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INTERVIEW

Japanese

Organic Call

2020年06月号掲載

Organic Call

Member:平田 真也(Vo/Gt) カワカミトモキ(Gt) 植木 貴士(Ba) きっつー(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

-このバンドでは、どんな音楽をやりたいと考えていたんですか?

きっつー:最初は真也が言っていたように"バンドをやってみよう"、"曲を作ってみよう"、"リリースしてみよう"、"やったことがないことをやってみよう"というところから動き出したんですけど、タカさん(植木)が入ったぐらいから徐々に今の色というか、真也が作った楽曲の色を前面に出しながら、俺らが今できる最大限を、世の中にどれだけ知ってもらえるかってことを考えるようになりましたね。

-平田さんが作る曲がまずあると。平田さんはどんな曲を作りたいと考えているんですか?

平田:長く残る曲を作りたいとめっちゃ思っています。10年後、20年後、30年後に聴いてもいいと思えるような曲を書き続けたい。今一瞬の輝きももちろん大事ですけど、後々聴き返して"若かったな"、"ダサかったな"とは思いたくないんです。

-バンドのWEBサイトに載っている"強い信念を持ち、明日への微かな希望を唄う"というキャッチフレーズに繋がるところだと思うんですけど、Organic Callの曲は悲観的なのか、楽観的なのか、ちょっとわからないようなところが面白いです。

平田:あぁ(笑)、どっちもありますね。でも、悲観的な割合のほうが大きいかもしれないです。元気な人じゃない。ただ、悲観的でも、どこか上を向いていたいところがあるから、"明日への微かな希望を唄う"となるのかもしれないです。

-大きな希望を歌わないのは、なぜ?

平田:嘘臭いからです。"みんな、頑張ろう!"みたいなのは信じられないんですよ。もちろん全然いいんですよ。そういうバンドもいると思うんですけど、僕はそういう曲に助けられたことはないんです。それよりも、"もしかしたら?"みたいな小さな希望とか、"頑張ろうぜ!"っていうよりも、隣にいてくれる音楽とかに僕はグッとくるというか、グッときた経験があったので、自分もそういう曲を書いているんだと思いますね。

-ところで、結成からこれまでの3年間を振り返ってどんなことを感じますか?

きっつー:いろいろ転機はあったと思います。最初3人で始めて、正直、続けるかどうか曖昧だったところから、タカさんが入って"4人で頑張っていこう"ってなったタイミングで、真也が大学を卒業することになって、このバンド続けるのかどうするのかと考えたこともあったし、そこで真也がバンドを続けようと決断をしたうえで、全員がひとつの方向に向かうまでに3年かかったのかな。

-一歩一歩、着実に活動してきましたが、『白昼夢も何れ』からは、まだ夜明け前という気持ちもあるんじゃないかと感じられますが。

カワカミ:そうですね。だからこそ、ここからさらに上を目指していこうという気持ちはめちゃめちゃあります。

平田:ただ、それはこれからも抱える気持ちではあると思うんですよ。たぶん劣等感とずっと向き合わなきゃいけないんだと思います。比べる必要はないんだけど、どうしても他人と自分を比べてしまうみたいなことは、今よりも上のところに行ってもあると思うし、さらに上に行ってもあるだろうし、ずっとずっと抱えて生きていくものだろうし、だから歌になると思うし。それがあるからこそ、10年後、20年後に聴いても納得できるものになるんじゃないかと。

-さて、今回1stミニ・アルバムを作るにあたってはどんな作品にしたいと考えたのでしょうか?

平田:毎回そうですけど、こんな作品にしたいみたいなことは話していないですね。

きっつー:ただ、1曲目から6曲目までの流れはすごく考えました。6曲のミニ・アルバムにすると決めた段階で、"こういう曲とこういう曲があるから、こういう曲も欲しいよね"ってパズルを埋めるみたいに、今回の6曲が揃ったという感じです。

平田:今回はミニですけど、アルバムを作るのは、どんどんパーツがハマっていく感じが楽しいですね。フル・アルバムになると8曲とか12曲とか作ることになると思うんですけど、今から楽しみです。今回ミニ・アルバムを作って"早く(フル・アルバムを)作りたい"と思いました。

-今作の中で最初にできた曲は?

平田:2曲目の「海が見える街」でしたね。次に「眠れない夜には」ができて。「眠れない夜には」は、個人的には「海が見える街」と表と裏みたいなイメージがあります。

カワカミ:あぁ、言ってたね。

平田:日差しがあるときと、夕暮れから夜中みたいなイメージからその2曲ができあがって。

-2曲とも別れがテーマになっているようですね。

平田:自分と他人っていうのが今回のミニ・アルバムのテーマとしてできて。自分と恋人、自分と家族、自分と友達......自分ともうひとりの誰かっていうのをイメージしてアルバム全体を作っていきました。これまでは自分が思っていることや自分の中であったことを書いてきたんですけど、今回は、"自分ともうひとりの誰かに対して"ということを中心に書いてみようと「海が見える街」を作ったときに思って。

-そのテーマのもと他の曲を書いていったと。

平田:頭の片隅にありました。で、その2曲ができて、次に何ができたっけ?

きっつー:「flowers」。それから「空を飛べるように」。「愛(哀)に花束を」と「春は巡る」はミニ・アルバムを作り始める前にあったんです。

-ということは、最後にできた「空を飛べるように」が1曲目になったわけですね。

平田:いかにも1曲目っていう曲を書こうと思ったんです(笑)。2曲目以降の曲順はもう決まっていたんですけど、1曲目に相応しい曲がまだなくて。

きっつー:しかも、レコーディングはもう目前に迫っていたという(苦笑)。毎日みんなでスタジオに入りましたね。

平田:再生ボタンを押した瞬間人の心を奪えるような曲にしたいと思いながら作りました。

-同じモチーフというか、同じ言葉が6曲の中に散りばめられていますが、それは意識的に? それとも無意識に?

平田:最後にできた「空を飛べるように」のCメロに全部の曲を詰め込んだのは意識的にです。

-あ、そういうことだったんですね。

平田:"海の澄んだ青や"が「海が見える街」、"月や星の輝きが"が「眠れない夜には」、"花は枯れてしまった"が「愛(哀)に花束を」と「flowers」、"春は巡り"が「春は巡る」というふうにちゃんと意味が通じる歌詞にしつつ、そういう遊び心を込めてみました。1曲目の、この歌詞に全部入っているってことを、全曲聴き終わったとき気づいた人がいたらめちゃめちゃ面白くないですか。

-面白いと思います。夜明けをモチーフに使うことも多いですよね。夜いろいろ考えこんで、眠れないまま朝を迎えることが多いんじゃないかと想像したのですが。

平田:でも、そういう人、いっぱいいませんか(笑)? 僕もそのひとりなんですけど、みんな仕事を終えて家に帰ってきて落ち着いてからあれこれ悩むと思うんですよ。

-たしかに。

植木:真也の歌詞を聴いていて思うのは、未来は常に開けていてほしい。自分はその覚悟がいつでもできているからってことですね。"白昼夢も何れ"ってタイトルを付けたのもバンドをやっていること自体が白昼夢というか、夢、幻のようなことかもしれないけど、それがいつかは本当になったらいいのにという気持ちがあるからなんじゃないかな。それが、真也自身が常に思っていることというか。決意を持ってやっていることが報われてほしいという気持ちが、夜明けをはじめとする言葉の端々に出てきているのかなと思います。

平田:当たりです(笑)。

-じゃあ、ミニ・アルバムのタイトルはこのタイミングでの決意でもあると?

平田:タカさんが説明してくれたそのままですね。バンド活動に限らないんですけど、自分が目標にしていることって本当に叶うかどうかわからないじゃないですか。けど、いずれどうなるかは自分で決められる。もしかしたら失敗するかもしれないけど、いずれの先は自分で決められるんです。それで、こういう中途半端な題名にしました。その先は自分でどうにでもできる。聴いた人それぞれに、白昼夢に自分の何かを当てはめて聴いてもらえたら嬉しいですね。