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INTERVIEW

Japanese

BREIMEN

2024年04月号掲載

BREIMEN

Member:高木 祥太(Vo/Ba) サトウ カツシロ(Gt) いけだ ゆうた(Key) ジョージ 林(Sax) So Kanno(Dr)

Interviewer:石角 友香

-すごい楽しいですよね、この曲。

Kanno:レコーディングではなんとかいいテイクだけ使ってるけど、祥太がベース弾きながら歌えるか? みたいなところで、俺はこのビートをライヴでちゃんとコンスタントにできるように(笑)。

高木:「乱痴気」はみんなビクビクしてるよね。"できるのか?"みたいな。

Kanno:一曲入魂だよね。でもすごい気に入ったセクションで。そのビートをやりたいって提示して、そこからみんなでアレンジを考えたセクションもあるんで気に入ってます。

いけだ:僕はキーボードなので、今まではだいたいギターとかリズム楽器の人がジャガジャガってやったらそのあとをボワーンって埋めることが多かった気がして。でもこのアルバムでは結構僕がリズムを担ってる部分が多いんじゃないかなと思います。「眼差し」、あと「乱痴気」でも......。

高木:1曲にして。質問が1曲だから(笑)。

いけだ:どうしようかな。今結構そういう視点で見ちゃってて。「眼差し」もそうですし、「LUCKY STRIKE」もそうなんだけど、1個言うならばいろんなところでも言ってる「ラブコメディ」......。

高木:違うんかい(笑)。

いけだ:クラヴィネットという名前の生の楽器を使ってたくさん重ね録りをしてるすごい贅沢なセクションがあって、一聴してわかりやすいかなと思うのでそれを推させていただきます、はい。

サトウ:僕は実は「yonaki」で、理由は僕の中でもわかってないんですけど、「yonaki」のサビを聴くと心の奥底にあるなんかがザワザワするんですよ。元カノの家で流れてた音楽を聴いたときみたいな、なんかわかんないけど。

いけだ:どこに由来があるかわかんないノスタルジー。

サトウ:金木犀の香りみたいな感覚になるんですよ。なんでそうなるのかわかんないけど。

いけだ:古っぽいわけではないのに懐かしさが。

サトウ:今だって頭の中で「yonaki」のサビを俺の歌声で再生しただけでもなったんですよ。細胞レベルで刻まれてる、俺の感受性の琴線に触れる何かがある曲なんです。

-プレイヤーとしてどうっていうよりリスナーとして?

サトウ:プレイヤーとてはすごいサボってできた曲だったんで(笑)。

一同:ははは。

高木:人力サンプリングみたいな感じで、あえて1ショットを切り貼りしたりとかしてたんでね。

-アルバム全体が前に出るっていうか、キャッチャーな曲が多いんで、「yonaki」で前作の内省的な部分を思い出すところもあります。林さんはいかがですか?

林:僕は本当に全曲すごく良くて。

高木:"良くて"。怒ってる人みたいな(笑)。

林:(笑)そのうえでやっぱり「ブレイクスルー」が自分は良かったなというか、本当に"俺のことを歌ってるんじゃねえか?"ぐらいに。さっきと同じ話になっちゃうんですけど、サックスがバンドにいることを変に意識しすぎちゃってるところが自分でもあるし、サックスっていう楽器の可能性をもっと上げていきたいなぁって常日頃思っているのが根底にあって。そのためにはいろいろ殻を破っていかなきゃいけないし、そういうことをしつつも、温故知新じゃないけど、今まであったような古いものを知らなきゃ新しいものを作れないと思ってるんですが、でも自分はサックスでこういうことを表現したいんだっていうのが別に見えてなくて、この歌詞の"探してるモノは/ボクにもわからない/確かなことは/突き動かすこの衝動"というのはまさにそのままで。明確に何かが見えてるわけじゃないけど、サックスでBREIMENを通じて何かを広げたいみたいな意思はあって、もうそれだけで日々動いてるから(笑)、結果としてこのトラックに対してハマる音が作れたんで、めちゃくちゃ気に入ってますね。

-これまでよりBREIMENの曲に入りやすくなる人が増える曲だと思うんですけど、みなさんが入れてる音の異様さに気づくというか。

林:うん、そうですね。

-林さんという、ホーン・セクションとかじゃないバンドのサックスという面白さがありますね。

高木:本当にそうだと思います。ちなみに俺(の思い入れのある曲)はもちろん全曲なんですけど、プレイというか曲作りって意味でも「L・G・O」ですね。あるベクトルにおいて人生最高の曲ができたと思って。いったんの満足が得られた。別に、他にやりたいことはいっぱいあるんだけど、俺的には「noise」(2020年配信リリースのシングル)とかも同じ区分で、完全直結形で、どれぐらい心情が音やコード・ワーク、ハーモニーに滲み出てるかみたいな。「noise」はそのときの良さがありつつ、今だったらもっとこうっていうのが思いつくんだけど、「L・G・O」は思わないんだよね。それぐらい、自分のハーモニー感だったりメロディ感がかなり、いったんの完成形です。

-この曲を聴いたとき、高木さんの心情やいかにと思いました。

高木:病んでるなと思いました?

-いや、振り返ってるっていうか、達観してるなぁと。

高木:あぁ。僕、この間29歳になったんですけど、思い出にしたくない気持ちもある反面、ただどうしても事実として、人間って歳を取れば取るほど思い出に生かされてる部分もあると思うんです。でも俺はまだそんな歳じゃないし、まだやれることもいろいろあるって思ってるからこそ、過去っていうのを意識せざるを得なかったというか。俺、歩いてるときもあんまり後ろを振り返らないんですが、今回の「ブレイクスルー」でもそうなんだけど、新しいタームに行くと明確に思っているからこそ、どういう道のりを俺らが歩いてきたかとか、バンドや俺自身がどういうふうに生きてきたかみたいなことを顧みる瞬間が結構あって。それは思い出に浸ってるっていうシンプルなものではなく。だから「ブレイクスルー」と「L・G・O」って全然違う曲だけど、俺的には前と後ろみたいなイメージですね。温故知新って言葉も類似だけど、何か新しいことを始めたり新しいタームに行ったり、前を向いているときって、絶対に同じベクトルの後ろに今まで自分が来た道があるのは意識せざるを得ないというか。悪いときはそれが足枷にもなるし、いいときはそれが後押しをしてくれる。だから今までの過去を切り捨てて、何か新しいことを始めることは絶対できないっていうのをすごく感じて。人生とかの単位で書けましたね。"書いた"っつうか"書けた"。

-いい意味で自分の棚卸というか。強いときじゃないと客観的に棚卸しってできない気がする。

高木:でも逆説的に、それをすることによってちょっと強くなろうとしている節もあるのかも。

-そしてアルバムを実際にリリースしてからのBREIMENはどうなっていきたいですか。

高木:それ、ちょうど昨日話し合いをしてたんですよ。

Kanno:途中で抜けちゃって。俺的には強いドラマーになるっていう。

一同:(笑)

高木:全然抜けても大丈夫だったことだね(笑)。でも昨日話し合いをしてて、やっぱり長く続けたいってまず第一に思ってて。"売れたい"みたいなのは本当にそのための手段だなと。売れたいために手段を選ぶんじゃなくて、長く続けるための手段として売れるっていうのが必要。長く続けるっていうのはひもとくと、制作もライヴも楽しくて、もっとミクロで言ったら、そういうBREIMENとしてやることをこれからもたくさん続けたいって感じじゃね? どう? 違う人いる?

Kanno:やっぱ強いドラマーになるためにはこのバンドの存在が。

一同:(笑)

サトウ:でもこのバンドで楽しくやっていくためには、各々のそういった認識みたいなのが絶対必要だと思う。で、俺は一生自分の身の丈で生きていきたんですけど、自分の身の丈を伸ばし続けていきたいんだよね。

高木:はいはい。

サトウ:殻を破りたいっていうより、自分の殻の内側から広げていくみたいな感覚で生きていきたい。

-それ一番いいですよね、何をやるにしても。最近はいろんなバンドがいますけど、自分が面白くやることが増えたり変わったりすることを楽しむために続けたい人が多いんじゃないですかね。

高木:はいはい。

-続けていくうえで何が出てくるのか楽しんでる人が多いと思うんです。

高木:それで言うと毎回面白いんだよ、4枚出しても面白いから。続けることに固執しているわけではなくて、ニュアンスとしては楽しんで生きていきたいですね。