Japanese
9mm Parabellum Bullet "カオスの百年 vol.10" 1日目
Skream! マガジン 2014年10月号掲載
2014.09.07 @TSUTAYA O-EAST
Writer 石角 友香
毎年"9mmの日"である9月9日に開催されてきた"カオスの百年"。振り返ると共演者を迎えるのはVol.7でSOIL&"PIMP" SESSIONSとBOOM BOOM SATELLITESが出演して以来だ。しかも今年は3バンド×3日間で9!という徹底ぶり。しかも初日のWiennersや2日目のKEYTALKという今まであまり繋がりのなかった面々には若干意表を突かれたが、それも含めてバンドとオーディエンス、加えて9mmの恒例イベントのムードが年ごとにどう更新されていくのか?にも興味が尽きない。
会場であるTSUTAYA O-EASTの会場内には、過去に使用されたバックドロップやライヴ写真なども展示され、10年の軌跡をファン自身の体験と重ねて楽しめる趣向もあって、アニバーサリー・イヤーをさらに盛り上げる。そんな"カオスの百年 vol.10"初日を駆け足でレポートしよう。
一番手はこの日がMAX(Vo/Key/Sampler)とマナブシティ(Dr)脱退前ラストのステージとなるWienners。そのことを知るファンも知らないオーディエンスにも垣根なく大きな歓声で迎えられた4人は、いつも以上に冒頭から「DIAMOND DUST」「天地創造」とアッパーなナンバーで飛ばす飛ばす。前方の一部ではモッシュも起こり、彼らの"エクストリームすぎるポップ"にダイレクトなリアクションが起こる。MAXのテクノ・ポップめいたシンセが印象的なイントロ、∴560∵(Ba)のファンクネスあふれるチョッパーが懐かし新しい「南無阿弥陀仏のリズムに乗って」は、無二のWiennersワールドの現在進行形を伝えて余りある。とにかく過剰だ。そしてサイケデリックでディスコでロックな玉屋2060%(Vo/Gt)のギタリストとしての達者っぷりも十分堪能。中盤、このメンバーでのラスト・ライヴであることを告げた玉屋の意外なほどの清々しさは、彼の中に全然尽きないヴィジョンが溢れていることを証明していたんじゃないだろうか。腰のあるビートと予定不調和なアレンジはライヴで視覚化されるとさらにスリリング。Wiennersが新たに発明した10年代のディスコ・チューン「蒼天ディライト」のラストまで、こんなに好き放題にオーディエンスを踊らせるバンドの貴重さを実感した。この日はやけにロック・スターに見えた玉屋を始め、メンバー全員、やりきった表情でステージを後にした。
どアタマからテンション・マックスのフロアに、あまりにもさり気なく登場したのはストレイテナー。ホリエアツシ(Gt/Vo/Key)がキーボードに向かい、静謐な「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」のイントロを弾き始めると、先ほどまでと空気が一変する。曲の世界観でオーディエンスの心の色が変化したのが見てとれるほどの鮮やかさだ。曲中からホリエがギターに持ち替え、ギアが上がる空気も確実に伝播。いつも通り"俺たち、ストレイテナーっていいます"の一言からアンセミックな「Melodic Storm」が鳴らされると、完全に4人の世界が起ち上がる。中盤にはニュー・シングルから、マンチェ・ビートのアップデート版的な新曲「The World Record」、これまたグラマラスなR&Rと切れ味鋭いビートが交錯する「Super Magical Illusion」とニュー・モードが続く。だが、あらゆる音楽のエッジや美しさを血肉にしてきたストレイテナーは、新旧のレパートリーを今の演奏で同じ土俵にすぐ乗せることができるバンドだ。しかもこの日のテンションは静かな曲だろうが、踊れる曲だろうがすさまじい初期衝動に貫かれていた。ラスト前、ホリエが"9mmとは2006年、まだ彼らがインディーズの頃、イベントで一緒になって。すごい尖ってて近づけない雰囲気だったけど、知り合ったらすごい癒し系な人たちで"と、フロアの笑いを誘う。とはいえ、この日は9mmの恒例イベントを意識してキレッキレの選曲とスピード感で突っ走ったことも思わず告白。対バンと心身の化学反応を楽しみ、時にはムキになる先輩バンド、それがいかにもストレイテナーらしい。スピーディに曲をたたみかけ、ラストの「From Noon Till Dawn」ではメンバー全員、エモーションを全身で表現。人気バンドのハイテンションのアクトというより、そこで彼らが鳴らす音にフロアが反応し、バンドもまたそれに反応することで生まれた熱演に起こった拍手と歓声が清々しかった。
そしていよいよトリは当然の如く9mmの登場なのだが、転換時に運び込まれたかみじょうちひろ(Dr)の空母の如きドラム・セットのボリュームに、これから始まるライヴへの期待値が思わず高まってしまう。暗転とともにSEのATARI TEENAGE RIOTが流れる、とともにハコを揺るがす大歓声。爆音を鳴らすと同時に、なんと1曲目から「(teenage)Disaster」というレアな突入っぷり。距離が近いせいだけじゃないと思うのだが、滝 善充(Gt)と中村和彦(Ba)の暴れっぷりが凄まじい。シームレスに「Talking Machine」「Answer And Answer」と、すでに新旧関係なくライヴのビッグ・チューン(いや、9mmにライヴで映えない曲はほぼないのだが)になったレパートリーを連発すると、会場全体の温度がものの3分で上昇する。それでいておのおのの楽器の音の粒立ちも最高にいいのだから、五感を刺激されまくってステージとフロアのエネルギーが高まるのも納得。4曲目には早くも新曲「生命のワルツ」を披露。フォークロアなイメージすらあるイントロから、強烈な圧で押すリフと2ビート、その暴風のようなサウンドに乗る菅原卓郎(Vo/Gt)のナチュラルにすら感じるメロディが、9mmらしさの現在地を印象づける。これまでも貪欲に切実に、そして切なさも同時に抱えて"生きる"という矢印を示してきた彼らの楽曲の中でも、特に真摯なメッセージを持つこの曲。大げさに言えば生きる道標のような存在にさらに育っていく確信を持った。
中盤にはレアな「interceptor」「Battle March」という嬉しい2連発も。特に「Battle March」の1つの構造物の如きサウンドの強度や、アラビックな滝のフレージング、トライヴァルなビートのインスピレーションにはハッとさせられた。ほとんど息つく間もない展開に、フロアも曲間は次に走りだす覚悟をしているようなムードが漂う。そこに滝のエフェクティヴな音色が響き渡り、「カモメ」は放たれるのだが、卓郎のヴォーカルに重ねる滝のコーラスの美しさを再発見した。
この日の卓郎のMCは"明日、月曜日なのは申し訳ないね。3バンド×3日で3日目が9月9日だから仕方ないんだよ!"とか"Wiennersメンバー・チェンジ前のラスト・ライヴが今日になって申し訳ないけど、ストレイテナーはメンバー加入のスペシャリストだし、人生いろいろあるよ"とか、ファンもどうリアクションしたものか?というMC。だが、何かいいことを言おうなんて気がさらさらないのは、演奏を見ていても分かる。ただ、キレッキレの演奏とのギャップに自然と笑いがこみあげてしまった。
そんな一瞬をキャッチーなイントロでブチ上げる「どうにもとまらない」や「Black Market Blues」のサビではどでかいシング・アロングが沸き起こる。いやもうこの時点で相当濃厚かつアラカルトな選曲になっている。その後、さらにアクセルべた踏み状態に入ったバンドは「Living Dying Message」「Cold Edge」とキラー・チューンを叩きつけ、しかも冒頭で感じた以上に際立つ音の粒立ちに、メンバー自身が焚き付けられているような痛快この上ないプレイを続出させる。和彦のスクリームももはや轟音の一部となって、ラストの「Punishment」ではギター×2とベースのユニゾンの迫力でも魅了。重力に支配されてないかのような滝のギターとアクションは何度も見ているはずなのに、さらに自由で、溢れるままのフィードバック・ノイズをその場に残し、本編終了。"ライヴハウスで9mmのナンバーを一気に12曲見る"ことの物理的な速さと質量は、相変わらずこの上ない自由を堪能させてくれた。
共演バンドを迎えたことで3バンドとも初期衝動に満ちたライヴを展開したのは、やはりこれが"カオスの百年"だったからなんじゃないだろうか。一期一会の瞬間に賭けた全バンドに感謝したい。
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.12
-
大原櫻子
星野源
藤沢アユミ
FIVE NEW OLD
ASP
コレサワ
あれくん
ART-SCHOOL
SAKANAMON
女王蜂
LOCAL CONNECT
BLUE ENCOUNT
竹内アンナ
いゔどっと
PK shampoo
荒谷翔大
ACIDMAN
ズーカラデル
夜の本気ダンス × BRADIO × 8otto
チリヌルヲワカ
Homecomings
ブランデー戦記
[Alexandros]
鶴
SVEN(fox capture plan)
YUTORI-SEDAI
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
ADAM at
WtB
Eve
有村竜太朗
Dannie May
Bimi
MAPA
安藤裕子
蒼山幸子
古墳シスターズ
斉藤和義
原因は自分にある。
怒髪天
渡會将士
マオ(シド)
- 2025.07.13
-
星野源
あれくん
SVEN(fox capture plan)
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
TenTwenty
板歯目
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
FIVE NEW OLD
ASP
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
コレサワ
鶴
"HELLO INDIE 2025"
なきごと
ズーカラデル
UNCHAIN
ART-SCHOOL
有村竜太朗
アルコサイト
[Alexandros]
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
チリヌルヲワカ
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
Homecomings
ADAM at
ブランデー戦記
Eve
神はサイコロを振らない
荒谷翔大
すてばち
カミナリグモ
FUNNY THINK
ぜんぶ君のせいだ。
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
reGretGirl
斉藤和義
原因は自分にある。
トラケミスト
- 2025.07.14
-
Mirror,Mirror
- 2025.07.15
-
有村竜太朗
板歯目
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
[Alexandros]
Mirror,Mirror
TENDOUJI × 浪漫革命
SCOOBIE DO
キミノオルフェ
羊文学
Saucy Dog
Ivy to Fraudulent Game
- 2025.07.16
-
有村竜太朗
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
GLIM SPANKY
BIGMAMA × Dannie May
坂本慎太郎
Base Ball Bear × PEDRO
SHE'S × ヨイズ
TenTwenty
Saucy Dog
- 2025.07.18
-
斉藤和義
YOASOBI
フレンズ
[Alexandros]
SVEN(fox capture plan)
板歯目
東京スカパラダイスオーケストラ
ExWHYZ
GLIM SPANKY
the paddles
キュウソネコカミ
NEK! × komsume
KiSS KiSS
Organic Call
SIRUP
ぜんぶ君のせいだ。
SAKANAMON
ヤングスキニー
ACIDMAN
Laughing Hick
TENDOUJI
cinema staff × eastern youth
- 2025.07.19
-
豆柴の大群
浅井健一
フレンズ
"NUMBER SHOT2025"
コレサワ
YOASOBI
PIGGS
鶴
東京スカパラダイスオーケストラ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Novelbright
"JOIN ALIVE 2025"
shallm
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
キノコホテル
UNCHAIN
竹内アンナ
め組
"焼來肉ロックフェス2025"
SPECIAL OTHERS
ExWHYZ
LOCAL CONNECT
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
ぜんぶ君のせいだ。
いきものがかり
新しい学校のリーダーズ
"DAIENKAI 2025"
チリヌルヲワカ
片平里菜
PENGUIN RESEARCH
荒谷翔大
Nothing's Carved In Stone
マオ(シド)
- 2025.07.20
-
神はサイコロを振らない
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
[Alexandros]
ビッケブランカ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
"JOIN ALIVE 2025"
さめざめ
キノコホテル
HY
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
崎山蒼志 / NakamuraEmi / ズーカラデル / TENDRE ほか
GRAPEVINE
"焼來肉ロックフェス2025"
清 竜人25
PK shampoo
"DAIENKAI 2025"
LOCAL CONNECT
ROF-MAO
いきものがかり
GARNiDELiA
ブランデー戦記
- 2025.07.21
-
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
PK shampoo
LOCAL CONNECT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASP
鶴
TENDOUJI
jizue
め組
HY
PIGGS
小山田壮平 / 奇妙礼太郎 / 安部勇磨(Band set) ほか
ぜんぶ君のせいだ。
アーバンギャルド
LACCO TOWER
GOOD ON THE REEL
いゔどっと
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Homecomings
SpecialThanks / レイラ / GOOD4NOTHING / THE FOREVER YOUNG ほか
アカシック
PENGUIN RESEARCH
- 2025.07.22
-
Hump Back
the telephones
- 2025.07.23
-
東京スカパラダイスオーケストラ
板歯目
フラワーカンパニーズ×アイボリーズ
9mm Parabellum Bullet
女王蜂
- 2025.07.24
-
水平線
板歯目
bokula.
ビレッジマンズストア
竹内アンナ
the paddles
- 2025.07.25
-
四星球
マカロニえんぴつ
セックスマシーン!!
東京スカパラダイスオーケストラ
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
キュウソネコカミ
FIVE NEW OLD
有村竜太朗
Ivy to Fraudulent Game
のうじょうりえ
輪廻
RAY
らそんぶる
UNCHAIN
ゴキゲン帝国
miida
bokula.
感覚ピエロ
RELEASE INFO
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
- 2025.07.23
- 2025.07.25
- 2025.07.29
- 2025.07.30
- 2025.07.31
- 2025.08.01
- 2025.08.06
- 2025.08.08
- 2025.08.13
- 2025.08.15
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Organic Call
Skream! 2025年07月号