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Japanese

リーガルリリー

Skream! マガジン 2015年12月号掲載

2015.11.22 @下北沢GARDEN

Writer 蜂須賀 ちなみ

新人アーティストの音楽活動支援を行う"Eggsプロジェクト"の一環として、THEラブ人間主催のサーキット型イベント"下北沢にて"にEggs枠が設けられ、2組のバンドがオープニング・アクトを務めた。

初日に登場したのは現役女子高生3人組のバンド、リーガルリリー。東京3店舗限定販売のミニ・アルバムは完売し廃盤、新宿JAMでの初のワンマン・ライヴはソールド・アウト、"未確認フェスティバル2015"では準グランプリを受賞......と現メンバーに定まってから約1年しか経過していないにも関わらずその活躍っぷりは著しい。現在は受験勉強により雪山珠沙希(Dr)が活動休止中のため、高橋ほのか(Vo/Gt)、白石悠(Ba)にサポート・ドラマーを迎えた3ピースでライヴ活動中だ。肩まで伸びた髪をふわふわと揺らすそのルックスからは想像のつかない、グランジ直系のサウンドで下北沢GARDENを塗りつぶしていく3人。音の濁流から平然と浮き上がってくる柔らかくも芯のある高橋のハイトーン・ヴォイスは存在感バツグンだ。歌詞を口ずさみつつフレーズを奏でる白石は、ときにオーディエンスのリアクションを見ながら、ときにメンバーたちと顔を見合わせながら笑顔を浮かべる。大舞台での演奏に緊張もしていたのかもしれないが、何よりも自分たちが演奏をしている今この瞬間を心底楽しんでいるんだ、ということが前面に出ている。そんな彼女たちはすごく眩しく見えたし、頼もしさすら感じた。3人が全身全霊で楽器を掻き鳴らすアウトロを経て、サッと音が止む瞬間の空気の冷たさに息を呑んだのは「マルベリー」。弱冠17歳とは思えない演奏にはドキドキさせられっぱなしだったが、一転、MC中はどこかたどたどしさが。それもまた微笑ましく、フロアからはあたたかな拍手が起きていた。そしてラストを飾ったのは「坂道の途中で。」。アンサンブルの余白と歌声の響きで魅せる序盤、高い飛翔力を持ったサビ、そして"かわいくなくても/そばにいてくれますか"から始まる終盤の爆発力――曲が進むにつれて激情の色を重ね塗りしていく展開は圧巻のひと言。3人が去ったステージには、高橋が床に投げつけたギターの音だけが途切れずに残っていた。

 
[セットリスト]
1. 魔女
2. Casablanca
3. ぶらんこ
4. マルベリー
5. 坂道の途中で

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