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COLUMN

ネクライトーキーのぐだぐだ毎日 第6回

2025年11月号掲載

ネクライトーキーのぐだぐだ毎日 第6回

第6回:朝日(Gt)
オモチャや娯楽を多く持ち得ない子どもにとって、妄想は非常に優秀な時間潰しの方法だったと思います。少なくとも自分はそうでした。
ただ頭に思い浮かべるだけでも十分に楽しめるし、目に見える形でアウトプットしてもいいでしょう。自分で考えついたオリジナルの何かしらを手に取る瞬間。これは今でも変わらず大きな喜びになります。
ワァすごいね、と。やはり物作りでメシ食ってる人は子どもの頃の遊びまでクリエイティブなんだなぁ、とか。そんな風に思いますか。今日したいのは全然そんな話じゃありません。もっと「恥」の部分にまつわる話です。

少年時代、妄想を原動力に遊び呆けていた朝日ですが、やはりそれをアウトプットすることに関しても余念がありません。当時の流行漫画の雛型だけを借り、小賢しく多少の設定だけ弄った丸パクリ漫画。やりたいことが先行してバランスが崩壊しているオリジナルのカードゲーム。実現しようもないのに、友人たちと映画を撮ろうと息巻いて考えたプロットの数々。賞金に目が眩んで筆を取った書きかけのラノベなどなど......俗な言い方をするなら「黒歴史」と呼ばれるあれら。
どうですか、思い当たる節はありませんか。いや〜よかったな俺が子どもの頃はインターネットが手の届くところになくて。ぜーんぶ全世界に発信してると思う。とは言え、ある種今もオリジナルのポエムをメロディに乗せて発信し続けているので、黒歴史を更新しているのかもしれません。わはは、どうなんでしょう。

不思議なもんでいくつかは捨てずに残してあるんですよね。別にいつ捨てても構わなかったのですが、逆に捨てるタイミングもなかったというか。小学生の頃に描いていた、星のカービィが主人公となり失われた国を取り戻すための旅に出る漫画なんですけど、いまだに押入れの奥の方で眠っています。みなさんはどうですか、ネット上になら案外残っていたりするんじゃないでしょうか。

ちなみに、それらを思い出したり見返したりすることはありますか。別にmixiのブログを読み返すレベルの話でもいいんですけど。
うわ〜ってなりますよね。「黒歴史」だなんて呼び名が世に蔓延るくらいですから、人間が成熟する前に産み落とされた制作物なんてのは、基本的に憶えていたくない存在なのです。

「恥ずかしい」ということに対して、なぜこんなに当たりが強いのでしょうね。
創作物を世に放つにあたって、最も大きな壁だと思いますよ。恥。しかも、大人になればなるほど大きく立ちはだかります。世間は特に大人の「恥ずかしい」に厳しいですからね。
そういう視点で見ると、やはり俺は壁に立ち向かうための素養を備えているかもしれません。恥の多い人生でしたので、ポエムを他人に読まれることについてはもう抵抗がありません。慣れっこです。ここで俺が昔「小説家になろう」というサイトでオリジナル小説を書いてた時のアカウント名を晒せたら、さらにひとつ壁を越えるでしょうね。わはは、嫌です。

でもせっかくなんで若い頃の落書きを晒して恥の壁を越えようかなぁ。(写真を添えておきました。これも相当恥ずかしい)晒したとして、本当に何かを越えられると思います? 僕はわかりません。
でも、人に見せられねぇ、金も貰えねぇ、ただ「おもしろ!!」の感情だけで作り続けた黒歴史は「黒」なんて名前をつけるにはもったいないくらいキラキラ輝いているように感じるのです。ええ、多分。恐らくはまぁそう言えなくもないというか......


ネクライトーキー

2017年に朝日(Gt)が中心となり、もっさ(Vo/Gt)、藤田(Ba)、カズマ・タケイ(Dr)により結成。2018年に初の全国流通盤を発表。翌年に中村郁香(Key)が正式加入し現在の5人体制に。2020年メジャー・デビュー。ジタル・シングル「ら行が言えない、言葉が足りない」を2025年11月5日にリリース。11月16日に初の主催フェスを豊洲PITで、2026年1月にワンマン・ライヴをGORILLA HALL OSAKA、Zepp DiverCity(TOKYO)にて開催する。 ​