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INTERVIEW

Japanese

「琴音」

2018年04月号掲載

「琴音」

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-ということは、「成長記」の歌詞の内容はそのままご自身のことですか? "幼い頃から人一倍 臆病で/すぐに 物を怖がって どこかに隠れて"っていうフレーズが気になっていたんですけど。

もう完全に私のことです。あそこをいいねと言ってくださる方もいらっしゃるんですけど、私的には結構嫌がられる部分なのかなと思っていたので、すごく意外でしたね。

-どうして嫌がられると思ったんですか?

悲観的というか、決して温かい雰囲気が伝わるような歌詞ではないというか。なので拒否られやすい曲なのかなと思っていたんですけど、案外そうでもないんだなって。

-それもまた、歌を受け入れてもらえた経験のひとつですね。この曲、"どうしようもない私だからこそ人の優しさを感じられるんだ"という結論で終わってますけど、この考え方が高校生にしてはかなり達観しているなと思って。

人って大人になるにつれて気を遣うことができるようになって、例えば愛想笑いとか、自分の気持ちをスッと隠して表情に出さないようにできるようになると思うんですけど、小さいころって素のままじゃないですか。私は人見知りだったので、だいたい自分が心を許している人の後ろに隠れていたり、誰かが来ると逃げていったりしていたんですよ。それで中学校までは友達が全然いなかったんですけど、高校に入ってからはなんとかしなくちゃいけないなって思って必死に人に話し掛けるようになって。そういう自分を振り返ってみたときに思ったことを書いた歌詞だったような気がします。

-なるほど。ひとつ気になっていたことがあるんですけど、「琴音」さんの書く曲って、一人称(私、僕)と二人称(君、あなた)が絶対に交わらない感じがあるじゃないですか。精神的な部分で繋がっていたとしても、物理的な距離があるというか。

え、本当ですか?

-はい。その距離感って、相手と自分の間に1枚壁を作っちゃうようなご自身の性格の表れなのかなと思って。だから"祈る"や"願う"という描写が多いし、私自身が会いに行くよ、支えてあげるよ、みたいなやり方はあんまりしない。あくまでも自分はここにいたままで、歌だけを相手の方へポンと投げるような感じなんですよね。

それはそのとおりだと思いますね。向こうの思う"こういうことを言ってほしい"と自分の思う"こう言ってほしいのかな"との間にズレがあるせいで"それ、ちょっと答え違う......"みたいなことになると申し訳ないし、歩み寄ろうとして嫌がられるのも傷つきますし。でも言葉や歌を投げ掛けるだけだったら、向こうは拒否もできるし受け入れることもできるなと思って。私はバラードの曲が多いので、基本的にお客さんに黙って聴いていただけるというか、状態として自分がひたすら歌っていることが多いんですよ。だから一方的に話し掛けているような気持ちなのかな?

-でも、先ほどおっしゃっていたように歌が"自分の心臓を曝け出すようなもの"ならば、それってかなり生身のものじゃないですか。それにもかかわらず、一歩引いた視点から"歌は私自身ではない"、"あくまで音と言葉である"と割り切れるのってすごいことだなぁと思って。

うーん......すごく複雑というか微妙なところですよね。(曲を)書いているときは完全に自分の内を剥き出しにしているんですけど、そうしてできあがったものをちょっとだけ客観的に見たときにただの歌になるというか。なので、それを聴いていただいて、どう思っていただけるかはその人次第かなっていうところがあると思います。

-きっと「琴音」さんの場合、人の領域を侵したくないというか、相手のことを心から尊重しているからこその人見知りだと思うんですよ。で、その人たちそれぞれの解釈をしてもらいたいからこそ、ちゃんと深みのある歌詞を書けるようになりたいんだ、っていう。

そうですね。いろいろな受け取り方をしていただきたいなと思っています。

-そろそろ最後の質問になりますが、"ワン!チャン!!"ではグランプリも獲りましたし、テレビ朝日のオーディション番組"音楽チャンプ"でも活躍されてましたし、勢いに乗っている状況じゃないですか。率直に聞きますけど、今、どんな気持ちでいますか?

いろいろな人に知っていただけてありがたいなっていう気持ちもすごくあるんですけど、やっぱりそのぶん、自分自身も向上していかないといけないなって思っているので。今までそういう気持ちがなかったわけではないんですけど、"より良いものを"という気持ちが以前より強くなったような気がします。

-自分の歌に対する意見を受け取る機会も増えたと思いますが、それについてはどのように感じていますか?

ポジティヴなことに対しては"ありがとうございます"って思いますし、ネガティヴなことに関しても"たしかに自分が足りなかったのかもしれない"って思ったら、受け止めて今後に生かすようにしています。そうは思わなかったら聞き流す、みたいな......(笑)。基本的にその人たちそれぞれの人生経験を通して"私を観たらこう思った"っていういち感想でしかないなって思っているので。

-潔くてカッコいいですね。

いやいや(笑)。でも私はそんな感じでずっとやってきたのかもしれないです。