにどうやったら近づいていけるかっていうギャップを埋める時間でもあったと思うんですよ。今もずっと模索中なんですけど。ずっと自分たちの方向性みたいなものが定まらなかったんですよね。最近やっと"ネガティヴ・ポップ"っていうものに固まってきたかなと思うんです。

-"ネガティヴ・ポップ"とは?

網谷:いろいろ取材とかを受けてるときに、"歌詞は暗いのに、曲調はポップだね"って言われて、"これだ!"と思ったんです。

本田:それが自分たちでも"しっくりくる"ってなったんですよね。"ゆるふわリムーブ"っていうバンド名は、"ゆるふわ"っていうポップなものと、"リムーブ"(取り除く)っていうネガティヴっぽい意味なので、それもあるのかなって。

-やっと自分たちの音楽の正体を掴むような手応えがあったんですね。

網谷:僕らはそこまでポップに振り切れてるつもりもなかったし、ガチガチのギター・ロックっていう感じでもないしね。

本田:ちょっと中途半端な感じがしてたんですけど、"ネガティヴ・ポップ"っていうものが自分たちの真ん中にきたというか。やっと落ち着いた感じですね。

-そんなふうに自分たちと向き合う1年弱を経てリリースされるのが、2枚目のミニ・アルバム『綻び』だと思いますけども。リード曲「明日を鳴らせ」はテレビ新広島が企画している"全力応援プロジェクト"のテーマ・ソングだそうですね。これはどういう企画なんですか?

高宮:広島のスポーツを盛り上げて、広島で頑張る人の背中を押すっていうものなんです。例えば、テレビ新広島の番組のスポーツ・コーナーで流れたりするみたいで。

本田:去年の夏ごろにテレビ新広島から連絡があったんですよね。そういう企画をやるので一緒に曲を作ってくれませんか? みたいな感じで。

-そのお話を貰ったときにはどんなふうに受け止めましたか?

網谷:僕自身あんまり誰かの背中を押すような曲を書いたことがなかったから、"大丈夫かな?"と思いました。でも、自分が全部歌詞を考えるというよりは、応募されたメッセージを集めて歌詞を書くっていうものだったので、書きやすかったです。

高宮:広島のスポーツといえば、"(広島東洋)カープ"とか"サンフレッチェ(広島)"なので、やっぱりチームへの"頑張れ!"っていうメッセージが多かったし、僕らバンドへのメッセージもいただいたんですよ。それを読んで、"あとは網谷君に任せた!"っていう感じでしたね。

-実際に応募されたメッセージを読んでみて、どんなことを感じましたか?

本田:広島はやっぱり音楽よりもスポーツが盛んなんだなと思いましたね(笑)。

久保:"この企画でゆるふわリムーブを知ったよ"とか応援してくれる人もいたので。それは嬉しかったです。

網谷:あとは自分に向けての応援メッセージを書いてる人もいたし、家族に向けてとか。いろいろなメッセージがありましたね。

-中でも印象に残ったメッセージはありましたか?

網谷:"喝采の花束を"っていう言葉があったんですよ。頑張ってる人全員に向けて、その姿に喝采の花束をって。頑張っても、そのぶん必ずいい方向にいくわけじゃないかもしれないけど、結果何かが残るよっていう。なんかそういう意味もあるのかな? と思って、いい言葉だなと思いました。......歌詞にはならなかったんですけど。

本田:みんな入れたいって推してたんですけどね。

網谷:いろいろ考えて最終的には外すことになったんです。

-メッセージを受け取ってみて、一番表現したいと思ったものはなんでしたか?

網谷:頑張ってる人とか、今つらい想いをしてる人の背中を押すっていうより、一緒になって前に進めていけたらなっていう想いですね。

本田:応援って言っても、いろいろな応援の仕方があると思うんです。影ながら応援するとか、お母さんみたいに側にいてくれるとか。で、僕らの音楽はどっちかと言うと、"俺についてこい!"っていうのとは違うし、みんなを引っ張っていくよりは一緒に歩いていく方が合うと思ったんですよ。

久保:僕はこの曲の歌詞を聴いて、サビの"夢を描く今でも、今からでも"っていうところがいい言葉だなと思いました。何かを頑張ろうと思ってるときに、年齢とかは関係ないなって思うんですよね。たまに"若いときにやりたいことをやっとけよ"とか言われると思うんですけど、この歌詞は、"とりあえず思ったときにやり始めていいんだよ"っていうことだなと思ったので。いい応援ソングになったなと思います。

-それと並行してミニ・アルバムも作っていたそうですけど、今回の『綻び』に関して、こういう作品にしたいなっていうイメージはあったんですか?

網谷:ただいい曲を作ろうと思ってただけでしたね。でも結果、通して聴いてみたら、ひとつのストーリーができたというか。別れとかつらいことがあって、人を信じられないときもあるけれど、その経験を経て最後は「愛の花束」できれいに締まるっていう流れになったんです。本当にひとりの人間の人生みたいになってますよね。