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INTERVIEW

Japanese

BREIMEN

2024年04月号掲載

BREIMEN

Member:高木 祥太(Vo/Ba) サトウ カツシロ(Gt) いけだ ゆうた(Key) ジョージ 林(Sax) So Kanno(Dr)

Interviewer:石角 友香

現行のミュージック・シーンのあらゆる場面で活躍する辣腕ミュージシャン集団でもあるBREIMENが、現体制でリリースした3作のアルバムでそのオルタナティヴ・ファンク・サウンドの可能性を開陳してきたタイミングの昨年10月に、メジャー・デビューを発表。バンドで作る音楽の新しさや面白さをアップデートし続ける5人の動向はミュージック・ラヴァーにとって気になるところだが、今回リリースされるニュー・アルバム『AVEANTIN』を機に、彼らの音楽的な享楽と狂気はより広いフィールドに波及することだろう。ここではメジャー・デビューに至る経緯や本作の軸になった楽曲などについて、メンバー全員インタビューを実施した。

-まず、これまでのキャリアがもうすでにあって、この体制でのアルバムも3枚作られたわけで、なぜこのタイミングでのメジャー・デビューだったのだろうと。

サトウ:まぁでも、Ariola(Japanとの繋がり)自体はそれこそもうコロナ前からだっけな。

高木:コロナのときだよ。コロナのときにちょくちょくライヴに来てもらってて。

林:もともとはAriolaじゃなくて。なんとなく流れでBREIMENがソニー(ミュージックレーベルズ所属)になりそうってなったから、ライヴをよく観に来てくれて声を掛けてくれた人が、その人ごとAriolaに来て。

いけだ:BREIMENありきで考えてくれたのね。

高木:まぁまぁ偉いおじさんとおじいちゃんがいるんですよ。で、前提としてインディーズ時代の制作やマネージャー・チームもそのまま入れてもらえる形になってAriolaのレーベル自体はメジャー・レーベルなんで、話は貰っていつつ、ずっと考えていて。

サトウ:1年以上迷ってたよね、Ariolaから話してもらってから。

高木:そうだね。1年以上考えて、それで入って。まぁ、まとめるならば、直感ですね。今、メジャー・デビューしてもいいかなって思ったというか。

サトウ:でも一回前作の『FICTION』で結構"出た"みたいな感じで、俺ら的にはアルバムが完成して、出て、やっぱり自分たちが作ったものに対してのある種......まぁ、あんだけ頑張って作ったからシンプルにもっといろんな人に聴いてほしいな、っていうのもあったんで。

高木:ちょっと広げたい、みたいな欲が出てきたのはたぶんあるし、あとは3枚ぐらいアルバムを作ると、いったんは全部出たなって感じがするんですよ、いろんな部分で。それで自分たちを対外的なところとか、システムでちょっと無理やり第2章に持っていきたいというか。この機会を使ってシーズン2に行きたい、第2章を開きたい、みたいな。でも根本の根本を問うたら、俺はやっぱ"飽きたから"が一番しっくりくるんだよな。インディーズで3枚出して、なんとなくインディーの動きもわかって、その動きにもちょっと飽きて、そこからまた違う座組になったらどうなんだろう、みたいな感じでしたね。

-アルバム3作をインディーで作られて、っていうのももちろんあるけど、前作の『FICTION』というのが結構内省的な作品だったと思うので。

高木:うん、そうですね。

-今回すごく振ったなという感じがしました。

高木:たしかに。もう本当に反動ですね。

-実際のアルバムのテーマやヴィジョンはいつ頃でき始めました?

高木:俺的には完全にこの「ブレイクスルー」ってリード曲ができたときですね。このアルバムのヴィジョンが「ブレイクスルー」に集約されてるなと思って。この曲自体ができたのは結構遅くて、去年の10月とかだったのかな? なんでわりと差し迫っている段階で。曲っていう単位以前に、アルバムを今俺らが出すってことを結構メタに見てて、"BREIMENのメジャー1stアルバムのリード曲はなんだろう?"みたいに考えていたんです。「ブレイクスルー」はわりと難産だったんですけど、このアルバムおよびBREIMENの今のタームの意思表明や決意表明みたいな曲なんで、これができたときに見えたというか、そこからはポンポン曲を作っていった感じですかね。

-10月って、すでにメジャー・デビューを告知する映像をロスに撮影しに行ったあとじゃないですか?

高木:あとですね。もうちょい前にできる予定だったんですけど、全然できなかったです。

-先にカマされた感じはありました。

高木:あ、ほんとですか? ロス?

-ロス行って音源を作るわけではないじゃないですか。

一同:(笑)

いけだ:普通そうなりますよね。

高木:ロス行ってなんか作れたらなと思ったんですけど、ロス色ゼロですね(笑)。一瞬、最後の曲を"ロサンゼルス・フォーエバー"とかにしようかなって思ったんだけど(笑)。

-ロスに行って"メジャー・デビューします"映像を撮ること自体がメッセージだったというか、"らしい"スケール感とか派手さ?

高木:あぁ。でも結構ギャグでしたけどね。そのスケール感を含めた壮大なギャグみたいな気持ちはわりかしあったんで。

サトウ:あれたぶん結構苦笑いしてる人多い。

高木:(笑)

-でも退路を断つ的な印象もありましたよ。

高木:たしかに。でも全然そこは自覚的じゃなかったですね。いつの間にか退路がなくなってました(笑)。

いけだ:やるしかないもんね。

-苦笑いする人もいたでしょうけど、らしいなと。

高木:苦笑いされがちですよね、俺ら(笑)。

サトウ:課題っすね、今後の。

高木:たぶん変わんないと思うんだよね、俺は。

-「ブレイクスルー」ができたことでアルバム全体が見えたと。非常にキャッチーな曲ですね。

高木:そうですね。

-このアルバムを通じてもそうですけど、「ブレイクスルー」の一人称が誰なのか? というのはポイントな気がします。

高木:あー。でもそれは明確にあって。BREIMENは精神的に社会からかなり距離を取った集団なんですけど、それがソニーという音楽における社会に入ったというか、メジャー・シーンでアルバムを出すっていうことを社会によって行うというか。で、そうなったときに初めて、この「ブレイクスルー」って別に応援歌ではないけども、でも応援歌みたいなとこもあると思ってて。ちょっと初めての感情というか、そんなに人を応援したりとか、自分自身を応援するみたいな気持ちももともとなかったんだけど、わりとそういう気持ちに自然になったんです。だからこの曲の一人称は俺でもあるけど、たぶんBREIMENなんですよね。およびチームBREIMENとか。だからそれは状況がそうさせた曲だなっていうのがあって。いわゆる"メジャーだから人を応援しよう"とかそういうのはまったくなく、いろんな状況が自然にそうさせたなっていうのは思いますね。周りがすごい病んでたんで。BREIMENに限らず友達とかが。で、俺もソニーって社会に接することによって――別に直接的に何か悪いことがあったとかじゃなくても、前までなかったような感情とかになったから。且つ、結局はいろんな部分で新たな道を作りたい、みたいなことをより思ったというか。