Japanese
SILYUS
2017年05月号掲載
Interviewer:杉江 由紀
-なんとも壮絶なお話です。そこまで追い込まれていたSILYUSさんが、こうして今に至っているのはやはり音楽があったからということになりますか。
よく、"音楽がないと生きていけない"という言い方をする人はいるし、"NO MUSIC, NO LIFE."という言葉なんかもありますけど、僕に関してはリアルに音楽があったからこそ生き延びることができた人間だと言えますよ(笑)。治療を続けながら作った1st Mixtape『微光』(2015年リリース/※完売にて現在入手不能)なんかは、まさに"やっと治りそうかな"というころの作品でした。
-なんでも、うつという病気は治りかけの時期が最も重要なのだそうですね。
そう考えると、そんな時期によく作ったなぁとは思います。今聴くと、内容的にはやっぱり病んでますけどね(笑)。ただ、そうやって治療をしながら音楽を作っていたときは、自分自身の中ではまったくうつのことは考えていなかったんですよ。病気のことは考えず、ひたすらDRAKEとかTHE WEEKND、PARTYNEXTDOORなんかを聴きながら音楽のことばっかり考えて、何か吐き出したいことがあるときはすべて詞や音楽に託して、ということを続けているうちにだんだんと症状が良くなっていったような感じでした。いやホントに、もし音楽がなかったら僕は未だに病んでいたかもしれないです(苦笑)。と同時に、これは今だから言えることですけど、僕はうつに対して"ありがとう"って言いたいです。
-なるほど。たしかに最新作である1stシングル『Monaural』(2016年11月リリース)を聴いていても、SILYUSさんの生み出す音楽には不思議な繊細さが宿っている印象がありますし、歌詞の面でも深いところまで人間のメンタリティを描いている場面が多々ありますものね。
もちろん、病気をしていた間は周りの人たちにも迷惑をかけましたし、自分自身も非常につらかったですけど、その時期にその経験をしたことが今の自分、そして自分の作る作品にすべて繋がっているのは事実ですね。あとは、まだ19歳なのもあって精神的にはコドモとオトナの間を行き来しているところもありますし、そういう自分の現在進行形な姿もこれから作っていく音楽や詞の中にもまた反映されていくことになるんだと思います。
-ちなみに、今回SILYUSさんがその名を広めるようになったのはEggs presentsの"ワン!チャン!!"オーディションでグランプリを獲得したことによりますけれども。ズバリ、獲ってやるという野心、または獲れるという自信はありましたか?
それはなかったです(笑)。周りは全部バンドさんでラッパーは僕だけでしたから、むしろアウェーな感じだったんですよ。でも、僕としてはそこで逆転の発想をしてみることにしたんです。SILYUSにしかできないことで思い切り勝負しよう、って。そういう意味で、自分のパフォーマンスに関しては納得のいくかたちでやり終えられました。とはいえ、そのあとに出てきたバンドさんですごいカッコよくてヤバい方たちがいたので、まさか本当に自分がグランプリを獲れるとは思っていませんでした。
-SILYUSさんは、ここからどんなアーティストを目指していきたいのでしょう。
一応、僕はHiphop/R&Bというジャンルになるのかと思いますし、僕自身Hiphop/R&Bが大好きだしそこから生まれたというルーツは変わりませんし、ラップもしていますけど、それらは自分からするとあくまでも良い音楽を作るためのツールとか手段でしかないんですよね。そういう意味で、これまでの枠組みとか壁を超えながら"SILYUSはSILYUSでしかない"という存在であり続けたい、というのが僕の願いです。
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