Japanese
YONA YONA WEEKENDERS
Skream! マガジン 2022年01月号掲載
2021.12.12 @代官山UNIT
Writer 山口 智男 Photo by ホンマイサム
曲はもちろん、歌も、演奏も、とてもいい! 終始、そんなことを思わせるライヴだった。自らヨナの日と呼ぶ2021年4月7日にシングル「いい夢」でメジャー・デビューしたYONA YONA WEEKENDERSが11月3日にリリースしたセルフ・タイトルの1stフル・アルバムを引っ提げ、福岡、大阪と回ってきたリリース・ツアーのファイナル公演。その感想を求められたら、筆者は迷わずそう答えるだろう。
"東京、ただいま!"
元気いっぱいの磯野くん(Vo/Gt)の挨拶から始まった、この日のライヴが1曲目の「思い出in the sky」から印象づけたのは、心地いい歌声でリスナーを魅了する磯野くんの存在を際立たせながら、前に出すぎず......と言って、ひっこみすぎないバンド・アンサンブルという1stフル・アルバムの聴きどころが、ライヴにおいては、ちゃんと見どころになっているということだった。ライヴを観るまでは、てっきり全曲の作詞/作曲を手掛ける磯野くんがメンバーたちをひっぱっているんだと思っていたが、そういうことではなさそうだ。アーバンな魅力を持つ演奏に欠かせないグルーヴを作る役割を担うスズキシンゴ(Ba)、大きなアクションと印象的なフレージングで演奏に熱を加えるキイチ(Gt)、そして手数よりもビートの力強さで演奏を支える小原"beatsoldier"壮史(Dr)のプレイも含め、バンドが掲げる"ツマミになるグッドミュージック"になっている――それはYONA YONA WEEKENDERSのライヴ初体験の筆者にとって、嬉しい発見だった。
"(ライヴハウスでアルコールの提供が解禁され)ようやくツマミになるグッドミュージックの本領発揮(笑)"
磯野くんがそんなふうに言いつつ、観客と交わした"カンパ~イ!"を挟みながら、前半戦はお笑い芸人のシソンヌと共演したMVも話題になった「終電で帰ります」ほか、ミッドテンポの聴かせる曲の数々を披露。そこから一転、"いい歌を歌いすぎて、しんみりしちゃいましたね。ここからアゲアゲの曲が続きます。踊れますか?"(磯野くん)と始まった後半戦は、サポートの西 恵利香(Cho)と高橋 遼(Cho/Key)がソウルフルなコーラスを加えた「R.M.T.T」、シンゴとキイチによるソロのリレーも見どころだった「いい夢」をノンストップで繋げると、それまで磯野くんの歌に聴き惚れていた観客が身体を動かし始めた。
そこからバンドの演奏は、"みんな、心でシンガロングしよう!"と磯野くんが観客に呼び掛けた「東京ミッドナイトクルージングクラブ」、そして70年代のソウルやファンクを彷彿とさせる挑戦的な1曲「Open your eyes」を挟んで、ギターのフィードバック・ノイズからなだれこんだグルーヴィな「SUNRISE」で、さらに温度を上げ、クライマックスに相応しい盛り上がりを作りあげた。
追加公演を含め、今回のツアーの全公演がソールド・アウトになったことに感謝を述べた磯野くんが続けて語ったのは、メジャー・デビューと今回のツアーを経て、改めて確かなものになったバンドの所信。
"元気を貰えるとか、明日も頑張ろうとか、思ってもらえる存在になりたい。来年もいい歌を届けられるよう頑張ります!"
そんな思いを1stフル・アルバムという節目に改めて歌ったピースフルな魅力があふれる「光の中」を、観客の手拍子の中、演奏して、本編を締めくくった。バンドはアンコールにも応え、彼らが注目されるきっかけになった「誰もいないsea」と、"YONA YONA WEEKENDERSの始まりの曲です"と磯野くんが紹介した「明るい未来」という、これまでずっと大事にしてきた2曲をさらに披露。最後に"来年はもっとでかいステージに連れていけるバンドになりたい!"(磯野くん)と新たな目標を宣言したのだった。
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