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[BAYCAMP 2021 "DOORS"]

Skream! マガジン 2021年11月号掲載

YONA YONA WEEKENDERS

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リーガルリリー

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忘れらんねえよ

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東京初期衝動

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鋭児

2021.09.20 @USEN STUDIO COAST

Reported by 三木 あゆみ Photo by 白石達也、TAMA、かわどう、ゆうと。

2021年9月20日、USEN STUDIO COASTにて今年2回目となる[BAYCAMP 2021 "DOORS"]が開催された。8月に"BAYCAMP2021"開催断念のニュースが発表され、本来の"BAYCAMP"の核である野外でオールナイトでの実施という夢は来年に持ち越されることになった。しかし、"この夏に何もやらないということはできない"と"BAYCAMP"代表の青木 勉(ATFIELD inc.)氏は急遽今回の"DOORS"開催を企画。コロナ禍で数多くのイベントが開催断念となっているなかでも、"BAYCAMP"の灯を絶やさずに繋いでいくため、この日は合計12組のアーティストが集まった。

また、STUDIO COASTが2022年1月末に閉館することもあり、この場所でライヴをするのは最後だというバンドも多く、この場所に対する想い、イベントに対する想い、それぞれの様々な想いがドラマを生んだ1日となった。

"Welcome Act"として"GOLDEN STAGE"に登場したのは、鋭児。青い照明の中、上半身裸でフロントに佇む御厨響一(Vo)は只者ではないオーラを放っている。ムードのあるピアノの音から始まる「銀河」で幕を開け、最初はアンニュイな空気を纏っていた御厨の歌声が次第に激しさを増していく。時に感情を衝動的にぶつけ、その熱量でうねるようなグルーヴを生み出す。どのジャンルとも形容し難い音楽性と、観る者を圧倒するパフォーマンスで強烈なインパクトを残し、彼らはステージを去った。

代表の青木氏による挨拶とガイドラインの説明のあと、メインとなる"DOORS STAGE"にWiennersが現れた。「蒼天ディライト」からスタートし、ハッピーでエネルギッシュなバンド・サウンドに観客も一気に熱くなる。祭りソングとも言える「恋のバングラビート」、"Don't stop the music"とここにいる全員に捧げた「GOD SAVE THE MUSIC」など、Wienners節全開の楽曲群で会場を魅了。玉屋2060%(Vo/Gt)は"胸がはちきれそう"と音楽やライヴ、ファンに対する想いを募らせ、最後は「FAR EAST DISCO」を届けてステージをあとにした。

続いて"GOLDEN STAGE"にはI'sが登場。あのがソロ・プロジェクト"ano"とは別軸で結成したバンドだ。パンキッシュな「DON't COMMIT SUICIDE」から感情をぶちまけるように歌うあの。「僕の春」では切ない歌声も聴かせ、人々の傷や痛みに寄り添った。ラストの「きるみーべびぃ」では、あのがギターを肩にぶらさげたまま、マイクを手に取り、ステージを縦横無尽に動き回って絶叫する場面も。"今日はぶちこわしていくつもりで来ました"とあのが話していた通り、独自の感性を楽曲に込め、観る者に衝撃を与えるライヴを届けた。

次の"DOORS STAGE"には忘れらんねえよ。NiziUの「Make you happy」をSEに登場し(柴田隆浩(Gt/Vo)は縄跳びダンスも披露)、「だっせー恋ばっかしやがって」から本編がスタート。「戦う時はひとりだ」では"今日ここに来たお前らひとり残らず綺麗だ"と歌詞を変え、悩んで来ることを選択した人々の気持ちを肯定する。拳を高く掲げる観客の姿、情けなくとも心に響く柴田の等身大の言葉に胸が熱くなる。サポート3人に青汁を一気飲みさせた「ばかばっか」、新曲「これだから最近の若者は最高なんだ」などを送り、最後は「この高鳴りをなんと呼ぶ」。思いっきり泣いてスッキリし、笑顔になるときのような晴れ晴れとした気分で、ステージを去る忘れらんねえよを見送った。

STUDIO COASTに心地よい潮風を吹かせたのは、"GOLDEN STAGE"に現れたWANG GUNG BAND。「SUNDAY」で幕を開け、ゆらゆらときらめく波の景色が見えてくるようなサウンド、宴のような高揚感のあるバンド・アンサンブルで観る者を一気に惹きつけていく。大人なファンク・チューン「SPICE」では、見せ場でもあるサックスとピアノの掛け合いが気持ち良く、その演奏に没入してしまう。SEの海の音とアコギにまったりと身体が揺れる「夏の夜」、そして最後は"ララララ"のメロディがロマンチックな「素敵な相棒」で締めくくった。

続いては、リーガルリリーが"DOORS STAGE"に登場。淡いピンクの照明の中、夢幻的な「ベッドタウン」からスタートした。そこから「GOLD TRAIN」と「1997」と続け、パワフルで芯のあるドラム、グッと気持ちのこもったベース、そこに乗るたかはしほのかの儚くも内に秘めた熱のある、意志の強い歌声がSTUDIO COASTに響き渡る。さらにシームレスに繋いだ「東京」の導入もハッとするカッコ良さがあり、音の振動や空気、音楽を生で体験するからこその"ライヴ感"がダイレクトに伝わってくる。「リッケンバッカー」まで全7曲。終始、見とれ、聴き入ってしまうステージだった。

次の"GOLDEN STAGE"には、YONA YONA WEEKENDERS。まずは澄みきった青い空に伸び伸びと広がっていくような「君とdrive」を届け、聴き手を癒していく。磯野くん(Vo/Gt)は"(今日は)お酒は飲めないけれど、僕たちのグッド・ミュージックで酔わすので、最後まで楽しんでいってください"と挨拶。ダンディなベースのリズムに自然と身体が揺れる「いい夢」、まわるミラーボールの光も相まって幸福感が増幅した「SUNRISE」などを披露し、持ち前の小気味よいサウンドで陶酔させ、観客の心を解放した。

MONO NO AWAREが"DOORS STAGE"のステージへ。幻想的なコーラスや宇宙を彷彿させる音遊びが面白い「異邦人」から始まる。早口言葉を取り入れた「かむかもしかもにどもかも!」では、そのユニークさ、シュールさの魅力に加えて、演奏ではどんどんとグルーヴが上昇していく様に痺れる。どこか懐かしく爽やかな「ゾッコン」、しっとりとした歌声が染み渡る「LOVE LOVE」など、最新作『行列のできる方舟』からの楽曲も多数送られ、最後は「そこにあったから」。軽快できらびやかな、そしてほっこりする温かさも感じられる音のシャワーを、フロアに降り注いで去っていった。

"GOLDEN STAGE"に現れた東京初期衝動は、爆音の1音を叩きつけ「流星」からライヴを開始。観客もステージに向かって手を伸ばし、一曲一曲に没頭している様子が窺える。しーなちゃんの泣き声のような息継ぎ、ヴォーカリストとしての個性がより前に出たバラード「中央線」や、力強いビートに切ないコーラスが乗った「STAND BY ME」など、バンドの持つパワーを存分にぶつけていく東京初期衝動。「ロックン・ロール」では4人の演奏にさらに熱が加わり、ラストはしーなちゃんの"せーの"のシャウトでドカンとキメて、"トキョショキ流"青春パンクを存分に見せつけた。

"DOORS STAGE"のTENDOUJIは、「STEADY」から幕開け。ご機嫌なサウンドの「Killing Heads」では、"Ah ah ah"のコーラス部分で観客も楽しそうに手を上げる。この日はアゲアゲなセットリストを用意しているとのことで、ワイルドなパーティー・チューン「FIREBALL」、カラっとしたドラムが聴き手のテンションを上げる「DODA」、会場との一体感をさらに高めた「Peace Bomb」などを送った。モリタナオヒコ(Vo/Gt)は"ここに来た人はみんな音楽が好きな人たちだと思うし、みんな友達だと思ってます。また会いましょう"と伝え、「GROUPEEEEE」で最高潮の盛り上がりを見せ、ライヴを終えた。

"GOLDEN STAGE"のトリを務めるのは、ナードマグネット。須田亮太(Vo/Gt)がイベントに誘われたのが急遽だったことに対して、愛のある愚痴をこぼして笑いを起こしつつ、気合十分に「爆発しそう」を1曲目に投下した。「バッド・レピュテイション」ではシンガロングの代わりに観客の両手が一斉に上がり、今年加入した新メンバー さえこのベース・リフから始まった「C.S.L.」ではそのグッド・メロディで聴き手の身体を揺らす。須田はいつかSTUDIO COASTでライヴをしてみたかったと話す。そのあとに"この場所で歌ってみたかった曲"と披露した「Mixtape」にはジンとくるものがあった。最後はすべての力を出し切るように「ぼくたちの失敗」で駆け抜け、大ジャンプを決めて終了した。

この日のヘッドライナー、the telephonesは"DOORS STAGE"、そしてイベントの大トリを飾る。ミラーボールがまわりフロアで大きなクラップが鳴るなか、アフロのかつらをかぶってテンション高めに現れた。「Monkey Discooooooo」が始まると、瞬時にフロアはディスコと化す。「electric girl」では、サビで観客を一斉にジャンプさせ、朝から参加している人たちの疲れも吹き飛ばして躍らせる。そのパワーの凄まじさはさすがだ。"BAYCAMP"常連だというthe telephones。フロントマンの石毛 輝は、今年本当は野外でオールナイトでのイベントもやりたかったけれど、"どこでやっても「BAYCAMP」は「BAYCAMP」だぜ!"とポジティヴな言葉を届け、重ねてこういった情勢でライヴに来てくれる観客に対して感謝を伝えた。後半では、「Baby, Baby, Baby」で岡本伸明(Syn/Cow/Shr)に連れられて"BAYCAMP"代表の青木氏がステージに登場し、岡本と共にカウベルを鳴らすという場面も。"BAYCAMP"関係者や観客、そして来年なくなってしまうSTUDIO COASTにすべてに向けて"愛とディスコを!"と石毛が放ち、ラストは「Love&DISCO」。音楽を楽しむ喜びと感謝に満ちた空気の中、本編を締めくくった。アンコールでは、TENDOUJIのアサノケンジ(Vo/Gt)をゲストに迎えて「Urban Disco」を披露。"まだまだ踊れるだろ!"(石毛)とダメ押しで盛り上げ大団円を飾り、[BAYCAMP 2021 "DOORS"]は閉幕した。

主催者、演者、観客の関係の近さが魅力の"BAYCAMP"。すべての状況がもと通りになるのはまだまだ先になるかもしれないが、この日は確かに未来の"BAYCAMP"に繋げるための大切な1日となった。この日の思い出を胸に、野外での"BAYCAMP"開催を楽しみにしていたいと思う。

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