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INTERVIEW

Japanese

Re:name

2021年01月号掲載

Re:name

Member:高木 一成(Ba/Vo) Soma(Gt/Cho) ヤマケン(Dr)

Interviewer:高橋 美穂

-そして、アルバムの1曲目を飾る「Swingboat」もMVがあって。こちらもロック・バンドらしい仕上がりなんですけど、まったく別の角度っていうか、爽やかですよね。

高木:「Swingboat」のほうが、今までの僕らっぽいんですよね。僕らの洋楽っぽさをブラッシュアップしたというか。「FILM」のほうが、新しいことに挑戦した感じです。

-さらに、アルバム2曲目の「Maybe I Was Wrong」で、またイメージが変わるじゃないですか。ポップ・パンクというか、それこそ、5 SECONDS OF SUMMERあたりのルーツが出ていますよね。

高木:これは前作のEPのリード曲でもあって。今まで大事にしてきたエッセンスが入っていますね。

-特に新しいことに挑戦した曲を挙げていただくとすると、「FILM」以外にどのへんですか?

高木:「Late Night City」は、シティ・ポップ寄りの曲を作ってみたくてやってみたっていうのと、あと「wasurete」ですね。「FILM」や「wasurete」みたいなダークな曲は、今まで書いてこなかったんですけど、今回は挑戦してみました。でも、全曲新しいことをやっているので、言い出すとキリがないかもしれないです(笑)。

-「wasurete」は、日本語のしっとりしたイメージのタイトルと、エッジの鋭い曲調とのギャップも面白かったです。

高木:この曲は、サビのメロディだけ前から浮かんでいて、いつか使いたいなって思っていたんです。最後のサビが英語なんですけど、もともと(他の)サビも英語で作ろうと考えていたんですよ。でも、洋楽に馴染みがない人にも聴いてほしくて、サビを日本語にしました。そうしたら、デモをメンバーに送ったとき、このアルバムで一番っていうくらい驚いてくれて、すごく嬉しかったですね。最初は、いつもと違うことをしようって気持ちはちょっとぐらいしかなかったんですけど、周りの反応から、いつもと違うんやなと気づいたっていうのはあります。

-「byebye」や、「seventeen」も、今の日本のロック・バンドの音としては新鮮でした。

高木:「byebye」も新しいことをやってみましたね。チープな音や、カントリーな音を入れたり。あと「seventeen」は、うっすら雑踏の音を入れたりしています。

-ヤマケンさんは、新しいことに挑戦した曲っていうと、どのあたりが浮かびますか?

ヤマケン:前までは一成の弾き語りにイチからドラムをつけていたんですけど、ここ最近、特に今回のアルバムは、デモの段階から基本のビートが入っていたんですね。それで一成から、この曲のドラムはあまり変えないでほしいとか、この曲のドラムはいじってもらっていいとか、注文を貰うんです。変えない曲はフィルや手癖で色をつけているんですけど、がっつり変えた曲だと、今回は「Future There」ですね。ここはこうしよっかなって、考えながら作っていった思い出があります。

-Somaさんはいかがでしょうか? 個人的な挑戦というところだと。

Soma:僕たちの曲って、あまりギター・ソロがないんですけど、「Late Night City」は長めのギター・ソロがあるので、こだわりながら作りました。

-ギター・ソロがある曲が少ないというのは、どうしてなんでしょうね? まぁ、最近の音楽は全体的に、ギター・ソロがある曲が少ないですけれども。

高木:3ピースで、ギターがひとりなので、今までは3人の音だけでライヴをやっていたんですけど、今回のアルバムから、ライヴで同期を使ったりサブで鳴らしたりすることを考えて、音数を多くしたので、ギター・ソロもできるようになりました。ライヴで同期を使うのって難しいのかな? って漠然と考えていたんですけど、自粛期間中、よくライヴでお世話になっている2nd LINE(LIVE SQUARE 2nd LINE)の音響の方に聞いてやっていたら、案外できるやんと思って。同期を前提として曲を作ってもいいんかなってなりましたね。「FILM」のイントロや、間奏のギター・リフも、今までなら避けていた要素ですけど、今回は入れてみて。同期を使うことによって、曲を自由にライヴで再現できるようになりましたね。

-アルバムとしては、最後の3曲の流れもいいと思いました。「We Got Love」って湿っぽすぎない、洋楽の影響下にあるからこそできるラヴ・ソングがあって、そのあとに今作の中でも突出して疾走感のある「Somebody Like You(2020ver.)」がきて、最後はすべての答え合わせのような、日本語詞の「ティーンエイジャー」で締めくくられるという。

高木:今回、CDには「Somebody Like You(2020ver.)」、「ティーンエイジャー」も入っているんですけど、配信は10曲目の「We Got Love」が最後なんですよ。だから、「We Got Love」がひとつの区切りになっているんですね。「Somebody Like You(2020ver.)」は、高校生のときに作った曲をアレンジしてレコーディングしたんです。「ティーンエイジャー」も、前作のEPでつけていた曲。だから、この2曲は今までの僕らで、10曲目までは新しい僕らみたいなイメージです。

-すごく納得です。この10曲に詰まっているRe:nameはどこから来たのか? っていうのが、「Somebody Like You(2020ver.)」、「ティーンエイジャー」を聴くとよくわかると。「ティーンエイジャー」はヤマケンさんも作曲に入っていますが、思い入れがある曲なんじゃないんですか?

ヤマケン:そうですね。今まで僕がRe:nameで作った曲は3曲あるんですけど、特に自分が入った曲だと思います。今見ると、ちょっと直接的すぎるかなって思うとこもあるんですけど、それがいいんじゃないかって。"ティーンエイジャー"っていうタイトルだし、構成もシンプルだし、メロディも直球だし。いろいろあった10代を曲にしたかったんですけど、この拙さ、シンプルすぎる感じもひとつの思い出として。昔の写真を見ているような感覚になる、すごく大事な曲ですね。

-それこそティーンエイジャーから、洋楽を聴いてきた大人の世代にも響く楽曲が詰まったアルバムになったと思うので、これからが楽しみですね。

高木:そうですね。僕らはライヴハウスで活動していますけど、普段ライヴハウスに来る人だけじゃなく、インディーズ・バンドの枠を越えて広がってほしいと思っています。

-1月17日からはツアー([Re:name 2nd Album "postmodern indie" Release Tour])が決定していますね。

高木:そうですね。ちょうど1年ぶりかな。今まで、いろんなところを回るツアーはしたことがなくて、今回もそんなに本数が多いわけではないんですけど、まだ行ったことがない福岡とかがあるので、いろいろ学べるとは思います。

-自粛期間もありましたから、ライヴができる喜びはひとしおですよね。

Soma:自粛期間中は発散する場所がなかったので、久々に大きい音を鳴らしたときは快感がありましたね。配信ライヴもありましたけど、お客さんの直の反応が徐々に見られるようになると......マスク越しではありますけど、嬉しいです。今回のツアーで各地を回って、ライヴの喜びを来てくれる方と共有できるのは、本当に楽しみですね。

-発散できる場所がなかったのは、我々リスナーも同じですからね。それを共有できたときに、さらなるライヴの醍醐味が生まれる気がします。ヤマケンさんはいかがでしょうか。

ヤマケン:こないだワンマンをやったときに、他府県から来てくださるお客さんがいてはって。"こっちにも来てください"と言われるんですけど、なかなか行けなかったから、やっと行ける! っていう。あと、僕個人の意見としては、ライヴで曲が完成すると思っているんですね。CDを出して、直接ライヴで届けて、曲が完成するっていう。だから、ツアーで『postmodern indie』の曲を完成させに行きたいです。

-無事に開催されることを祈っています。最後に、これからのRe:nameについて、どんなバンドになっていきたいかっていうところをうかがえますでしょうか。

高木:常に僕らしかやっていないようなことを追求して、その軸をブレさせずにやっていきたいですね。あとは、僕らの音楽をファッションみたいに扱ってほしいというか、"Re:name聴いている俺、カッコ良くね?"ぐらいに思ってもらえるような存在になりたいんです。僕の夢としては日本だけじゃなく、世界にも音楽を届けて、いろんな国にツアーに行ったりしたい。現状に満足せず、活動を広げていきたいなって思います。