Japanese
ネクライトーキー
Skream! マガジン 2021年11月号掲載
2021.09.30 @豊洲PIT
Writer 石角 友香 Photo by 橋本塁
ネクライトーキーがニュー・アルバム『FREAK』リリースに伴い、全国23ヶ所にわたるツアー"ゴーゴートーキーズ!2021"のファイナル公演を自身最大キャパの豊洲PITで開催した。
まず、このご時世に全国23ヶ所ツアーを完遂したことを祝いたい。そのうえで、ネクライトーキーはバンド・シーンで異彩を放つユニークな......そこには"根暗だが音楽的には卓越した云々"といったイメージも背負ってきたのは確かだ。しかしながらそうした資質は持ち続けながらも、今のネクライトーキーはもはや新たなフェーズに突入していた。いい曲、ユニークなアレンジとバンド・アンサンブルで真っ向勝負できる存在感。それは新作『FREAK』の楽曲がツアーで育ってきた証左だろう。実際、ツアー中に何度かセットリストを変更し、曲の繋ぎも試行してきたとMCで話していた。
新たなフェーズは1曲目に「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」を惜しげもなく演奏したことにも明らかだ。朝日がフルアコのギターを弾いているのが新鮮で、展開の面白みが際立つこの曲にブルージーなフレーズが挟まれる妙味。「はよファズ踏めや」のプログレ/ハード・ロック・テイスト、「きらいな人」でのフィードバックをガンガンにかます朝日のスタイル。冒頭のブロックからすでに"自由さ"がアップデートされていることを痛感した。
最初のMCではもっさ(Vo/Gt)が豊洲PITに集まったファンの多さに"びっくりした......こんなにいてくれたんや"と率直に驚きと喜びを表明。換気のためにMCタイムが長めに取られていたのだが、間延びすることなくむしろツアーの振り返りやエピソードが楽しめた。
ファットなロックンロールやブルース・ロックの風格を見せながら歌詞はナンセンスというもっさ作の「踊る子供、走るパトカー」も、前のブロックからのいい流れで、そのままプログレやマス・ロックのスキルフルな醍醐味のある「カニノダンス」では、藤田(Ba)とカズマ・タケイ(Dr)のリズム隊がボトムを締め、巧妙なリズム・チェンジやジャンル感の変化を支える。レア選曲は朝日のボカロP名義(石風呂)曲「魔法電車とキライちゃん」で、アニソンっぽいキャッチーなイントロから曲がぐんぐん進むに連れて、冒頭の印象はなんだったのか? と驚くほど、終盤に向けては極太なスケールのバンド、例えばFOO FIGHTERSを想起させるようなドライヴ感と音圧を生み出しているのだから、もう何がなんだかいい意味でわからない。"こんなバンド、いる?"と大いに振り回されていると、中村郁香(Key)のピアノから始まり、Aメロがなかなかに複雑な「波のある生活」へ。そこまでの轟音アンサンブルから一転して、隙間やブレイクが特徴的なこの曲の演奏で、グッと今のネクライトーキーのレベルの高さを感じ、同時に自問自答がリアルな歌詞も胸に迫り、マインド的には前半のハイライトになっていたのではないだろうか。が、さらにオーディエンスを巻き込む「許せ!服部」のモードに即座にスイッチできるのが今のネクライトーキーなのだ。おなじみのもっさが演奏を"CD版"と"ライヴ版"をプラカードで指示するスタイルも、後半の藤田と中村のソロ・バトルもすっかり堂に入った印象で、この曲を前半に惜しげもなくセットしたこともバンドの変容、進化を示していた。
再びの換気タイムでは朝日が「魔法電車とキライちゃん」をメンバーの協力を得て、バンド・アレンジしたと話し、もっさに"いい曲はいつまで経ってもいい曲"と褒められ、恐縮しつつも、石風呂名義楽曲はまだまだあるとさりげなくアピール。
続くブロックが個人的にネクライトーキーの曲の良さと、それを最大限に生かす演奏力を証明したと感じた。彼らにしては素直なリズムの「八番街ピコピコ通り」、続いてもっさが朝日のジャズマスターに注目するよう紹介して始まった新曲「ふざけてないぜ」、朝日のJimmy Pageばりのフレージングからスタートした「豪徳寺ラプソディ」。この曲でのもっさの投げやりなヴォーカルも新鮮だ。ギミックのない、どちらかと言えば堂々たるギター・ロックが続いたあと、中村のピアノともっさのヴォーカルが残響多めの会場に響き渡る「思い出すこと」をドロップ。続けてシューゲイザー色が濃厚なアウトロを「大事なことは大事にできたら」のイントロに繋ぎ、歌詞が心を揺さぶる大きな演奏に感極まった。その後、珍しく朝日が「続・かえるくんの冒険」について、かえるくんは誰がモデルということはないけれど、クラスの端っこで漫画を読みふけってたような少年に、恋愛の歌で盛り上がる他のクラスメイトとは違った角度で刺さる曲になっていたらいい――そんな意味の思いを話していた。音楽性もゲーム音楽や民族性が昇華され、ユニークなのだが、この日は"嗚呼、いつか僕が嘘も要らないほど~"というサビをどこまでも力強く歌うもっさの声に直撃されてしまった。朝日が歌詞に注力した『FREAK』の中でも、ネクライトーキーというバンドのスタンスを顕著に現したこの曲の力が、120パーセント開花した瞬間でもあったのだから、当然かもしれない。
最後の換気&MCタイムにはツアーを振り返って、セットリストや曲のつなぎが変化してきたことや、もっさがタケイのバスドラにイラストを描いたことなどを話し、過去最長のツアーで、演奏もメンバー間のコミュニケーションもさらに深化したと窺わせた。
歌詞の届き方に胸がすく思いがした「気になっていく」、ポスト・パンク的なタケイのドラムが、もっさの時代を超えたギター&ヴォーカルのかっこ良さをさらに際立たせた「俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ」、そのエンディングから朝日がオフマイクで"ファイアー!"と絶叫して突入した、フロアが沸騰する「オシャレ大作戦」。多彩な曲調でセットリストを組むことが可能になったうえで、おなじみのキラーチューンを終盤に持ってくる優しさのようなものを受け取ってしまった。なんて包容力のあるバンドになったんだろうという感慨をスカッと締めてくれたのが、本編ラストの「Mr.エレキギターマン」だ。アレンジやメンバーのキャラクターという武器はあるけれど、ストレート勝負で勝ちに行けるギター・バンドとしての底力、そしてもっさの毅然としたフロントマンぶりに圧倒されたのだった。
アンコールでは早くも12月に開催する対バン・ツアーも発表。メンバーいわくまさかのラインナップが叶ったそうなので、さらなるブレイクスルーを期待して、その面々の発表を待ちたい。
[Setlist]
1. 誰が為にCHAKAPOCOは鳴る
2. 北上のススメ
3. はよファズ踏めや
4. きらいな人
5. 踊る子供、走るパトカー
6. カニノダンス
7. こんがらがった!
8. 魔法電車とキライちゃん
9. 波のある生活
10. 許せ!服部
11. 八番街ピコピコ通り
12. ふざけてないぜ13. 豪徳寺ラプソディ
14. 思い出すこと
15. 大事なことは大事にできたら
16. 続・かえるくんの冒険
17. 気になっていく
18. 俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ
19. オシャレ大作戦
20. Mr.エレキギターマン
En1. 夢を見ていた
En2. 遠吠えのサンセット
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.12
-
大原櫻子
星野源
藤沢アユミ
FIVE NEW OLD
ASP
コレサワ
あれくん
ART-SCHOOL
SAKANAMON
女王蜂
LOCAL CONNECT
BLUE ENCOUNT
竹内アンナ
いゔどっと
PK shampoo
荒谷翔大
ACIDMAN
ズーカラデル
夜の本気ダンス × BRADIO × 8otto
チリヌルヲワカ
Homecomings
ブランデー戦記
[Alexandros]
鶴
SVEN(fox capture plan)
YUTORI-SEDAI
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
ADAM at
WtB
Eve
有村竜太朗
Dannie May
Bimi
MAPA
安藤裕子
蒼山幸子
古墳シスターズ
斉藤和義
原因は自分にある。
怒髪天
渡會将士
マオ(シド)
- 2025.07.13
-
星野源
あれくん
SVEN(fox capture plan)
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
TenTwenty
板歯目
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
FIVE NEW OLD
ASP
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
コレサワ
鶴
"HELLO INDIE 2025"
なきごと
ズーカラデル
UNCHAIN
ART-SCHOOL
有村竜太朗
アルコサイト
[Alexandros]
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
チリヌルヲワカ
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
Homecomings
ADAM at
ブランデー戦記
Eve
神はサイコロを振らない
荒谷翔大
すてばち
カミナリグモ
FUNNY THINK
ぜんぶ君のせいだ。
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
reGretGirl
斉藤和義
原因は自分にある。
トラケミスト
- 2025.07.14
-
Mirror,Mirror
- 2025.07.15
-
有村竜太朗
板歯目
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
[Alexandros]
Mirror,Mirror
TENDOUJI × 浪漫革命
SCOOBIE DO
キミノオルフェ
羊文学
Saucy Dog
Ivy to Fraudulent Game
- 2025.07.16
-
有村竜太朗
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
GLIM SPANKY
BIGMAMA × Dannie May
坂本慎太郎
Base Ball Bear × PEDRO
SHE'S × ヨイズ
TenTwenty
Saucy Dog
- 2025.07.18
-
斉藤和義
YOASOBI
フレンズ
[Alexandros]
SVEN(fox capture plan)
板歯目
東京スカパラダイスオーケストラ
ExWHYZ
GLIM SPANKY
the paddles
キュウソネコカミ
NEK! × komsume
KiSS KiSS
Organic Call
SIRUP
ぜんぶ君のせいだ。
SAKANAMON
ヤングスキニー
ACIDMAN
Laughing Hick
TENDOUJI
cinema staff × eastern youth
- 2025.07.19
-
豆柴の大群
浅井健一
フレンズ
"NUMBER SHOT2025"
コレサワ
YOASOBI
PIGGS
鶴
東京スカパラダイスオーケストラ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Novelbright
"JOIN ALIVE 2025"
shallm
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
キノコホテル
UNCHAIN
竹内アンナ
め組
"焼來肉ロックフェス2025"
SPECIAL OTHERS
ExWHYZ
LOCAL CONNECT
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
ぜんぶ君のせいだ。
いきものがかり
新しい学校のリーダーズ
"DAIENKAI 2025"
チリヌルヲワカ
片平里菜
PENGUIN RESEARCH
荒谷翔大
Nothing's Carved In Stone
マオ(シド)
- 2025.07.20
-
神はサイコロを振らない
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
[Alexandros]
ビッケブランカ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
"JOIN ALIVE 2025"
さめざめ
キノコホテル
HY
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
崎山蒼志 / NakamuraEmi / ズーカラデル / TENDRE ほか
GRAPEVINE
"焼來肉ロックフェス2025"
清 竜人25
PK shampoo
"DAIENKAI 2025"
LOCAL CONNECT
ROF-MAO
いきものがかり
GARNiDELiA
ブランデー戦記
- 2025.07.21
-
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
PK shampoo
LOCAL CONNECT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASP
鶴
TENDOUJI
jizue
め組
HY
PIGGS
小山田壮平 / 奇妙礼太郎 / 安部勇磨(Band set) ほか
ぜんぶ君のせいだ。
アーバンギャルド
LACCO TOWER
GOOD ON THE REEL
いゔどっと
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Homecomings
SpecialThanks / レイラ / GOOD4NOTHING / THE FOREVER YOUNG ほか
アカシック
PENGUIN RESEARCH
- 2025.07.22
-
Hump Back
the telephones
- 2025.07.23
-
東京スカパラダイスオーケストラ
板歯目
フラワーカンパニーズ×アイボリーズ
9mm Parabellum Bullet
女王蜂
- 2025.07.24
-
水平線
板歯目
bokula.
ビレッジマンズストア
竹内アンナ
the paddles
- 2025.07.25
-
四星球
マカロニえんぴつ
セックスマシーン!!
東京スカパラダイスオーケストラ
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
キュウソネコカミ
FIVE NEW OLD
有村竜太朗
Ivy to Fraudulent Game
のうじょうりえ
輪廻
RAY
らそんぶる
UNCHAIN
ゴキゲン帝国
miida
bokula.
感覚ピエロ
RELEASE INFO
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
- 2025.07.23
- 2025.07.25
- 2025.07.29
- 2025.07.30
- 2025.07.31
- 2025.08.01
- 2025.08.06
- 2025.08.08
- 2025.08.13
- 2025.08.15
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Organic Call
Skream! 2025年07月号