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INTERVIEW

Japanese

Kaco

2019年01月号掲載

Kaco

Interviewer:渋江 典子

-「あいそうろう」は、曲名が気になりました。

これは造語なんです。古語で"候"ってあるじゃないですか。"愛してあげましょう"みたいな、ちょっと皮肉っぽさや上から目線な感じを出したかったのと、あとは音が気に入ったので決めました。愛しているけど、腹の中ではいろんな本音がうごめいてる感じを出したくて。

-なるほど、ちょっとした闇が込められているんですね。サビはクラップが入っていてライヴでも盛り上がりそうだなと思いました。

今までライヴでクラップをしたことがないので......やってみたらどうなるんだろう。どうしたらクラップしてくれるんですかね。Twitterとかで前もって根回ししとこうかな(笑)。

-今回は音源の中でもクラップがあるので、ライヴで自然と起こる可能性も高いのではないでしょうか。

そうだといいなぁ。ちょっと前に、この曲にクラップが入っているのが狂気じみてるねって話していたんです。ちょっと異質というか、いい意味の違和感だなぁって。

-もう1曲のリード曲「夢から醒めた夢」はKacoさんにとって"自己宣言"のような楽曲だとお聞きしました。

私は今音楽をやっていますが、まだ途中の段階じゃないですか。そのなかで理想どおりにいかないことはたくさんあって、もどかしさとかもたくさんあるけど、それも含めて自分の"構成物"というか――どこかに繋がっているから、嫌なことも思いどおりにいかないことも、全部楽しめたらいいなっていう気持ちで書いた曲です。ちょっとむしゃくしゃした気持ちも"楽しもうぜ"っていうテンションにしたくて(笑)。メロディや言葉を選んでいった感じですね。

-Kacoさんの楽曲は悩みや葛藤がテーマでも、聴き終えたときには前を向こう、頑張ろうっていうポジティヴなメッセージが心に残ります。

もちろん悩みもたくさんありますけど、もともとがポジティヴ人間なので、最終的にはどうにかなると思っていて。だからたぶん、自然とそれが表れているんだと思います。悩んでいたくないんですよね。自分の悩みを人に聞いてもらうのって、"そんなの聞きたい?"って思っちゃうから......。だから、誰かがちょっとでもキラッと光る心を取り戻してくれたり、前を向いたりしてもらえたらいいなっていうのが根本にあるので、どれだけ悩んでいても、最後には光が差している曲にしたいなと思って作っています。これは曲を作り始めたときからずっと変わらずに、意識していることですね。

-景色が浮かびやすい歌詞でもあると感じますが、普段から本を読んだり映画を読んだりされるんですか?

私ずっと本を読むのが苦手だったんです。すぐ内容を忘れちゃうんですよ。"あれ、この人誰やったっけ"ってなるから遡って......みたいな(笑)。読むとしても相当時間がかかってたんです。でも1年前くらいから面白さがわかるようになりました。

-意外でした。ということは何かから影響を受けるというよりは、湧き上がってくる言葉ということなんですね。

知らないうちに何かからインプットしているんでしょうけどね。むしろ写真集とかをよく見てます。一時期、いろんな写真集を買って、"ここから想像できる曲を書こう"とかもやってました。

-では改めて『たてがみ』はどんな作品になりましたか?

一歩外に出たいというテーマがあって、歌詞はもちろん、メロディでも楽曲提供を経験したことで心に引っ掛かるフレーズを求めていけたし、アレンジもより開けた感じになったなと感じています。やりたいことも、自分と異なる人の脳みそが加わることでこんなに広がっていくのかということも再確認できたというか。いろんな人たちのイメージを吸い取ったうえで、大通りに出られたなという感じがしています。

-3月には大阪と東京でワンマン・ライヴ"Kaco LIVE TOUR 2019 ~たてがみ~"の開催も決定していますが、どんなライヴになりそうですか?

初めてハンド・マイクでライヴをやるんです。今まではピアノの弾き語りでライヴをやっていて、ずっとハンド・マイクでやるのが目標だったので、やっとやりたいスタイルでライヴができるのが楽しみです。今まで私のことを知ってくれていた人にも、イメージして作り上げてきたものを見せて"え、こんなことを内に秘めていたの!?"って驚いてもらえるような、新しすぎる顔を見せられるライヴにしたいと思ってます。やる気満々です!

-最後に、今後の活動の目標などを教えてください。

ひとつは、もともとコーラス部だったというのもあって"NHK全国学校音楽コンクール"っていう合唱コンクールがあるんですけど、その課題曲を作るのが夢です。そのためにはアンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓 十五の君へ~」とかもそうですけど、多くの人に知られなきゃいけないので――もちろんたくさんの人に知ってもらうというのはあるんですけど、自分の音楽の原点でもあるコーラスに違う視点で帰ってくるっていうのは経験してみたいので、目標です。