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INTERVIEW

Japanese

ネクライトーキー

2024年02月号掲載

ネクライトーキー

Member:もっさ(Vo/Gt) 朝日(Gt) 藤田(Ba) カズマ・タケイ(Dr) 中村 郁香(Key)

Interviewer:石角 友香

前作『FREAK』(2021年リリースのメジャー2ndアルバム)から約2年9ヶ月ぶりとなるニュー・アルバム『TORCH』が完成! コロナ禍を挟んだこの間もファンのアンケートにもとづいたツアー("ネクライトーキー「ゴーゴートーキーズ!番外編 ~泣いても笑ってもアンケート順に演奏ツアー~」")や対バン・ツアー("ネクライトーキー「オーキートーキーvol.5」")、先日のEP『踊れ!ランバダ』(2023年リリース)に伴うツアー("ネクライトーキー「踊れ!ランバダ」リリースツアー 「ゴーゴートーキーズ! 2023秋」")など、常にライヴの現場でオーディエンスと向き合ってきたネクライトーキー。面白いうえにテクニカル、熱いけれどどこか飄々ともしている、そんな5人の作り出す音楽とファンの間には、他のバンドでは代替できないヴァイブスが溢れている。制作期間が長かったとはいえ、全14曲というボリューム感、一曲一曲の個性の立ち方はバンド史上最強だ。そこで今回はメンバーそれぞれの推し曲からその多彩さを展望してみた。

-通算4枚目のアルバムですが、『FREAK』以降という意味でネクライトーキーを再定義するような意識は、朝日さんやみなさんの中にありましたか?

朝日:再定義ってほどじゃないんですけど、ただひたすらに自分のやりたいことを目標にして作った『FREAK』を終えて、今度は聴いてもらう人に寄り添えるように、ちゃんと前向きなものが届くようにって、やっとちょっと意識できるようになりました。

-リクエスト・ライヴのときも思ったんですけど、面白さはもちろん、深い理解のうえでネクライトーキーの曲が好きな感じを受けて。そういうことも影響してるのかなと思ったんですけどどうですか?

藤田:面白さってネクライトーキーの良さだと思ってて、それはできるだけ表現できればいいと思ってます。届いたらいいなと。

朝日:シンプルに、聴いてくれてる人たちとも付き合いが長くなってきたなっていう。音のこととか、歌詞のことをすごく汲み取ってくれる人がこんなにたくさんいてくれるんだなって、最近また実感してます。

-ライヴが終わったあとにお客さんを見てると、これはやっぱりネクライトーキー以外では成就できないものだっていう気がすごいするんですよ。

もっさ:ありがたいです。

-具体的にアルバムの曲についてそれぞれにおうかがいするんですが、今のネクライトーキーらしい、今回のアルバムならではと思う曲、もしくはご自身の達成感がある曲を理由とともに教えてください。

中村:「紫」が個人的に達成感があります。頭から入れてる音は「紫」の雰囲気を鍵盤でどう出そうかなって悩んだんですが、曲に寄り添ったいい音が作れて、個人的には満足してます。

-楽曲的にはちょっと海外インディーみのあるイントロというか。

朝日:ありますね(笑)。

-わりとエモ/シューゲイザー寄りな曲ってなかったなと思って。

朝日:新鮮な気持ちでしたね。俺結構好きだったから。

中村:あんまりなかったからやっててすごい楽しくて。

藤田:アレンジしてるなかでいろいろ形が変わったりしていた感じがあります。

タケイ:この曲は僕がサビでまさかの......。

藤田:私とか朝日さんがコーラス入れるとなんか違うってなって、寝てるタケちゃん(タケイ)起こしてコーラスしてもらいました(笑)。

タケイ:寝起きの声が収録されてます(笑)。

-その脱力感みたいなのがいいんでしょうね。

朝日:あんまりグイグイ前に出てくる声じゃなく、下を支える声が欲しかったので。

タケイ:まさかそっちの面で評価されるとは思っていなかったので、嬉しい気持ちがあります。

一同:(笑)

-(笑)ネクライトーキーの新しい側面という感じでフレッシュですね。

朝日:もっさのヴォーカルもすごいいい感じに録れてるよね。

もっさ:うん。録れてるよ。

-藤田さんはいかがですか?

藤田:「浪漫てっくもんすたあ」ですね。変わった音を出したり、サビの言葉の強さだったり。ネクライトーキーとしてもすごい大事だし、こういう遊び心のある曲で好きになってもらえるんじゃないかなっていう意味もあって。

朝日:レコーディング楽しかったな。

藤田:ベースもちょっと変わったエフェクトを使ってて。

朝日:シンベ(シンセ・ベース)チックな音が欲しくて。ドラムも、サビとそれ以外で......。

タケイ:打ち込みの音混ぜたりね。

朝日:そう、ガラッと変えたいっていう。その試行錯誤感はすごい楽しかった。

-ギター・リフも、単純にゲーム音楽というより任天堂リスペクト的な。この曲に朝日さんが"浪漫てっくもんすたあ"っていうタイトルを付けた理由はあるんですか?

朝日:ふと自分の携帯のメモ帳見たら"ロマンテック"っていうワードが入ってて。メモしたことも忘れてたんですけど、そのワードをパッと見て、"ロマンティック"を語源とした......ロマンっていうちょっと古臭さとテックっていう、テクノじゃないですけど、ちょっと機械っぽい音を織り交ぜた曲を作りたい! ってふと思いついて。で、『FREAK』のジャケットにいるフリークくんっていうキャラがいろんな生き物が混ざったキメラっていう設定があったなと思って、何かと何かが混ざり合うとそれはもうモンスターになるんだろうなと(笑)。連想ゲームみたいな感じですね。でも不思議と、「ランバダ・ワンダラン」(『踊れ!ランバダ』収録曲)からずっと続いてる、歌ったときの気持ち良さを意識して作るっていう流れの中で、サビの"浪漫てっくモンスターさ!"というワードが意外と歌ってて"あ、楽しいな、いけるな"と思って。やっぱりモンスターっていろんな捉え方があるのがいいですよね。いろんな物語、敵になったり孤独を抱えるヒーローになったり、その歪さが好きでこういうタイトルになったっていう感じがします。

-ネクライトーキー、もしくはネクライトーキー好きな人たちを総称するような。

朝日:(笑)そう、何かしらストレートにヒーローとしてど真ん中に立ってるっていう感じではないなと。

-発語の楽しさっていう意味でもっささん、どうですか?

もっさ:めっちゃ声に出したくなる単語ですよね。しかもラヴ・ソングって言ってなかった(笑)?

朝日:一応、愛について歌ってて。

もっさ:愛の歌、ネクライトーキーのラヴ・ソングだって感じがしていいなって。

-ラヴの向かう先がネクライトーキーらしいなと。"ドタマかち割るね"ですから(笑)。

もっさ:ほんまや(笑)、ラヴ・ソングに"ドタマかち割るね"っていう歌詞があると思えないんですけど、でもそれがネクライトーキー流ラヴ・ソング。

中村:数少ないラヴ・ソング。

朝日:誰か特定の人に向けて歌う愛だけじゃないという。日々、明日まだ生きられたら、それだけでもう愛を歌っていいんだって、新しいラヴソングの形を提唱していきたい(笑)。