Japanese
9mm Parabellum Bullet "カオスの百年 vol.10" 3日目
Skream! マガジン 2014年10月号掲載
2014.09.09 @TSUTAYA O-EAST
Writer 山口 智男
9mm Parabellum Bullet(以下9mm)が開催しているライヴ・イベント"カオスの百年"。今年は10周年ということで、9月7日、8日、9日の3日間、各日ゲストを2組ずつ招き、3マン・ライヴでの開催となった。
今年"カオスの百年"を盛り上げたストレイテナー、Wienners、KEYTALK、TOTALFAT、10-FEET、ACIDMAN、そして9mmを加えた計7バンドの顔ぶれは、"俺は図々しいから先輩も同じ仲間だと思っている"とこの日、9mmの菅原卓郎(Vo/Gt)が言ったとおり、世代や音楽性は違えど、オルタナティヴな感性がついにメインストリームのものになった現在のロック・シーンを第一線でリードしているバンドが顔を揃えたという意味でも、とても見ごたえあるイベントになったと思うが、筆者が足を運んだ9日もトップバッターの10-FEETが1曲目の「STONE COLD BREAK」から"どんなカオスを見せてくれるんだよ!?"(TAKUMA Vo/Gt)と雄叫びをあげ、ぱんぱんになったスタンディングの客席を盛りあげていった。
「RIVER」「JUNGLES」「super stomper」......メロコアの疾走感とミクスチャーならではのカオスとヘヴィネスを味わわせるキラー・チューンを立てつづけに演奏したセットリストからも彼らがどんな想いで、この日のステージに挑んだかがわかるだろう。演奏中の反応のみならず、曲間のコミカルなコール&レスポンスに熱心に応える観客にTAKUMAも多いに刺激されたようだ。"(おまえら、今日はまだ)平日やぞ。すごい火曜日にしような!"と呼びかけてからの後半はより一層、演奏にも力が入った。そして、バンドの熱演によって、火をつけられた客席をさらに煽るように"かかってこい!"と「その向こうへ」「goes on」をお見舞いすると、観客はモッシュ&クラウド・サーフィンでその熱演に見事、応えたのだった。
10-FEETが作り出した熱気を受け取るようにいきなりアッパーな「造花が笑う」でクラウド・サーフィンを誘う盛り上がりを作り出したACIDMANはその後、ダンス・ビートを巧みに使った「ストロマトライト」、エフェクティヴなサウンドで壮大な世界を演出してみせた「アルケミスト」といった、じっくりと聴かせる曲も交えながら、あえてこの日の共演2バンドとは違うやりかたで、自分たちの個性をアピールしていった。
"もうちょっと盛り上がりたいね"と大木伸夫(Vo/Gt)が客席に語りかけ、7月にシングルとしてリリースしたエネルギッシュなロック・ナンバー「Stay in my hand」を披露して、終盤の流れにハズみをつけたあと、ラスト・ナンバーに「ALMA」を持ってきたところにバンドの矜持が窺えた。エモーショナルかつ(曲が持つ生命力と言う意味で)パワフルなバラードをじっくりと歌い上げ、ACIDMANは最後の最後に深い感動をそこにいる全員の胸に落とし込んだ。
そして、今夜の主役である9mmは1曲目の「Punishment」からオーディエンスの盛り上がりを誘い、主役にふさわしい熱狂をあっという間に作り出していった。前半、早くも披露した、歪ませたギターが唸る最新の配信シングル「生命のワルツ」やMETALLICAの「Motorbreath」のカバーを交えながら(この3日間、毎日1曲ずつカバーをやっていたそうだ)、モダンかつカオティックなメタル・サウンドと歌謡曲風にもヨーロッパの民謡風にも聴こえる哀愁メロディの合わせ技とも言える9mmサウンドを、ステージの上を転げまわることも躊躇しない激しいアクションとともにたっぷりと楽しませた。
"みんな、ぶっとばしてんな。俺らの兄貴たち(10-FEET、ACIDMAN)に可愛がってもらってようだな(笑)"
大盛り上がりの客席に菅原も大満足。
"夢を見させることは、かっこいいバンドならできる。でも、夢を見させるだけじゃダメ。夢から覚めたときに元気が出て帰っていけるようにする。10年かかって、それがまあまあできるようになってきたんじゃないかな"と、結成からこれまでの10年を振り返ると、"これからもよろしくお願いします!"と、さらなる前進を誓った。そして、高速スカ・ビートがラスト・スパートをかける合図代わりだと言わんばかりに「ハートに火をつけて」で観客を狂喜させると、そこから本編ラストの「(teenage) Disaster」まで一気に駆けぬけていった。
最高と言える状態でバンドが結成10周年を迎えたことを誰もが確信したに違いない。9mmは9月27日の札幌公演を皮切りに"Next Bullet Marks Tour 2014"と題した新たなツアーをスタートさせる。
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