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DISC REVIEW

Japanese

2018年06月号掲載

the Telephone

リーガルリリー

『the Telephone』

Release Date : 2018-06-06
Label : Biotope records

2倍速になったり、変拍子になったり、突然轟音が鳴ったり......というTrack.1「スターノイズ」はオルタナ節全開。以降はたかはしほのか(Vo/Gt)のふわふわとした歌声を引き立てるような浮遊感を持つ曲の多い印象だ。共感や共鳴とはまったく違うところで聴き手の心を揺らしにかかるソング・ライティングも健在(特に「いるかホテル」、「overture」が凄まじい)。戦争を彷彿とさせる言葉が多いのだが、現実と幻想を行き来する音像とそういった歌詞が絡み合うことにより、ゆらめく炎のような美しさが実現している。なお、本作は『the Post』、『the Radio』に続くミニ・アルバム3部作のラストを飾る作品とのこと。次作以降ではまた異なる世界を見せてくれそうだ。(蜂須賀 ちなみ)


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Cとし生けるもの

『bedtime story』から約2年ぶりの2ndアルバム。3人のアンサンブルやその曲は、よりオルタナティヴでポップにパワフルに、そして洗練されて、ピュアな視線で捉えた景色や心の機微が鮮明に、鋭く、音楽になった。その歌詞は、詩的で、時に暗号やでたらめなピースのパズルを読み解くようなシュールさがあるけれど、それがメロディとなりこの音に乗ったとき、自分の心の記憶や感情に触れて、気持ちが動かされる。小さな子どもが、手をパッと開いてとっておきの宝物を見せてくれたような感覚と言おうか。何気ないものや出来事が愛おしくなる、そんな曲が並ぶ。また「中央線」など中央線や環七が登場する曲では、その舞台の空気やざわめきまでもが聴こえてくる。聴いている間、どこまでも旅ができそうなアルバムだ。(吉羽 さおり)


the World

とても大きなタイトルが冠されつつ、私たちが今息をしているこの場所が世界だと思わせてくれる自然な強さがある初のEP。多くのアーティストがテーマにする「東京」は、ナイジェリアの風もホタルイカが生息していた海も繋がっていることを実感させる歌詞に、感銘を受けつつ、朴訥とした前半から怒濤のシューゲイズ・サウンドへ転換していく構成も、歌詞が示唆する自然なこととリンクしており、それもまた見事だ。「地獄」と「天国」という対照的且つ遠大なテーマの曲も、コロナ禍で再発見した日常の中にある息苦しさと心地よさを表現した"近い"感覚の作品。また、カバーとして、彼女たちが中学生の頃に出会った敬愛するSEKAI NO OWARIの「天使と悪魔」を取り上げ、トータリティのある仕上がりに。(石角 友香)


bedtime story

悔しさも悲しみも、美しい瞬間も怖いもの知らずの破壊力も、すべて息ができないほどの"本当"でできている――彼女たちがガールズ・ロックの概念から逸脱しているのはそこに尽きる。海(Ba)が加入後、そしてバンド初のフル・アルバム。MY BLOODY VALENTINEの轟音もNUMBER GIRLの鋭さも真っ青な、たかはしほのかの天性のギターと、ゆきやま(Dr)と海との3人だけのアンサンブルの豊かさ。ロック・バンドがトレンドじゃないなんて言説はこの作品を前に無意味だ。「GOLD TRAIN」での思い出したくない悲しみを抱えて走る疾走感、聴き手の息の根を止めるような歌を作る理由が窺える「ハンシー」など、3人にしか作れない12篇の物語。10代の作品より研ぎ澄まされていることも驚愕だ。(石角 友香)


ハナヒカリ

"きみはおんがくを中途半端にやめた。"と歌う「リッケンバッカー」の刃の純度にやられて、聴き続けているリスナーも多いであろうリーガルリリーは、3作のミニ・アルバムを経て、昨年、ベースの海が加入。今、バンドとして最強の状態にあると言えるだろう。初のシングルは、Vo&Gtのたかはしほのかが高校生の頃熟読した"惡の華"の映画版主題歌と挿入歌。今回挿入歌に起用された「魔女」は、高校時代に書いた、悪意の対象に対する憎悪とそれに苦しめられる"君"も自分も何もできない無力さ、独善的であることが清々しいほどだが、時を経て今書いた「ハナヒカリ」では、美しい"君"には人を殺めてほしくないし、殺されないでほしいという比喩が登場する。大きなグルーヴと徹底した透明感にいつまでも感覚が支配されるようだ。(石角 友香)


the Telephone

2倍速になったり、変拍子になったり、突然轟音が鳴ったり......というTrack.1「スターノイズ」はオルタナ節全開。以降はたかはしほのか(Vo/Gt)のふわふわとした歌声を引き立てるような浮遊感を持つ曲の多い印象だ。共感や共鳴とはまったく違うところで聴き手の心を揺らしにかかるソング・ライティングも健在(特に「いるかホテル」、「overture」が凄まじい)。戦争を彷彿とさせる言葉が多いのだが、現実と幻想を行き来する音像とそういった歌詞が絡み合うことにより、ゆらめく炎のような美しさが実現している。なお、本作は『the Post』、『the Radio』に続くミニ・アルバム3部作のラストを飾る作品とのこと。次作以降ではまた異なる世界を見せてくれそうだ。(蜂須賀 ちなみ)


the Radio

2014年に結成されてから注目を集め続けているガールズ3ピース・バンド、リーガルリリーの2ndミニ・アルバム。まだ全員が10代だが、今作をきっかけにさらにステップアップする予感がする。全6曲から放たれる煌めきと危うさは、まるで彼女たち自身が"今しか歌えない言葉、鳴らせない音"を自覚しているかのよう。特にたかはしほのかの歌声は、ほんわかしたフォルムをしながらも、奥にある複雑に絡み合った感情を無邪気に覗かせており、ドキドキせずにはいられない。言葉も音も心にずしん、と響く重みがあり、かわいらしさが魅力のガールズ・バンドとは、より一線を画していることが伝わってくる。それでいて、どんどん世の中に浸透していきそうなソングライティングの力も感じる。(高橋 美穂)


the Post

東京都出身、平均年齢18歳のガールズ・バンドが初の全国流通盤をリリース。どこか気の抜けたようで浮遊感のあるヴォーカルとガレージ直系のザラついたサウンド、空想的なようでよく聴くとリアリティのある歌詞......というコントラストの絶妙さにこのバンドならではのセンスを感じる。ライヴを観た限りでは、会場全体の空気を塗りつぶしてしまうような迫力が印象に残っていたが、本作はアコースティック・ギターの音色が前面に出ていることもあって、もっと聴き手の近くで音が鳴らされている。バンドの体温に直に触れられるような作品だからこそ、Track.1「ジョニー」やTrack.3「リッケンバッカー」のような"音楽で生きていく"という意志を歌う曲には特にグッときた。(蜂須賀 ちなみ)



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