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INTERVIEW

Japanese

藤巻亮太

2019年09月号掲載

藤巻亮太

Interviewer:秦 理絵

-当日のライヴの形態として、藤巻さんは出ずっぱりで、"藤巻バンド"に次々と出演アーティストを呼び込むっていう形態も、このフェスの特徴ですよね。

これは自分も一緒に演奏したかったからなんです。もちろんバンドを連れてきてくださってもいいんですけど、できれば一緒に関わりたかったんですね。あとは、みなさん弾き語りの名手でもいらっしゃったので、1曲は弾き語りをしてもらうのも特徴ですね。

-それも藤巻さんからリクエストしてるんですか?

そうです。"よかったら1曲は弾き語りをしてくれませんか?"ってリクエストしました。あれは聴いてくださる方にとっても、楽しかったんじゃないかなと思います。

-当初から、"Mt. FUJIMAKI"は毎年やっていこうという想いはあったんですか?

続けたいなと思ってました。続けていくなかで見えてくるものがあるでしょうし。富士山の周りだけでなく、他の場所でやることも視野に入れたいと思ってるんですよ。山梨のいろいろな場所の魅力を伝えられますし、そこで自分自身が学べることもある。そう考えると、1年、2年じゃなくて、続けることが大事だなと思ってますね。

-今年の開催に寄せるコメントには、"変わりゆく部分と、変わることがない部分を楽しんでほしい"というような言葉もありますけど、"Mt. FUJIMAKI"のテーマは変わらず、回数を重ねることで藤巻さんの中で意味合いが変わることにも期待しているような感じがしますね。

そこは本当におっしゃるとおりですね。テーマ自体はずっと変わらないんですね。逆に1年、2年で変わっちゃいけないと思いますし。だけど、それをやっていくなかで、どう成長していけるか、どれだけ大勢の人を巻き込んでいけるかっていうことも含めて、自分ができることを探して、気持ちをシフトしていくことが大事だと思います。

-"Mt. FUJIMAKI"が1年に一度の集大成になればいいっていうことですね。

そうなんです。そういうことを思える節目って自分で作ることが難しいじゃないですか。でも、昨年の初開催を10月7日に無事終えられてから、来年はもっとパワーアップした自分でそこに立ちたいなと思ったんです。そうすると、1年間の過ごし方が変わりますよね。

-実際にこの1年間の過ごし方も変わっていますか?

変わってます。ライヴもいっぱいやりましたし、"ダウンタウンDX"に出させてもらったりもして(笑)。いろいろなことに挑戦してみるっていう気持ちになりましたね。挑戦して失うものより、得るものを大事にしていくというか。いろいろな意味で、加点方式でポジティヴに考えられるようになったんです。それは"Mt. FUJIMAKI"をやって変わったことですね。

-還る場所ができたことで自分が強くなれるのかもしれないですね。

そこで、さらに大きくなった自分を見せたいですからね。

-ちょっと質問の角度が変わるんですけど、今アーティスト主催のフェスが増えてるじゃないですか。西川貴教さんの"イナズマロック フェス"、10-FEETの"京都大作戦"とか、シンガー・ソングライターだと、高橋 優さんも地元秋田でキャラバン("秋田 CARAVAN MUSIC FES")をやってますけど、"Mt. FUJIMAKI"の開催にはそういう方たちの影響もあったんですか?

影響と言うよりかは、もっとそういう方から学びたいなと思ってます。まだ僕は1年しかやってないから、いろいろ話を聞いてみたいなとも思ってますね。どのフェスも一個一個テーマがあるじゃないですか。自分がフェスを開催するようになって、どういう思いでやってるのか、より強く感じられるようになってるんです。

-たぶん、そういうフェスの効果だと思いますけど、最近はアーティスト同士の交流が盛んになってる気がするんですけど、藤巻さん自身はどうでしょう?

あぁ、それはありますよね。SNSもあると思うんですけど、フェスを主催すると、やっぱり他のアーティストと繋がりやすくなるんですよ。今まで僕はミュージシャンの友達が少なかったんです。でも、フェスをやると、コミュニケーションを取る機会が増えるので、ちゃんと繋がれるんですよね。これは何よりも宝物になりますね。

-今年のブッキングは、どんなことを意識して声を掛けてたんですか?

去年と同じく尊敬する方々に出ていただきたいっていうことですね。エピソードとしてあげるとしたら、トータス松本(ウルフルズ/Vo)さんと、去年ソロとしては初めて"楽演祭"というイベントでご一緒させていただいたんです。昭和音楽大学で学生に講義をして、弾き語りをするっていう内容だったんですけど、打ち合せも兼ねて、初めて一緒に飲みに連れていってもらったんですよ。そこで、ミュージシャンとしても尊敬してましたけど、人間としても、こういう人だから、こういう音楽を作れるんだなっていうのを肌で感じました。

-藤巻さんが感じたトータスさんの人間的な魅力ってどんなところですか?

ひとことで言うと、男前ですね。ステージもサービス精神も男前なんですよ。そのうえで、クリエイティヴな面では繊細さも持ち合わせてらっしゃいますし。そういうところは素敵だなと思って、今年最初にお声掛けさせてもらったんです。

-"楽演祭"が終わってから?

改めてオファーしました。"こういうイベントをやってるんですけど"って言ったら、トータスさんも、ウルフルズで"ヤッサ"っていうイベントを地元でやってるから。その大変さも教えてもらいながら、快く引き受けてくださったんですよ。そこで勇気が出ましたね、今年もがんばるぞっていう。

-他の出演者の方についても、それぞれ想いを教えていただけますか?

曽我部(恵一/サニーデイ・サービス/Vo/Gt)さんは、ずっと尊敬してました。実は最近ラジオで共演させてもらったんですよ。そこで初めてお会いしたんですけど、いきなり生で一緒に歌ったんです。曽我部さんの「サマー・ソルジャー」だったんですけど。そこで、初めてとは思えないぐらい僕をリラックスさせてくれたんですよ。ニコニコーってされてて。人間としてファンになっちゃいますよね。

-岸田 繁(くるり/Vo/Gt)さんも尊敬する先輩ですよね?

大学時代からずっと聴いてました。トータスさんもなんですけど、J-WAVEの"トーキョーギタージャンボリー"っていうイベントでご一緒させてもらったんです。国技館で弾き語りをやるっていう。そのとき、くるりとしての素晴らしさとは違う、岸田さんの弾き語りとしての魅力を知ったんですよね。くるりも"京都音楽博覧会"っていうイベントをやってて、それが前の週だから、出てくれないかもしれないなと思ったんですけど、どうしても出ていただきたかったので、お手紙を書いてオファーをしました。

-ORANGE RANGEは?

ORANGE RANGEは同期なんですよ。今はレーベル・メイトなんですけど。バンド・アクトとして花があるので、盛り上げていただきたいです。あと、大塚 愛さんは、去年ずっと男性にオファーしてきたので、初めて出演する女性アーティストなんです。"FNS歌謡祭"で「プラネタリウム」を歌ってらっしゃって、それに感動して、お願いしました。

-唯一、若手バンドにtetoが出演しますね。

tetoは、チームの中で若手の人を入れたいってなったときに、推薦してもらったんです。パンクな精神と、その中にオルタナティヴな音楽性があって、僕も好きなんですよ。年相応の勢いで"Mt. FUJIMAKI"に新しさを吹き込んでほしいですね。

-Eggsとコラボするかたちで、今年は新人アーティストのオーディションも行ってますし、今年の"Mt. FUJIMAKI"には"若さ"を入れたいという思いもあるのかな、と。

もっと若い方々に音楽を聴いてもらう場所を作れたらいいなと思ってるんです。開演前の短い時間なんですけど、オーディションで選ばせてもらったアーティストの音楽を楽しんでもらおうと思ってます。これは今回初めての試みですね。