Japanese
リーガルリリー
2020年02月号掲載
Member:たかはしほのか(Vo/Gt) 海(Ba) ゆきやま(Dr)
Interviewer:TAISHI IWAMI
"インディペンデントからメインストリームも巻き込んで、荒んだ世の中にストップを掛ける旗手とまで言いたくなるほどの強度"。2019年12月10日、恵比寿LIQUIDROOMで開催されたリーガルリリーのワンマン・ライヴを観て、本誌のレポートにそう記したことが限りなく確信に変わった。持ち前のダイナミクス、ノイズが描くサウンドスケープ、時に嵐のように音が渦巻くカオスのなかにあっても、強い輝きを放つメロディと言葉、それらの世界観をよりグルーヴィに演出する生々しいドラム、低音域からビートに寄り添うベーシックなラインと、物語を決定づけるセットのような豊かな音色を兼ね備えたベース。それらの要素が圧倒的新境地で絡み合う、リーガルリリーの1stフル・アルバム『bedtime story』の魅力に迫る。
音へのあくなきこだわりが描く、夢と現実の狭間で揺れる想い。リーガルリリー渾身の1stフル・アルバムの魅力に迫る
-12月10日にLIQUIDROOMで開催されたワンマン・ライヴを観ました。たかはしさんのMCは、口調の温度こそ高くはないですが、バンドを長く続けていきたいと願う気持ちや、儚いライヴの時間をフロアの方々とともにすることの喜びといった、切なる想いがひしひしと伝わってきます。
たかはし:音楽が生活の一部になっているので、それを表現できる場所がずっと続けばいいなって、思ってます。
-世界的に、ロック・バンドがメインストリームで活躍することが少なくなっていく時代の流れの中で、バンドを結成し歩んでこられて今、思うことはありますか?
たかはし:メインストリームで聴かれないからこそ、いざそこに出ることができたときに、すごく新しいものとして世の中に響くんじゃないかと思います。今は水面下でやってますけど、だからこそワクワクするんです。もしかしたら、このままほとんどの人には知られることないのかもしれないけど、そういう期待を抱けることって、いいじゃないですか。
-実際にじわじわとリーガルリリーの輪は広がってきていますし、この先も何か大きなことが起こりそうなエネルギーのうごめきを感じるステージでした。
たかはし:あんなに大勢のお客さんの前でやるのは初めてでした。そこは素直に、すごく嬉しかったし楽しかったです。あと、回を重ねるごとに客層の幅も広がってきて、特に最近は私たちより若いお客さんが増えてきました。それはたぶん、私たちの年齢が上がっていったからなのかなって、思ってるんです。
-なぜ年齢が上がると若いお客さんが増えるんですか?
たかはし:私の書く歌詞は、ストレートに共感を得られるようなものではなくて、"あぁ、こういう考え方もあるんだ。なんか救われたな"みたいな感じだと思うんです。そういうことを歌うバンドは、同い年とか年下よりも年上のほうがいいのかなって。だから今は、年齢を重ねることが楽しみです。
-ゆきやまさんと海さんは、たかはしさんの歌詞について、どのような印象を持っていますか?
ゆきやま:人の思考にはクセみたいなものがあるじゃないですか。みんな、そもそもなんとなく感じることって似てるんだけど、心の中に残る思いは偏っていく。そこでほのかの歌を聴くと、"知ってるけど眠ってたやつだ"みたいな感覚になるんですよね。だから、共感できると同時に"気づき"でもあると思います。
海:日常のどこかで一瞬感じたことを、取りこぼさないで心にとっておけることがすごいなって、いつも感心します。そういう小さな感情って、言葉にするまでもなかったり、自分でも言い表すのが難しかったりするんですけど、そこを比喩的な感じで伝えようとしてくれてる。それは普段話しているときもそうで。
-まさに、記憶の彼方に葬られた、でも実はすごく大切なことや、いわゆる"空気を読む"ことを考えて蓋をしてしまった感情を、掘り起こしてもらってるような共感性はあると思います。普段言えないことをメロディに乗せたときの威力を強く感じるんです。
たかはし:メロディが心と言葉を繋げてくれるんです。言えないことも言いやすくなるし、それが私の中で一番気持ちがいい。私はもともとなんでも言っちゃうようなタイプなんですけど、それがコンプレックスでもあるんです。もしかしたら相手を傷つけてるのかもしれないって。後悔することが怖くなって黙っちゃうことも。だからメロディに依存して、言葉を一番きれいな形で発してるように思います。
-今回のアルバム『bedtime story』は、初のフル・アルバムであり、2018年7月に海さんが正式メンバーになったことで獲得した強度に満ちた作品だと感じたのですが、バンドをやっていくうえで、意識の変化はありましたか?
たかはし:以前とはバンドに対する思いがまったく違います。最初は、バンドというより私のソロ・プロジェクトみたいな感覚だったんです。でも、そのやり方に飽きてしまって。その頃は前のベースが抜けて(ゆきやまと)ふたりでやってたんですけど、新しくメンバーを入れたいねって話してて、海ちゃんにも加わってもらって、スタジオに入って曲を作ったときに、これが一番楽しいって、心から思えました。ひとりでやってると、許す対象が自分だけで、ネガティヴな感情がどんどん激化するんですけど、3人だと互いに"許し合う"ことが生まれます。だからこそ前向きになれるし、すごくやりやすいんです。
-たかはしさんの考えが変化するまでのゆきやまさんは、たかはしさんが考えていることを具現化する優れたプレイヤーであるべきだと思っていたのですか?
ゆきやま:いえ。始めた頃はそんなことすら思ってなくて、友達と遊んでるみたいな(笑)。
たかはし:私も初期はそうだ(笑)。
ゆきやま:私自身が楽しみつつ、ほのかの世界観が伝わればいいなって思いながらやってて、当時のベースが抜けた頃には、このバンドを止めちゃいけないって、責任感というか愛着というか、リーガルリリーに対する想いが芽生えていました。そこから、海ちゃんが入る前くらいだったと思うんですけど、それぞれの個性を掛け合わせるからこそ起こる面白い現象に興味が湧いてきたんです。今回のアルバムは、そういう変化がすごくいい感じに反映されていると思います。
-海さんは、そんなリーガルリリーのことが好きで、サポート・メンバーになった。そこから正式メンバーになってアルバムを作り上げた今の感想を、聞かせてもらえますか?
海:今まで曲作りには携わってなかったから、自分は偽物じゃないですけど、曲に馴染むような表現を突き詰めながらライヴを重ねつつも、ちょっとつっかえていた部分が正直あったんです。でも、今回は初めから関わって作ることができたので、そのつっかえがスッとなくなったような感覚はありました。
-タイトルの"bedtime story"は、いわゆる"ベッドルーム・サウンド"と呼ばれるようなジャンル的な方向性とも、パーソナルな作風とも取れますが、どのような意味があるのでしょう。
たかはし:タイトルは、ある程度曲が揃った段階で、セルフ・タイトルの"リーガルリリー"にしようかと思ってたところに、海ちゃんが提案してくれました。その意味が本当に素晴らしくて。その日のうちに3人でセッションしながら作った曲があるんですけど、これがものすごくベッドタイム感があって、だったら"bedtime story"を、この曲とアルバムのタイトルにしようって。
海:私の目線からは、母親像だったり物語的な何かだったり、夢の世界だったり、そういった要素がどの曲にも共通して垣間見えたんです。だから"bedtime story"にしたらすべてが繋がると思いました。
たかはし:さらにそこで、「ベッドタウン」って曲が私のストックにあったことも思い出して、それを1曲目にして最後をタイトル曲にしたら、めっちゃカッコいいと。最初からコンセプトがあったわけではないんですけど、すごくアルバムらしくなったと思います。
-もともとコンセプトはなかったということですが、全12曲というサイズ感を楽しんで作った部分はありますか?
たかはし:はい。これまでに出したミニ・アルバム『the Post』(2016年10月リリース)と『the Telephone』(2018年6月リリース)、『the Radio』(2017年7月リリース)は、曲ができたから入れちゃうみたいな、寄せ集めだったんです。でも、今回は曲数が多いので一曲一曲に、違った表情を持たせないと飽きちゃうんじゃないかって、そういうイメージはありました。私自身がそうなんですよね。ミニ・アルバムのサイズくらいなら、まぁ聴けちゃうし、その中に1曲いい曲があったらいいなくらいの感覚。でも、12曲でそんな感じだと、最後まで聴けない。いい曲であることは大前提で、なんなら全曲違うバンドがやってるくらいの作品にはしたかったです。
ゆきやま:紛れもなくリーガルリリーなんですけど、ほのかが今までの作品とは別人のように感じるところもあって。ほのかの本来持ってる優しさがすごく滲み出てる。それが声に乗ってて、オケにはみんなで作った思い出が乗ってて、すごくいいアルバムができたと思います。作った私自身も、"ここいいな"とか、"こんなことしてたんだ"とか、日替わりで新たな発見があって、すごく聴き応えがあるんです。
-例えば、どんな発見がありましたか?
ゆきやま:まさに今日、新しい発見があったのは「林檎の花束」。この曲はレコーディングが終わったあとに、ほのかがコーラスを思いついて、最後の最後でスケジュールを変えて、コーラスを入れたんです。
たかはし:"どうしてもコーラスを入れたい"って子供泣きして(笑)。
ゆきやま:そのコーラスは、1サビにはあるんですけど2サビにはないんです。その結果、より空を飛んでるような気分になれるんだとか、そんなことを思ってました。
-全体的に、音質的な部分やグルーヴ、バンドならではのライヴ感、どこを切り取っても音がすごく良くなって、リーガルリリーの魅力が拡張されているように思いました。
たかはし:音に対する欲は、ここ1年ですごく深くなりました。
ゆきやま:エンジニアさんが今回から新しい人に変わったんです。空気感を何よりも重視する人で、そこはかなり出てるんじゃないかと。今できる最大限のグルーヴや心地よさはこれなんだろうなって、思います。
たかはし:上手いとか下手じゃなくて、カッコいいかどうか。ミスはあとから直せるけど空気は直せないって。
ゆきやま:「ハンシー」は、何回録ってもうまくいかなくて悩んでたんです。そうしたら、"1回何も考えるな"って言われて、本当に何も気にしないでやったんです。そうなるとビートがよれてくるんで、"これでいいのかな"って思ったんですけど、みんな"これだよ"って。
-ベースが引っ張る曲も多くて、音へのこだわりを随所に感じることができます。
海:ベース・ライン自体は、私としてはすごくシンプルにしたんですけど、そのぶんサウンドにこだわりました。例えば「1997」は、昔の壊れたアンプから出ているような音にしてダウン・ピッキングで弾くとか、「そらめカナ」は戦闘機のトランシーバーから出ているような音にしようとか、「bedtime story」や「子守唄のセットリスト」はできるだけ温かくて包容力のある音にしようとか、曲によってイメージがあって、それらがしっかりと落とし込めたように思います。
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