Japanese
tonetone / YAJICO GIRL / 青はるまき / RiNGO TONE
Skream! マガジン 2018年09月号掲載
2018.07.01 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 三木 あゆみ
約3週間と長きにわたって開催されてきた下北沢LIVEHOLIC 3周年記念イベントもいよいよ本日が最終日、最終公演である。
その記念すべき最終公演のトップバッターは、フロントのふたりが双子という3ピース、RiNGO TONE。登場SEもなく、西野剛史(Gt/Vo)がおもむろに「ハートビート」を歌い始めると、アグレッシヴな演奏と力強い歌声が会場の雰囲気を一変させる。パフォーマンスは次第に熱量を増し、観客も手を挙げそれに応えていく。中盤では新曲のバラードも披露し、穏やかな一面も。そしてラストではアッパーなロック・チューン「新しい街」を演奏しステージを終えた。バンドの若々しさと勢いの裏側に一本筋の通ったものが垣間見え、彼らの魅力をこれでもかと味わえた40分間だった。
続いて登場したのは、静岡発の青はるまき。"ライヴを観て、「こいつらやれるな」と思ってもらえたから、こういう大事な日に呼んでもらえたのかなと思います。期待に応えられるように頑張ります"とあきやまさる(Vo/Gt)が、MCで言ったとおり、弾けるようにキラキラとしたキーボードの音色や、甘酸っぱいメロディが魅力の、ギター・ロック・サウンドで観客を魅了、そのあきやまの想いはしっかりと音楽で届けられていった。その後、女の子目線で別れを描いた「ブルースター」や、そのアンサー・ソング「君のシャンプー」など、"青さ"を武器にした楽曲を披露し、ラストはあきやまが10代最後に作ったという「1969」でフィニッシュ。そのフレッシュさで爪痕を残していった。
3バンド目のYAJICO GIRLは、ライヴ開始とともに暗幕が上がるという演出で登場。ステージには"YAJICO"の文字がひと文字ずつ飾られていたりと、見る者をワクワクさせヤジコ(YAJICO GIRL)の世界に引き込んでいく。思わず身体を揺らしてしまうメロディと、心に直接響いてくるヴォーカルが印象的な「Casablanca」からライヴは始まり、観客の心に火をつけるロック・ナンバー「鳴いてるロックンロール」、様々な音色を駆使し、夜の海の風景が脳裏に浮かんでくる「黒い海」など、多彩なセットリストで魅せていく。ラストの「サラバ」では、YAJICO GIRL独特の洋楽ライクなグルーヴ感を見せつけ、ステージをあとにした。
前3バンドが繋げてきたバトンを最後に受け取ったのは、4人組バンド tonetone。会場が揺れるほどの骨太なサウンドと、まっすぐな気持ちで歌い上げるヴォーカルが特徴的な「悪者」からスタート。歌いながら時折笑顔を見せる「さよならとロックンロール」や「桃色」など、カラフルな楽曲で楽しいムードを作り出したかと思えば、心を締めつけるような切ない「告白」を披露するなど、彼らのファンも他のバンド目当てのお客さんも飽きさせない緩急のあるセットリストを展開していく。耳馴染みのいいメロディに真心込めた歌詞が乗る正統派なロックが印象的な彼ら。そんな彼らのまっすぐなロック・サウンドは会場にいるすべてのお客さんの心に何かしらを残していったのではないだろうか。
6月9日からスタートし、今後の音楽シーンを担うであろう多彩なアーティストが数多く出演した下北沢LIVEHOLIC 3周年記念イベントは、こうして大盛況のうちに幕を閉じた。これからもここでたくさんの素晴らしいアーティストに出会えることを予感させてくれる、そんな1日であった。
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