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INTERVIEW

Japanese

ネクライトーキー

2021年09月号掲載

ネクライトーキー

Member:もっさ(Vo/Gt) 朝日(Gt)

Interviewer:石角 友香

朝日という一筋縄ではいかないコンポーザー且つ作詞家の世界観が、よりタフに押し出されたアルバム『FREAK』を携えて全国ツアー中のネクライトーキー。ますます誰とも似ていないバンドになりつつある彼らが初のシングルCDをリリース。荒唐無稽に思えるストーリーを持ったアニメ"カノジョも彼女"に書き下ろした、その名も"ふざけてないぜ"は5人の音の抜き差しやリズムの変化がトリッキーな、ネクライトーキー印の1曲。しかもコミカルな題材でありつつ、しっかり『FREAK』以降の作品として納得できる歌詞の内容にも着地。このシングルやバンドの今について朝日ともっさに取材を敢行した。

-ツアー("ネクライトーキー「FREAK」リリースツアー「ゴーゴートーキーズ!2021」")が3分の2ぐらい終わったんですかね(※取材は8月上旬)。

朝日:尻上がりにというか、単純に経験を積んでいけば、良くなってって。ライヴが良くなるとみんなも元気になってくるんです(笑)。

-今までのツアーと違う面はありますか?

もっさ:初めて行く場所も多くて。鳥取とか、行けてない場所にもこんなにたくさん聴いてくれてる人がいるんだってことを実感できて嬉しいというか、目の前に人がいてくれると、お客さんたちに届いてるんだなって実感できる(笑)。

-『FREAK』(2021年5月リリース)をライヴ・アレンジでやってみて難しいところとか、発見とか、ありますか?

朝日:実はもっさが作った曲が一番難しかったんじゃないかって話を結構メンバーとしました。「踊る子供、走るパトカー」って、ゆっくりだけど、ちゃんと16分を感じなきゃいけないので、なかなか難しいなと思いますね。

-『FREAK』って歌詞的にはシリアスなアルバムなので、ツアーでどう成長していってるのか興味深くて。

朝日:どんどんやっていくと、"いいな"って。思ったより希望があるなというか、力が湧いてくるなって思いました。まぁ、歌ってないんで、わからないけど(笑)。

-歌ってるもっささんとしては?

もっさ:ダークな感じになったって話をしたと思うんですけど、そんなにライヴ自体は重たい感じはしないというか。「大事なことは大事にできたら」も「続・かえるくんの冒険」もやってるんですけど、そのふたつの曲がうまくいくとライヴ自体もしっかりやれたなって感覚もすごくあって、その2曲は核っぽい感じなのかなと思いました。「大事なことは大事にできたら」はライヴでやると凄まじく爆発力がある。

-シングルの前になんでこんな話を聞いてるかというと、ネクライトーキーは登場当時から、単なる成長でもないし、すごいベクトルで進んできたなって感じがあるので。

朝日:そうですね。似たようなことをやり続けると、単純に、"違うのかな?"って感じになっちゃう。でも、曲については性格的に"あれもやりたい"、"これもやりたい"となるんですよ。それをやってくれるメンバーがいるからっていうのと、最終的にもっさが歌えばどうにかなるっていうので進んできた感じです(笑)。

-でも、驚くような早さなんですよ。バンドとしての深度がどんどん増してるし。

朝日:『FREAK』ぐらいから思うのは......変わるとか、進化とかって、どうなるのが正解なのか、ほんとわかんないなっていう。結局のところ、メロディってメロディのままって感じがしてるんですよね。編曲ってすごく様々な進化を経てきたけれど、メロディって未だにメロディのままで。だからこそ今、別の回答としてヒップホップをする人たちがいたり、メッセージがあったりする。なので、メロディメーカーとしてあんまり難しいことを考えるのもやめようと思って。今は、ちゃんと自分として"いいな"と思えるものを作ったら、アレンジでも好きなことができるなっていう考え方になってるんです。

-ネクライトーキーの場合、素の人間=メロディなところが強みかもしれない。

朝日:かも、しれないです。今の流れに対抗し得るのは。対抗かはわかんないですけど。

-はい。そして今回、意外にも初めてのシングルなんですね。

もっさ:そう。CDになるのは。アルバムしか作ってなかったから(笑)。

-じゃあそんなに"シングルだ!"って意識はせずに作ったんですか?

朝日:でも、"これ絶対、シングルになるから"ってくらいの強さでは言われてはなかったです。配信シングルとしてはまず間違いなく出るタイミングで。アニメ盤も出るよ、みたいな。

-朝日さんとしては原作やアニメの"カノジョも彼女"を、どういう角度で吸収して書き下ろしたんですか?

朝日:当時出てた単行本を全部買って"めちゃくちゃだなぁ"と思いながら読んで。めちゃくちゃだなと思いながら、自分がもし詞にするならっていう部分と、その物語の中の共通項みたいなのを探して、反芻して、あとはもう"どうにかなる!"と思いながら歌詞を書きましたね(笑)。でも、あんまり悩みすぎるのはやめようと思って。止まんなくなっちゃうんで(笑)。こんな感じの曲がオープニングで流れてきたら、俺ならワクワクするなっていう気持ちで作りました。

-もっささんはもっささんなりにこのアニメなり原作への印象ってありましたか?

もっさ:全力でバカをやってるというか(笑)。でも、これを見て逆に"こんな考えもアリなのかな"って考えてますね。"ないやろー!"というよりかは、どっちかというと"そんなのもアリかもな"みたいなニュアンスで、共感まではいかないんですけど、新しい刺激を貰って(笑)。

-朝日さんは作品から曲にできる共通項を見いだして?

朝日:これが正解だったのか自分の中ではわかってないですけど、ほんとだったらこんぐらい不安になるよなっていう歌詞でもあるんですよね(笑)。

-あぁ、たしかに。

朝日:歌詞も、全体的にもすごく真面目に作っちゃったなって、今になって思う(笑)。もちろん、作品の中で不安の描写とかは、ギャグ漫画だからライトに描かれてはいるんですけど。いろんな不安があるだろうな、と思いながら書いてたら、意外とまた重たくなったのかもしれない(笑)。

-でも、それは朝日さんらしさなんじゃないですかね。だって、歌詞の内容は『FREAK』の延長線上として違和感ないですから。

朝日:『FREAK』に引き続き、また重たくなったのかもしれないっていう(笑)。

-歌詞だけ見てたらそうかもしれないですけど、このアニメの主題歌としてタイトルが"ふざけてないぜ"ですから、気が利いてますよね。タイトルはいつ考えたんですか?

朝日:タイトルは歌詞を全部書き終えて、主人公の直也(向井直也)っていう青年がいて、彼はほんとに真剣なんですよ。コメディだけど、ふざけてないんだよなって。この曲は自分なりのコメディに対する回答というか。だから、全体の編曲とかも、普通じゃしないことをちょっとやりたかった。そのうえで、"ふざけてないぜ"ってタイトルが乗っかるのはすごくギャグ漫画らしいというか。なんとなくそんなイメージでタイトルは決まりました。