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INTERVIEW

Japanese

CAT ATE HOTDOGS

2020年09月号掲載

CAT ATE HOTDOGS

Member:ひこ(Gt/Vo) おざき(Gt) ハナッペ(Ba) みや(Dr)

Interviewer:稲垣 遥

-ちなみに、4人が好きなアーティストはどういうところなんですか?

ひこ:サンボマスターは挙げたいですね。小学生のときにカラオケですごくサンボマスターを熱唱してたっていうのは自分でも覚えてて。こみ上げてくるものを小学生ながらに感じてたんですよ。今になっても、ギターのコピーをしてコードワークとか、こういう方法があるんだって参考になって、曲作りの中で生きてる部分があるなと感じますね。

みや:一番好きなアーティストはアルカラで、実際何度かライヴを観たりするなかで、爆発とか多彩さ、曲の構成とかがめっちゃ好きで聴いてます。

ひこ:アルカラはバンド・メンバーでも話題に挙がりますね。

みや:バンドとして共通して好きで。実際ご縁があってイベントに一緒に出させていただいてもいて、すごく憧れのバンドですね。

ハナッペ:ZAZEN BOYSですかね。ちょっと変態チックな感じが日本のバンドの中で一番好きですし、自分なりに吸収してバンドの色として出せたらいいなぁと思ってます。

おざき:僕は東京事変とかtricotとか、あとはインスト・バンドなんですけど、Regaとかtoconomaとか。ギターがカッコ良かったらなんでも聴いちゃうみたいな感じなんで、曲を聴くというよりも、ギターを聴いちゃうようなバンドが好きです。

-なるほど。というのもCAT ATE HOTDOGSの音楽って、今、二十歳前後のバンドが鳴らすギター・ロックの中でも、ちょっと他とは違う感じがしたんですよ。ファンクっぽい音もあるし、そこに乗るヴォーカルが、ひこさんの太くてしゃがれた声というのも最近の若手のバンドの中では珍しい。だから、どういうルーツがあるのかなと思ってたんです。

ひこ:納得していただけて良かったです。本当普段からこんな感じで好きなバンドの話をしながら進めている感じはありますね。

-でも、切り取ると渋いような一面もあるけれど、キャッチーなメロディだったりノリやすい跳ねる感じがあったりするから、全体としては今どきの若い人にも届きやすいものになっていると思うんです。そのあたりは、好きなものを単純に合わせたらこうなったっていう感覚ですか?

ひこ:そうですね。作ってる側もぐちゃぐちゃな感じはあるし、聴いてる人も"?"が浮かぶんじゃない? っていう曲もあるし。セッション的な部分は曲作りの中でたまに使ったりするんですけど、ベースやギターがでたらめな動きをしてても"いいよいいよ、やっちゃえ"っていくところもありますね。みんな好きなようにやってる感はあるんじゃないかな。

-型にハマらずに曲作りをされているんですね。曲はEggsに上げている音源のクレジットを見ていると、ひこさん名義のものとバンド名義のものとがありましたけど。

ひこ:僕がデモを投げて作るんですけど、ギターとベースは中身なしで送ることがほとんどなんです。

ハナッペ:途中からそういう感じになったので、表記がぶれてるんです。結果的に全体で作ってるみたいなもんだからって。

-ひこさんがひとりで作ってた頃の曲がひこさん名義で、バンドを組んでからはバンド名義になってるんですね。では、今回の作品の話に移っていきますが、全国流通が決まった心境としてはいかがですか?

ハナッペ:単純に、自分がその場に降り立ったことのない地域にも自分たちの作品が届くっていうのは、感動的やなと思います。全国流通になる前の2作のEPは基本的にライヴハウスで売っていて、新型コロナウイルス感染症の影響でライヴが自粛になったタイミングで、通販を始めたんです。そのときに自分たちが想像していたよりも日本のいろんな都道府県の方が買ってくれて、自分たちの知らないところで知ってくださる方はいるんだなって感じたので、そういう方に全国流通になって店頭で手に取っていただけるのも嬉しいなと思います。

-今作には6曲が収録されていますが、全国流通だから今までの代表曲を改めて出すっていう感じかなと思いきや、これまでのデモ作や2枚のEPの収録曲がひとつもないんですね。

ひこ:たしかに、入れても良かったね(笑)。

ハナッペ:そんな話もあって。作品を作るときに、"次はミニ・アルバムを出す"という明確なプランもなくて、実際に2nd EP(2019年12月リリースの『マジック』)をリリースしてツアー("2nd E.P「マジック」Release Tour 『〇〇えもんとゆう太の魔界大冒険ツアー』")のファイナルがもうすぐかなっていう時期に、今回のミニ・アルバムの6曲の組み合わせを決めたんですよ。これが一番曲のまとまりとしてしっくりくるし、ミニ・アルバムとして出したいなって4人の意志が合致したんです。たまたま今まで収録した曲がなくて大半を新曲が占めるんですけど、何かを狙ってというよりは、これが全員ピンときた感じでした。

-では、新曲が多いということで、逆に言えば今のモードが出ている曲が多いってことですか。

ハナッペ:そうですね。1st EP(2019年6月リリースの『タイムカプセル』)にも2nd EPにもない要素っていうのは今回の収録曲に多く含まれているんじゃないかと思います。

-具体的にその曲についても聞かせていただきたいんですが、1曲目の「kikanju」はライヴでも1曲目によくやる曲だそうですね。

ひこ:もうその紹介しかない感じです。

-ということは、初期からある曲ということですか?

みや:それこそ、ライヴもしてないときにファミレスで「kikanju」を聴いて、それでCAT ATE HOTDOGSやりてぇってなった気がする。

ハナッペ:オリジナルをやるってなったときにどういう曲をやりたいのかっていうのでひこ先輩が、"ボツかもしれないけど"って感じで聴かせてくれたのが「kikanju」だったんです。それで、これは絶対やりたいっていうことで。もう1曲「バディロックノイズ」っていう収録されてない曲があるんですけど、それとほぼ同時進行くらいで作ってた、CAT ATE HOTDOGS最古の曲です。今までやってきたライヴでセトリになかったことがほとんどないくらいずっとやってきて、でも、作品を出すなかで温めておきたいって気持ちがあって。今回、全国流通盤の1曲目で出せたっていうのは、昔からの大切な宝物がとうとう音源としてできあがったんだなっていう。

-でも、ひこさん的には"ボツかもしれないけど"っていう曲だったんですね。

ひこ:たしかにそういう曲やったかもしれないです。意味わからんかったもん。がむしゃらに作ったところがあったんで、今思えばそういうエネルギーってあのときのほうがあったなっていうのもあるんですけど、作ったばっかりのときはエネルギッシュすぎて"これは曲なのか?"って思った記憶があります。

-初期衝動というか、それこそ、そのエネルギーがいい意味で出てると感じましたけど。

ひこ:そうなんですかね、ありがとうございます。自信がつきました。

-バンドでアレンジしたりしていくうちに、自分でも手応えを感じる曲になっていったりはしました?

ひこ:あーたしかにそうですね。バンドでみんながパートを入れてくれたり、ライヴでやったりしたら、なるほど、こういう曲なんかって。自分で作っておきながら音源ではわかってないところがありました。

-そんな念願の収録になった「kikanju」から始まって、次が「群青」。Bメロがないぶんスピード感もあってかっこいい曲ですが、この曲は新曲として作ったんですか?

ひこ:作ったのは去年の春ですね。アイディアもなく、冒頭の自分のリフがあるんですけど、あれをおもむろに弾き始めて、そこからスムーズにいけた曲でした。

ハナッペ:アルバムの曲順は、僕が"この順番がいいんじゃない?"っていうのがそのまま採用になったんです。この曲の印象が、まっすぐなエネルギーを持った曲というものだったので、「kikanju」でスイッチを入れてそれをさらに前に持っていくような、アルバムを加速させていくようなパワーのある曲で、フレーズを作るなかでもまっすぐさみたいなものを結構意識しましたね。