Japanese
9mm Parabellum Bullet
Skream! マガジン 2020年08月号掲載
2020.06.30 @新代田FEVER
Writer 石角 友香 Photo by 西槇太一
ライヴが終わっても、本編で約6,000人いたオーディエンスの半数がアンコールを続けていて、去らない。隣に汗だくの誰かがいるわけでも、お馴染みGIPSY KINGSの「A Mi Manera (My Way)」が流れているわけでもないのに、まるでライヴハウスで見る9mm(9mm Parabellum Bullet)のあの感じ。それは彼らがオンライン・ライヴならではの趣向をあえて凝らさず、普段通りにステージに立ち、リアルタイム配信のみ、アーカイヴも残さない手法を取ったこととも関係しているんじゃないだろうか。9mmは9mmのライヴをやった。それが答えだ。
ライヴがスタートする前からSuper Chatは"いけるかーー!"、"ドキドキしてきた"、"部屋だからこそできるモッシュをかます"というコメントや、999円が圧倒的に多い投げ銭(中には9,999円という大盤振る舞いも)で賑わい、視聴者数も見る見る増えていく。個人的にはそう遠くない新代田FEVERでライヴが始まると思うとソワソワするし、あのキャパシティで鳴らされる9mmのサウンドに触れたい気持ちが満ちてくる。
映像がステージに切り替わるとメンバーは定位置についていて、青いライトに滲む菅原卓郎(Vo/Gt)にピントが合うと"9mm Parabellum Bulletです!"の第一声。HEREの武田将幸(Gt)を加えた5人編成で、1曲目は意表を突く「Psychopolis」でスタートした。7ヶ月ぶりのライヴで何が目と耳に入ってくるかというと滝 善充(Gt)の調子の良さ。全員の楽器の音が明瞭に聴こえるなかでも、滝のリフの切れ味が鼓膜を揺さぶる。さらに、「ハートに火をつけて」では表現力を増し続ける菅原のヴォーカル、これは配信ならではのメリットでもあるが、中村和彦(Ba)のフレーズの細部もよく聴こえた。複雑怪奇なアレンジをさらっとやってのける感じ――これぞ9mm。畳み掛けるように「インフェルノ」まで突っ走る。リアル・ライヴにあって今ここにないのはあの圧倒的な重力だけだ。
菅原が"7ヶ月ぶりのロック・バンドの演奏で非常に興奮しております"と、わざわざ言葉にした歓喜。曲紹介もいつも通りストーリー性を持たせて、"東京は今日、生憎雨だったんですが、俺たちが欲しいものはひとつなんで。行けますか?"と「太陽が欲しいだけ」に突入する。近年さらに包容力を増す菅原の歌詞表現の中でも、"瞳の奥にある太陽"を信じてくれている実感を持てるこの曲でまず感極まってしまった。"さあ両手を広げて"のフレーズではチャットが挙手の絵文字で埋まる。オンライン・ライヴでここまで見えない人間の心が感じられたのは初めてかもしれない。また、オンラインならではのメリットとして、「Talking Machine」では、中村のベース・ラインがこれほどダンサブルだったことを改めて認識。発見も多い。滝が完全体に見えることもそうだが、全員が他のどんなミュージシャンにも似ていない、各々の個性をさらに磨いていることにも瞠目。やはりストイックなバンドなのだと思う。
中盤には昨年末のライヴでのアクシデントから派生し、新曲として完成したインスト曲「Calm Down」を含むシングル(『白夜の日々』)と18組が参加した初のトリビュート・アルバム(『CHAOSMOLOGY』)を9月9日にリリースすることをアナウンス。そのシングルの中からインスト曲「Calm Down」をメンバー4人で披露した。静謐なギターやベースの音色やフレージングと、スロー・テンポでありつつマス・ロック的なリズムが映像喚起力抜群で、徐々に轟音へ変化していく展開は天変地異のようだ。フル・セットにインストが配置されたライヴもぜひ観たい。
後半はサポートをfolcaの爲川裕也(Gt)にバトンタッチしての5人編成。彼の得意とするニュアンスでもある、3拍子且つギター・オーケストレーション的な「ホワイトアウト」。FEVERのキャパシティで観たらきっと身体ごと吹っ飛ばされそうな圧力を、イヤホン越しでも感じる。そして、ライヴができない期間の中でも力を発揮してくれた近作『DEEP BLUE』の中の1曲と菅原が言っただけでピンときたファンの多さにも驚いたが、その今輝くナンバー「名もなきヒーロー」は、思わず歌ってしまうほどたしかに今、自分自身に掛けたい言葉ばかりだった。特に、"正しい答えじゃなくたって/間違いだとは限らないんだろ"というフレーズは、現実的に生きるためにこれまでの常識を更新していかなくてはならない今、必要な優しさと強さだ。コメントにはパンチラインである"生きのびて会いましょう"がすごい速度で連なる。
続く「Everyone is fighting on this stage of lonely」も、文字通りたった独りでも戦えと歌う。楽曲が、モニター越しに存在している6,000人と共に息をしている。そんな場面だった。
誰のためでもなく、自分の信念のために生きる。しかも実際に走ったり、過酷な環境に身を置いていたりするような擬似体験を伴ってサヴァイヴする。これこそ9mm Parabellum Bulletというバンドのダイナミズムだ。何度も何度も演奏されてきた「Black Market Blues」を今の演奏で聴ける喜び。しかも、かみじょうちひろ(Dr)のスティックが折れ、それでも、ポーカーフェイスは保ったままだ。カメラワークやスイッチングは正統的なものだが、ファンが観たい場面をしっかり押さえてくれる。あまり意識していなかったが、ライヴ・バンドならではのチームワークのなせる技だろう。ラストはシンプルなギター・バンドを思わせるギターのイントロから4カウントを経て、今また象徴的な響きで響く「新しい光」。完全にスイッチが入った滝は高速カッティングをしながら、重力を感じさせない動きで完全復活を印象づける。シールドが抜け、マイク・スタンドを倒す滝なんてどれぐらいぶりに見ただろう。そして、それ以上にこの演奏が7ヶ月ぶりのバンドのそれなのか? という驚愕。泣き笑いの1時間はリアルでのライヴへの渇望を焚きつけると同時に、どんなシチュエーションでも彼ら自身のスタンスの不変も示していた。配信とはいえ、この場を去り難いわけはそれだったのだ。
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