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INTERVIEW

Japanese

Re:name

2025年02月号掲載

Re:name

Member:高木 一成(Vo) Soma(Gt) ヤマケン(Dr)

Interviewer:石角 友香

アメリカやイギリスの現行ポップ・ミュージックに影響を受けつつ、同時にJ-POPの歌詞が持つ身近さやリアリティも持つユニークなバンド Re:nameが、ファン以外のリスナーにもタッチポイントを増やしたミニ・アルバム『Give Me All Of Your Life』(2024年リリース)に続く、待望のフル・アルバム『GENIUS FOOL』をリリースする。天才に憧れる衝動は、何か新しく刺激的なものを作り出したいあらゆる人や、そんな音楽を求めている人の心に響くはずだ。充実作を作り上げたメンバーに話を訊いた。


天才って生まれ持ったものじゃないですか、だから天才になりたいと考えてる状態ってすごくバカらしくていいなと思う


-今回の作品は、フル・アルバムとしては2023年の『Mindwash』以来ですが、Re:nameをさらに知ってもらうためのアルバムという印象を持ちました。

高木:今回フル・アルバムで12曲入りなんですが、これぐらいのボリュームのアルバムを出したいと思っていました。ボリュームが前提にあると、曲を作るときにこんな要素もあんな要素も入れたいなっていうのがどんどん浮かんできて、それをほとんど全部曲にして詰め込んだみたいな感じなので(笑)、前回のミニ・アルバム『Give Me All Of Your Life』やそれ以降の曲たちは、全部キャラクターが違うけど、それがギュッと集まってるようなイメージですね。

-Re:nameは海外のポップスの影響が大きいバンドだと思うんですけど、今回はそれ以外にもウィングが広がってる曲もありますし、洋楽ルーツのカッコいいバンドのさらにその先なのかなと。

高木:そうですね。もともとイギリスやアメリカのポップスに憧れて音楽を始めたので、そこはブレずにやっていきたいんですけど、今回で言うと2曲目の「Vague (feat. 可不)」にボカロ的なAIの要素を入れてみたり、10曲目の「TOY」は僕がK-POPの要素を入れたくて作ったり、「Magic Hour」は僕の中にあるJ-POPな要素を入れたりしたので、たしかに単純に洋楽に憧れてというより、こんなこともできるんだぜってのを見せたかったのもあるかもしれないです。

-今J-POPシーンで活躍しているバンドやアーティストは、アレンジが凝ったものも多いですし。

高木:まさに一昨年ぐらいですかね、imaseさんと初めて(共演を)させてもらって("CONTACT!!Vol.23")。世界的にもブレイクしてて、J-POP最先端というか可能性みたいなものを側から見てて感じてました。SNSとかもあって、日本だけじゃなくて世界にも一気に広がるっていうのは、もともと海外の音楽が好きだった自分からすると憧れなんで、常に意識してるかなと思いますね。言葉が分からない人でもハマってくれるようなサウンドを作っていきたいです。

-ガラパゴス的に言われていたJ-POPですが、むしろ海外のリスナーには新鮮だったことがここ何年かで分かってきたし。

高木:ちょっと昔のシティ・ポップが海外でウケてるとか、ありますよね。もともと僕が洋楽にハマったのも、パッと聴きで歌詞の意味全然分からないのになんか好きだったり、K-POPも英語と韓国語が交ざってて母国語じゃないのに、プレイリストで聴いてたりしますから、日本語が分からない人でもサウンドでここまでハマったりするんやなと。RADWIMPSが海外でライヴしたときに日本語でお客さんが歌ってる映像なんかも、自分的には刺激で、そんな景色を見られたらなと思います。

-世界がフラットとまで言わないにしても、だいぶ近づいてきた実感はありますよね。

高木:日本語のままでも全然可能性あるっていうのは最近すごく思いますね。

-そういう意味で1曲目の「BABY BOY」は象徴的ですよね。サウンドしかり、展開もすごく変わる曲だし。

高木:電子音をふんだんに入れてます。僕等は高校生のときにバンドを組んだんですけど、ライヴでシーケンスを使わなかった期間が3〜4年あったんです。その期間は3人の音だけでライヴしようって意識だったんですけど、コロナ禍で制作したアルバム(2020年リリースの『postmodern indie』)ぐらいをきっかけに、シンセとかの音をライヴで出せるやんと思ってから曲作りの発想も変わってきたというか。必ずしも絶対3人で出せる音で完結しないとあかんわけじゃないんやなっていうところで、1つ気持ちも楽になって自由にやっていいんやなと思えた、その先に今回のアルバムがあると感じます。

-加えてこの曲があることで、全部トーンが違う曲からなるアルバムだけど、1人の少年の青年への成長譚みたいなものが感じられたんですよ。

高木:たしかにそうですね。アルバムのコンセプトは曲が上がってきた最後のほうに考えるんですよ。いざまとめるとなってコンセプトを考えて、そこからアルバム曲を2、3曲書くんで、その新曲はアルバムに沿ってるんですけど、それより前の曲はとりあえず作りたいベクトルで作りたいものを作ったみたいな感じなんですね。「BABY BOY」はコンセプトができる前から作ってた曲ですけど、アルバムとして並べたときにそんな聴こえ方があるのは結構面白いと思いますし、今回「24/7」や「Not a Love Song」というちょっと前の曲を入れたのも、アルバムで並べて聴いたときに、それまでと違う聴こえ方がしたらいいなってのもあったからなんですよ。



ヤマケン:たしかにアルバムで1つのストーリーになってる感じは言われて初めて気付きました。「Happy End Roll」が最後だし。

-アルバム曲で言うと「gen!us」は作詞作曲とアレンジも高木さんですけど、もしかして1人でDTMで作ったんですか?

高木:自分でやりました。トラックもこの曲に関してはレコーディングせずに完結させたんですけど、それはこのアルバムのコンセプトにも関わってくるんですね。天才的なアーティストに憧れて"いい音楽、いい音楽"って求めてるけどうまくいかんみたいな葛藤を、曲を作ってるときにすることがあって。それをそのまま曲に乗せた感じなんですけど。

-アルバム・タイトルに通じるテーマですもんね。

高木:タイトルともリンクしてるんで分かりやすいと思うんですけど、アルバムのコンセプトになってるような曲ですね。