Japanese
東京初期衝動
Skream! マガジン 2022年02月号掲載
2021.12.24 @渋谷チェルシーホテル
Writer 秦 理絵 Photo by 横山マサト
久々にお客さんの声がライヴハウスに響き渡っていた。新型コロナウィルスのワクチンを打った接種証明書を持参した人のみが参加できるという新しい試みで開催された、東京初期衝動のワンマン・ライヴ"東京初期衝動と性なるクリ X X ス"だ。パンデミック以降、ライヴハウスはソーシャル・ディスタンスの確保や歓声の禁止など、新しいルールのもとで、なんとか存続できるかたちを模索し続けてきた。そんななか国内のワクチン接種が進み、第5波が落ち着いたタイミングで行われたこの日のライヴは、マスクの着用は必須ではあったが、バンドにとっては約2年ぶりとなる"普通のライヴ"になった。まだ賛否はある時期だろうと思う。だがそれはロック・バンドとして、本来のライヴハウスのあるべきかたちを取り戻そうとする、東京初期衝動の勇気ある挑戦だった。
前説として、東京初期衝動が所属するエイティーフィールドの青木 勉氏が登壇すると、"今推したいバンド"として"前座ガールズ"を紹介したいと説明があった。若手のバンドか? とフロアがざわつくなか、登場したのはなんとサンタの衣装に身を包んだ東京初期衝動の4人。ゆったりとしたバラードに乗せて聴こえてくるのは、"2021年も誰も誰も優しくなかった"という切実なフレーズだ。2月2日にリリースされることが発表された最新アルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』の収録曲「クリスマス」が思わぬやり方でいち早く披露されたかたちだ。ホーリーなサウンドに込められた孤独と寂しさが胸に突き刺さる。
しばらく転換があったあと、仕切り直して東京初期衝動として4人が登場し、「再生ボタン」からライヴが始まった。しーなちゃん(Vo/Gt)がスッと息を吸い込むと、あさかの歪んだベースがぶいぶいと唸りをあげた。そこに重なるパンクなバンド・サウンド。しなやかな肢体をお客さんに預け、早速フロアのお客さんの頭上に思いっきり飛び込んだしーなちゃんは両手で顔を覆い、感極まったように声を詰まらせた。フロアの後方にいた私の位置からはっきりとは見えなかったが、きっと泣いていたのだと思う。"こんばんは、東京初期衝動です"。あいさつは手短かに「高円寺ブス集合」から「BAKAちんぽ」へと、骨太なグルーヴに痛烈な歌詞を乗せた鉄板のライヴ・アンセムを立て続けに披露していく。
東京初期衝動のライヴにMCはない。新曲も、タイトルすら知らされないままにどんどん進んでいった。しーなちゃんのヴォーカルにまれのギターがユニゾンしたメロディアスなポップ・ナンバーもまた、最新アルバムからの新曲「マァルイツキ」だった。あさかの鮮烈なベースが口火を切った「愛のむきだし」では、しーなちゃんはフロアを睨むような鋭い眼光で歌ったかと思えば、次の瞬間には甘えるようなキュートな歌声に変わる。小悪魔のように表情を変えてゆくしーなちゃんのパフォーマンスからは目を逸らすことができない。
ギター1本で歌い出し、やがて加わったバンド・サウンドが8分の6拍子の大きなうねりを巻き起こしたバラード曲「中央線」、ブルーの照明を浴びながら、"うざったいほど愛しいあなた"と身を切るように歌い上げた仄暗いナンバー「blue moon」、なお(Dr)が叩き出す推進力のあるビートがバンドをけん引する「BABY DON'T CRY」。途中、しーなちゃんが"せーの!"とフロアを煽ると、すかさずコール&レスポンスが湧き、曲間にはわーっと歓声が起こった。かつては当たり前だったライヴハウスの光景がそこには広がっていた。新曲「世界の終わりと夜明け前」を挟み、本編のラストを飾った「STAND BY ME」から「ロックン・ロール」への流れは、爆音の中、なんだか無性に泣きたくなるような名演だった。"世界が壊れても君だけのものさ"とそこにいるすべてのひとを巻き込むように歌った「STAND BY ME」も、"ロックンロールを鳴らしているとき/きみを待ってる"と叫ぶように何度も繰り返した「ロックン・ロール」も。この広い世界で生きるにはあまりにも弱い生きものである私たちをがむしゃらなロックで救い上げる優しいフィナーレだった。
楽屋のほうから"アンコールいくよー!"、"オー!"という声が聞こえてきたあと、再びメンバーがステージに現れた。しーなちゃんを除き、あさかがドラえもん、まれがドラミちゃん、なおがマイメロディのコスプレだ。衣装だけではない。顔も白く塗っている。きっと楽屋裏でキャッキャッと笑い合いながら仕込んできたのだろうなと想像するが、それにしても、なんて旺盛なサービス精神だろう。アンコールは、「兆楽」からスタートし、そして"途中で来た人は聴けてないと思うから。暑いの着てるけどやるよ!"と、2度目の「再生ボタン」、さらに最後は「高円寺ブス集合」を恒例の爆速バージョンでぶっちぎり、前座も含めて全19曲のライヴを締めくくった。終演後もなかなか鳴りやまない拍手に応えて、再びステージに戻ってきたしーなちゃんは、退場BGMの森田童子「ぼくたちの失敗」をワンフレーズだけ歌うと、生声で"ありがとうございました!"と叫び、拍手と歓声に包まれてステージを去っていた。

- 1
LIVE INFO
- 2025.11.07
-
YONA YONA WEEKENDERS
コレサワ
Rei
SIX LOUNGE
古墳シスターズ
あたらよ
Chimothy→
NANIMONO
超能力戦士ドリアン
崎山蒼志
ザ・シスターズハイ
MONOEYES
インナージャーニー
PompadollS
LEGO BIG MORL
androp
reGretGirl
終活クラブ
フレデリック
DOES
brainchild's
LUCKY TAPES
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
- 2025.11.08
-
VII DAYS REASON
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
ねぐせ。
FINLANDS
フラワーカンパニーズ
NANIMONO
Rei
SCOOBIE DO
打首獄門同好会
離婚伝説
PIGGS
終活クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
moon drop
キュウソネコカミ
eastern youth
wacci
Cody・Lee(李)
フレデリック
osage
怒髪天
優里
ASH DA HERO
irienchy × no more
パスピエ
MONO NO AWARE / ウルフルズ / Jeremy Quartus(Nulbarich) / SIRUP ほか
向井秀徳 / the band apart / ラブリーサマーちゃん / サニーデイ・サービス / 石野卓球 ほか
ザ・シスターズハイ
藤巻亮太 / SHE'S / SOIL&"PIMP"SESSIONS / 寺中友将(KEYTALK) / CENT ほか
ビレッジマンズストア
- 2025.11.09
-
コレサワ
VII DAYS REASON
Mrs. GREEN APPLE
Laura day romance
ねぐせ。
NANIMONO
SUPER BEAVER
フラワーカンパニーズ
あたらよ
ズーカラデル
osage
FINLANDS
SCOOBIE DO
MONOEYES
SPRISE
Devil ANTHEM.
崎山蒼志
打首獄門同好会
キタニタツヤ
リュックと添い寝ごはん
LUCY
水平線
KANA-BOON
ラックライフ
暴動クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
chilldspot
インナージャーニー
ドミコ
森 翼
PompadollS
Appare!
キュウソネコカミ
eastern youth
Cody・Lee(李)
BLUE ENCOUNT
優里
岸田教団&THE明星ロケッツ
Rhythmic Toy World / BIGMAMA / LACCO TOWER / kobore ほか
ASIAN KUNG-FU GENERATION / SHISHAMO / 水曜日のカンパネラ / TENDRE ほか
シド
四星球 / ガガガSP / ハンブレッダーズ / ORANGE RANGE / ゴールデンボンバー ほか
Dannie May
a flood of circle
センチミリメンタル
怒髪天
- 2025.11.10
-
SUPER BEAVER
鶴
リュックと添い寝ごはん
The Gentle Flower. / kalmia / Halujio ほか
荒谷翔大
Helsinki Lambda Club
超能力戦士ドリアン
- 2025.11.11
-
PEDRO
Lucky Kilimanjaro / the paddles / Chilli Beans.
Age Factory×ジ・エンプティ
BIGMAMA
Laughing Hick
SAKANAMON
僕には通じない
Ado
- 2025.11.13
-
MONOEYES
ザ・クロマニヨンズ
PEDRO
東京スカパラダイスオーケストラ
あいみょん
YOASOBI
syrup16g × ZION
超☆社会的サンダル
さとうもか
Tempalay
キタニタツヤ
Rei
片平里菜
ドミコ
NEE
amazarashi
PENGUIN RESEARCH
Hump Back
- 2025.11.14
-
コレサワ
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
ポルカドットスティングレイ
SCANDAL×ハク。
CVLTE
Rei
フレデリック
WurtS
超☆社会的サンダル
NANIMONO
go!go!vanillas
FINLANDS
EASTOKLAB
フリージアン
ゴホウビ
緑黄色社会
- 2025.11.15
-
MOS
チリヌルヲワカ
SCOOBIE DO
ザ・クロマニヨンズ
the paddles
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
東京スカパラダイスオーケストラ
離婚伝説
Cody・Lee(李)
SCANDAL / 水曜日のカンパネラ / YONA YONA WEEKENDERS / Jeremy Quartus(Nulbarich) / SIRUP ほか
YOASOBI
PIGGS
eastern youth
wacci
TOKYOてふてふ
超能力戦士ドリアン
ExWHYZ
CNBLUE
SPRISE
UVERworld
meiyo
Mrs. GREEN APPLE
フレデリック
ズーカラデル
ビレッジマンズストア
WurtS
すなお
NEE
暴動クラブ
崎山蒼志
フラワーカンパニーズ
リーガルリリー
THE BACK HORN
YJC LAB.
くるり
Nothing's Carved In Stone
"氣志團万博2025"
9mm Parabellum Bullet
INORAN
moon drop
PENGUIN RESEARCH
- 2025.11.16
-
SUPER BEAVER
LUCY
SCOOBIE DO
ザ・クロマニヨンズ
chilldspot
LiSA
秋野 温(鶴)
セックスマシーン!!
MOS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
Lucky Kilimanjaro
離婚伝説
YOASOBI
浪漫革命
BLUE ENCOUNT
Dios
超能力戦士ドリアン
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
ポルカドットスティングレイ
osage
CNBLUE
UVERworld
フラワーカンパニーズ
清 竜人25
NANIMONO
brainchild's
Cody・Lee(李)
Mrs. GREEN APPLE
Bye-Bye-Handの方程式
ザ・シスターズハイ×猫背のネイビーセゾン
eastern youth
Laura day romance
FOUR GET ME A NOTS × FILTER × THE LOCAL PINTS
ガガガSP / 打首獄門同好会 / bokula. / 日食なつこ ほか
Base Ball Bear
ぼっちぼろまる
ネクライトーキー / KANA-BOON / フレデリック / 夜の本気ダンス ほか
androp
"氣志團万博2025"
People In The Box
9mm Parabellum Bullet
wacci
- 2025.11.17
-
toe / LITE / ADABANA
SEKAI NO OWARI
- 2025.11.18
-
LITE
Rei
SCOOBIE DO
打首獄門同好会
SIGRID
さとうもか
Tempalay
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
SEKAI NO OWARI
森 翼
東京スカパラダイスオーケストラ
- 2025.11.19
-
あいみょん
Hakubi
ぜんぶ君のせいだ。
Hump Back
YOGEE NEW WAVES
オレンジスパイニクラブ
SIGRID
LEGO BIG MORL
Adrian Sherwood
LONGMAN
東京スカパラダイスオーケストラ
- 2025.11.20
-
Tempalay
PEDRO
Rei
moon drop
ドラマチックアラスカ
コレサワ
a flood of circle × 金属バット
キュウソネコカミ
ザ・シスターズハイ
Adrian Sherwood
VOI SQUARE CAT
私立恵比寿中学
さとうもか
ラックライフ
ザ・クロマニヨンズ
吉澤嘉代子
点染テンセイ少女。
- 2025.11.21
-
ポルカドットスティングレイ
PEDRO
SHERBETS
ドラマチックアラスカ
荒谷翔大
ザ・シスターズハイ
Adrian Sherwood
Hakubi
LONGMAN
reGretGirl
キタニタツヤ
東京スカパラダイスオーケストラ
SPRISE
Anyeed(Dyna/ego apartment)
超☆社会的サンダル
TOKYOてふてふ
TOMOO
浪漫革命
吉澤嘉代子
フレデリック
Bye-Bye-Handの方程式
FINLANDS
- 2025.11.22
-
Chimothy→
ねぐせ。
AIRFLIP
ポルカドットスティングレイ
wacci
キュウソネコカミ
ズーカラデル
NEE
the paddles
TOKYOてふてふ
LiSA
優里
BLUE ENCOUNT
moon drop
チリヌルヲワカ
ASP
Eve
miwa
Conton Candy
ストレイテナー
The Biscats
セックスマシーン!!
離婚伝説
Ado
MOS
荒谷翔大
リーガルリリー
NANIMONO
brainchild's
SUPER BEAVER
藤巻亮太
ビレッジマンズストア
PIGGS
SPRISE
アーバンギャルド
"GFEST.2025"
CVLTE
RADWIMPS
ガガガSP / SpecialThanks / YONA YONA WEEKENDERS / BACK LIFT ほか
フレデリック
osage
RELEASE INFO
- 2025.11.07
- 2025.11.08
- 2025.11.09
- 2025.11.10
- 2025.11.11
- 2025.11.12
- 2025.11.14
- 2025.11.17
- 2025.11.18
- 2025.11.19
- 2025.11.21
- 2025.11.22
- 2025.11.26
- 2025.12.03
- 2025.12.05
- 2025.12.10
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
暴動クラブ
Skream! 2025年10月号

























