Japanese
Re:name
Skream! マガジン 2025年05月号掲載
2025.03.28 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer : 石角 友香 Photographer:稲垣ルリコ
Re:nameがニュー・アルバム『GENIUS FOOL』を携えたツアーを開催。東京、大阪の2ヶ所ではあるが、両会場ワンマンは今回が初となる。ニュー・アルバムを軸にしつつ、過去曲からリクエストも募ったセットリストは、結果的に、結成から9年を経たRe:nameのNow & Thenを、彼等の強みである曲そのもののパワーで表現することに成功していた。
高木一成(Vo)作のサウンド・コラージュがイマジナリーなSEが流れ、Soma(Gt)、ヤマケン(Dr)とサポートのひがし(Ba)が登場し、少し遅れて高木も拍手に迎え入れられる。オープナーはアルバム同様、バンド・サウンドと打ち込みが融合した「BABY BOY」。繊細なSomaのオブリガートに加え、シンセ・ベースと生ベースの使い分け等ライヴ・アレンジの細やかさも、高木のオートチューンが掛かったヴォーカルを際立たせる。ワンテーマを絞り込んだコンパクトな尺がむしろ曲の個性を伝え、テンポ良く「People」、「Vertigo」と演奏していく。
"ようこそ、「Genius Baby's」東京! この景色が見れてマジで嬉しいです。誘惑の多い金曜の渋谷の街でここを選んでくれてありがとう"と高木が謝辞を述べ、彼もギターを携えた「Alice」へ。序盤のポップなニュアンスから確かな足取りで走るような体感へ変化していく。その確かさを担保するシンプルだがタイトなヤマケンのドラミング、疾走感を音色で作るSomaのフレージングが冴える。イントロからクラップが起きた「Living Fool」では、高木の"そろそろ全員でやろうか?"という声に応えてサビ終わりの"La, la, la"のシンガロングもボリュームを増した。こういうときの高木のポップ・エンターテイナーぶりはナチュラルに熱い。バンド・サウンドの旨味は続く「sorry my bad :(」でさらに加速。すでにここまでだけでも複数のジャンルを横断したセットリストであるにもかかわらず、まるで違和感がない。曲の持つポップネスこそがRe:nameの軸であることがライヴでより理解できる。
長めのMCで高木は、大阪拠点の自分たちが東京でライヴする際には毎回車で長時間往復していることを話し、さらに数年前に遡って、自身のソングライターとしての転機について、"ほんとは大学出て就職して会社員やるほうが向いてるのに、なぜ音楽を続けてるのか。それはコロナが大きかったと思う。大学3回生の頃、バイトもなくなって曲作りにハマって。コロナ禍の頃の経験は決してグッドとは言えないけど、バッドじゃない。その頃に作った曲を聴いてください"と言い、届けられたのは「Not a Love Song」。無力感の中で、あてのない音楽の手紙を書き続けていた高木が想像できると同時に、誰もがあの頃を乗り越えてきた実感を共有できる曲だ。じっくり聴き入るフロアの空気。曲がライヴを通じてその意味を増していく。さらに終わった恋を想うバラード「Magic Hour」のパーソナルな響きへの繋がりも良く、空間が膨張していくようなシンべ(シンセ・ベース)等、最低限のサウンドで歌の核心をリリカルに伝えた。
いい緊張感のある演奏から、メンバー同士で話すMCでは急勾配で緩さが前面に出るのもこのバンドのチャームだ。金曜の夜に似合うテーマを持つ「Saturday, Sunday.」の、THE BEATLESから連綿と続くオーセンティックな曲調、音源では高木のDTM曲だったアルバムを象徴する「gen!us」が、ライヴ・アレンジで披露されると、場面転換的な役割も担って、続くUKインディーっぽい「Donut Song」に自然と繋がる。THE CURE的な曲調でありつつ、日本人の私たちの日常にフォーカスするヤマケンの作詞が、他のバンドにはない強みとなっていることが、確かに伝わってきた。
ファンからのリクエストで選ばれた初期のナンバー「アイデンティティー」を前に、高木が話したのは、無邪気な気持ちでバンドを始めた10代の頃から変わらない気持ち。もちろん今は無邪気なだけでは済まない現実もあるだろう。だからこそ、何を信じて生きればいいのか? 悩み、葛藤する17歳の頃の心情を今も抱えて生きていることが想像できるのだ。シンプルなバンド・サウンドがセットリストの中で浮かないのは、ここまでのセットリストに妥協がなかったからだろう。その後、大事な想いを抱きしめるように歌う「1」を配置したのも納得だ。
一転打ち込みのハウス・ビートがタイトに響き、手数を絞ったヤマケンのパッド捌き、Somaの歪むギター・リフがセクシーな「TOY」で、バンドはアグレッシヴなモードに突入。フロアが一気に躍動し始めると、続く合成音声の"可不"をフィーチャーした「Vague」でさらに一体感が増す。何度も書いてしまうが、Re:nameのファンはこのジャンルの振り幅をものともせずに楽しむのだ。むしろ1バンドでこのバラエティの豊かさに目を付けた自分を誇っているんじゃないか? と思うぐらいに。そんなことを考えているうちに縦ノリから、柔らかいポップな歌メロに誘われる「prettyfine :)」へ。高木のスムーズなファルセットや話すようなフラットなテンションの歌、自然に身体が揺れるポップスに笑顔が増えていく。
そのスウィートなムードはSNSを通じて大いにファンを増やした人気曲「24/7」に繋がり、この曲がいかに愛されているかが、ファン各々のリアクションから伝わる。それがステージに反映され、メンバーにエネルギーを注いだ。現行の海外シーンと共振するポップスが好きなリスナーも、Re:nameを通してそうしたポップスに触れるリスナーも、なんの垣根もなく曲の良さで集まれるのだ。そのシーンは彼等のまだ見ぬポテンシャルを予感させる。アルバム『GENIUS FOOL』とバンドの9年間双方を背景にしたセットリストの説得力は、本編ラスト且つアルバムでもラストに置かれた「Happy End Roll」によって、さらに強いものに。ラヴ・ソングではあるけれど、1つの終わりの先に少したくましくなった主人公が歩み出すこの曲は、この日のラストに相応しかった。
序盤、じっくり聴くモードだったフロアが徐々にうねりを増し、最後にはその場にいる誰もが歓喜している様子は、同じ時間を経てきたからこその結果だ。いい意味でまだ予定調和が存在しないRe:nameのライヴを観るなら、今のうちかもしれない。アンコールの中で、ツアーはこの2本で完結しないかも? という予告もあり(※その後追加公演が発表された)、引き続き注目していきたい。
TOUR INFORMATION
"「INSA awakening」〜Re:name Encore Live Tour 2025 「Genius Boy's」〜" ※追加公演
6月15日(日)INSA Fukuoka
OPEN 17:00 / START 17:30
[チケット]
¥3,000(+1D)
"Re:name ONE MAN LIVE Encore Live Tour 2025「Genius Boy's」in OSAKA" ※追加公演
7月11日(金)大阪Yogibo HOLY MOUNTAIN
OPEN 18:30 / START 19:00
[チケット]
¥4,200(+1D)
"Re:name ONE MAN LIVE Encore Live Tour 2025「Genius Boy's」in TOKYO" ※追加公演
8月9日(土)渋谷Spotify O-nest
OPEN 18:00 / START 18:30
[チケット]
¥4,200(+1D)
■オフィシャルHP最速先行
受付期間:~4月14日(月)23:59
詳細はこちら
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ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
緑黄色社会
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THE BAWDIES
斉藤和義
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OKAMOTO'S / Lucky Kilimanjaro / サニーデイ・サービス ほか
ポップしなないで
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"COMING KOBE25"
Official髭男dism
DIALOGUE+
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コレサワ
BRADIO
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私立恵比寿中学
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
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