Japanese
9mm Parabellum Bullet
2014年07月号掲載
Member:菅原卓郎 (Vo/Gt) かみじょうちひろ (Dr)
Interviewer:石角 友香
9mm Parabellum Bullet初のベスト・アルバム『Greatest Hits』の選曲を初めて目にした時、その潔さに痛快な気分になった。メジャー・デビュー前夜から最新作まで全シングルとEPの表題曲をコンパイル。つまりド直球。しかし実際に時系列で聴くと、当初からテクニカルでエクストリームだったこのバンドが未だ変化し続けていることが一聴瞭然。そのこともまた痛快だ。加えて初回限定盤(10周年盤)にはライヴ・テイク・ベストとも言える20曲との2枚組。むしろ2枚組をデフォルトにしてほしいほど、こちらもバンドとシーン10年の象徴的な出来事が刻み込まれている。もしあなたが9mmの全タイトルを持っているとしても、ここには新たな意味がある。その理由を菅原卓郎とかみじょうちひろに聞いた。
-バンド結成した頃にベスト・アルバムをイメージできました?
菅原:いや、全然。去年の9周年ぐらいまでは考えなかったですね。9周年でベスト・アルバムを出すのか、10周年で出すのか?みたいな、その辺りで考えだしたくらいですかね。
-他のバンドを見ててベスト・アルバムとはどういうもんだなと思ったりしてましたか?
菅原:いや?特にどうとも。俺たちのベスト・アルバムは"シングルス"みたいな『Greatest Hits』ってタイトルになってるんですけど。自分たちが好きなバンドに子供の頃に出会ったときはベスト・アルバムで出会ったことが多かったなというのもあるし。THE YELLOW MONKEYとかLUNA SEAとか、あと、素晴らしいベスト・アルバムって言ったらBLANKEY(JET CITY)の「THE SIX」とかね、「国境線上の蟻」とかね、あとthe pillowsの「Fool on the planet」とか。もうサザンオールスターズとかB'zとか言うまでもないしね。
かみじょう:どんだけ出してるんだっていうね?BOØWYとか。
菅原:だからそういうものに何の不満があったっけな、俺は?と思ったら、別に凝りに凝ったベスト・アルバムではなかった。これから出会う人たちが"9mmってどういうバンドなんだ?"っていうときに1番俺たちのことをさかのぼりやすいのは、こういうシンプルなものなのかな?っていう感じですね。
-かみじょうさんも菅原さんと同じ視点ですか?
かみじょう:まぁエントリー・ディスクにはなり得るものだと思います。って言うと音楽性的にポピュラーな感じが入りやすいと思うので、そう考えると普通にシングル曲が集まりますよね。これを機にこういう大衆性を帯びた系だけじゃなくて、アルバムの方向に来てくれて、こういう世界観もあるんだって楽しんでくれるようになるのは美しいじゃないですか?だとしたらこれはたぶん正しい形なんだと思います。
菅原:みんなで打ち合わせして頭を抱えてたんですけど、あるとき滝(善充、Gt)が"こういうシンプルなやつがいいよ"って。俺がまさにさっき言ったようなことを滝がみんなに話してくれて"ああ、そうだな"って。初めから2枚組でベストにしようぜっていうアイデアで進んでたんで、じゃあこっち(ライヴ・ベスト『Selected Bullet Marks』)はもう思い切り、より9mmらしいものにしようってふうに、バランスが取りやすくなった。それがすごくいいなと思って。
-これ絶対初回限定盤買うべきですよね。ということで、こういうド直球な選曲になった理由は120%ぐらいわかったんですけど。これ別にリマスタリングとかしてないんですよね?
菅原:いや、してます。
-Track.1の「The World」を聴いて、すごく素朴だと思いました。
菅原:なんかこう改めて自分で聴いたら"いい曲だな"っていう。ま、そういう素朴さはありましたけど。
-意外と時系列だなと思いましたね。
菅原:そうですね、時系列感、まあ、当たり前なんだけど、時系列に並んでんだもん(笑)。
かみじょう:年を追うごとに表現も変わってきて。リマスタリングであまりにも下駄履かせすぎると美しくないので。
菅原:うん。すごくいい状態になってると思います。再録とか新録とかね、一応、アイデアとしては出たんだけど、それはむしろ歴史と切り離しちゃうことになっちゃうから、今回はやめようって。
-これ聴いて、先日の日本武道館の映像とか見ると、どれだけ9mmの楽曲にもともと伸びしろがあるのか?っていうのがすごくわかるんじゃないかと。
かみじょう:その感覚だと、こいつ(『Greatest Hits』収録の初期曲)すげえカマトトぶってますよね。
菅原:ああ、この時点ではね?ウズウズしてんじゃない?
かみじょう:下ネタわかんないみたいなツラしてますけど(笑)。
菅原:なんかどんどん昔の曲を演奏しなくなっちゃうっていうバンドもいると思うし、それは全然、自然なことだとは思うんだけど、割と9mmはいつでもどの時代の曲もやっちゃうっていう。こないだの武道館なんか特にそうですけど。ちょっと眠りに入ってる曲とか、そんなにいないから。うん。そういう点でも伸ばし続けてこれたのかな?と思います。
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前作から約3年ぶり、9作目となるフル・アルバム。ヘヴィなサウンドでガツンと攻める「Hourglass」に始まり、お祭り感のある「One More Time」に続いて、疾走感と爽やかなメロディに彩られた「All We Need Is Summer Day」と、アルバム冒頭からグイグイ引き込むキラー・チューンで畳み掛ける。9mm独特の、歌謡曲的な響きと和のテイスト、そして緊張感がバシバシ伝わる重厚なバンド・アンサンブルがきれいに交わって、アルバム全体で体感10分弱。THE ALFEEもビックリな暑苦しいメロディとコテコテのメタル、そこにオリエンタルなリフ、激しく手数の多いドラムと、情報量がとにかく多い。多様な活動や音楽表現に挑んできた彼らだからこそできた、説得力のあるアルバム。(山本 真由)
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9mmの音楽的探求と遊び心、そして涙しながら拳を突き上げたくなる自分なりの正義への肯定感が、すべてアップデートされた8thアルバム。滝 善充のギター・サウンドの新機軸は、「Beautiful Dreamer」のイントロで聴けるストリングスのような響き、複数曲で聴けるオルガンを思わせる新たなエフェクトや奏法だ。「名もなきヒーロー」のアンセム感、クランチなリフの塊感がライヴでの期待値を上げる「21g」、アコースティック・ギターとガット・ギターで編まれた「夏が続くから」、ジリジリと迫る恐怖感を伴う「Ice Cream」もあれば、9mm流ウェディング・ソングとも取れる「いつまでも」、ここから続くバンド・ストーリーを想起させる新録の「Carry On」など、全方位に開かれた12曲を収録。(石角 友香)
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結成15周年イヤーに放つシングルは、鍛え上げられたアンサンブルで疾走しつつ、マインドは温かでタフな9mm流の応援歌。滝 善充のギターを始め、シグネチャー・サウンドと言える音色がメンバーの人間性も表すが、カオティックなまでの超絶技巧や度肝を抜くフレーズはいったん横に置き、山あり谷ありのバンド・ヒストリーとファンの人生を繋ぐような、菅原卓郎(Vo/Gt)の飾らない歌詞がストレートに届く仕上がりに。"守りたいものにいつも/守られているんだね"という一節は特に心に響く。Track.2はZepp Sapporoで開催した"カオスの百年TOUR 2018"振替公演のライヴ音源を丸ごと収録。ここにも生きて再会するというバンドとファン、人間同士のリアルなストーリーが込められている。(石角 友香)
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"オルタナティヴ歌謡"を明確に標榜した、9mm Parabellum Bullet 菅原卓郎(Vo/Gt)のソロ・プロジェクト。デビュー時のプロデューサーであるいしわたり淳治が全作詞、滝 善充(9mm Parabellum Bullet/Gt)が全作曲を手掛けたという、期待を裏切らない菅原のための世界観が構築されている。中でも、往年のジャパニーズAOR風の表題曲は歌謡曲フレーバーとファンキーさが新鮮。また、全6曲のうち、道を踏み外しそうな危険な恋の歌半分、ピュアゆえに傷つきがちな恋の歌半分、男目線4、女目線2という歌詞の割り振りも絶妙。しかも滝印のギターも聴けるという、真剣な遊びが満載。玉置浩二や中田裕二の艶やかな色気とはまた違う、硬質で澄んだ色気とでも言うべき独自の存在感を放っている。(石角 友香)
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腕と指のリハビリ中の滝 善充(Gt)だが、表現欲求がアルバムに120パーセント投影されたのか? あるいは冷静にコンセプチュアルなアルバムを目指した結果、"滝 善充"が音像化したのかはわからないが、本作は全作曲からアレンジ、プロデュースまでほぼすべて滝が手掛け、菅原卓郎(Vo/Gt)が全作詞を手掛けている。全編、滝らしいクラシックのシンフォニーを思わせる荘厳なアンサンブルがバンド・サウンドに変換されていて、速弾き、タッピング、ギター・シンセ、クランチで高速なコード・カッティングなどが、9mm流のシンフォニーの軸にあり、もちろん各楽器も畳み掛けるようにアンサンブルを紡ぐ。旧約聖書のバベルの塔の神話は、神に逆らう人間が空に向けて塔を築いて破壊されるが、この作品は運命に逆らって生きる苦悩と歓びのプロセスを音像で表現しているような強度がある。(石角 友香)
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CMにしろ主題歌にしろ、タイアップというものは"お題"だと思っている。バンドやアーティストがそのテーマにどう応えるか。その枠組みの中で自分らしさをどう見せるか。そういう意味では今回の新曲は豪速球を真っ向から振りにいって全力で打ち返したような1曲。9mm Parabellum BulletとTVアニメ"ベルセルク"の世界観のハマりっぷりもさることながら、90秒一本勝負の曲展開もアニメ主題歌というフォーマットならではのもの。ただ単に尺が短いだけじゃなく、そこに様々な要素を詰め込み、急加速と急旋回がフックになっている。自ら発足した"劇団ナイアガラ"での活動も含め、アニメやボカロにもフィールドを広げる滝善充(Gt)の進化系を示す1曲でもある。 (柴 那典)
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3年待たされただけあって、3年ツアーができるほどバラエティに富み、強度もとてつもないアルバムが到着した。クアトロA-Sideシングルで明らかになった中村和彦の疾走感のある8ビートや、案外これまで形にしてこなかったギター・ロック・バンドの表現を前面に出した楽曲、ジャズから民話的な世界観まで意表を突きまくるかみじょうちひろの楽曲。しかも全員が曲を書くことプラス、4人が演奏者、アレンジャーとしてさらにイメージを高解像度で実現できる"音楽家としての筋トレ"みたいなものも実感。それは引き算した楽曲でも効果を上げている。9mmの音楽は人知れず決意や覚悟を促してくれるが、その"スイッチ=新曲"が10曲以上も増えたこの心強さ。もちろん滝の"らしい"楽曲、卓郎のリリシズムもさらに極まった。(石角 友香)
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9mmの日(9月9日)に今年はニュー・シングル、それもメンバ--四者四様のキャラが出た"クアトロA面シングル"という意思表明をする9mm。滝独特のエフェクティヴなフレーズが血を沸き立たせる「反逆のマーチ」。菅原による歌詞の潔さにも震える。そう、"愛でも勇気でも思い出させて"くれるのはやっぱり9mmだ。そして驚くほどストレートで速い8ビート「ダークホース」に見る、中村のロック・バンドの理想像。そして菅原作曲の「誰も知らない」は、こんな時代の信頼できる等身大のヒーロー像が「反逆のマーチ」だとしたら、その人間にも矛盾する内面があると告げる。そしてダークな世界観と跳ねるリズムが特徴的なかみじょうの「Mad Pierrot」の構成力。全体に音圧よりアンサンブルで聴かせるのも今の彼らの地力だろう。(石角 友香)
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すでに配信リリースされ、地上波の音楽番組でもプレイされ、もちろんツアーでも重要な位置を占める曲になった「生命のワルツ」。哀感に満ちたアコギのクラシカルなイントロで素の気持ちに導きつつ、新たな扉が開くように鋭いビートとリフが切り込んでくる瞬間の血が沸き立つ感じ。3拍子の大きなグルーヴを感じつつ、物理的には8分の6拍子のリズムそのものがシンフォニックな印象を与えるという、スラッシュ・メタルでありつつ、まったく違うジャンル感も同時に聴こえる独自性はリピートして聴く楽しさに満ちている。すべての楽器がパーカッシヴな「オマツリサワギニ」、滝のエフェクティヴなフレーズが不穏さを掻き立てる「EQ」と3曲のバランスも最強。完全生産限定Special Editionには"カオスの百年 vol.10"のライヴ映像も付属。(石角 友香)
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結成10周年記念、9mm Parabellum Bullet初のベスト・アルバム。Track.1「The World」の音像の、ある種の素朴さに驚くが、これは彼らが初期楽曲をライヴで演奏し、進化し続けていることの証明でもある。シングルとEPの表題をコンパイルしているだけに彼らの音楽に通底する"何かを変えたい""まだ気づいていない感情への刺激"の最も研ぎ澄まされ、キャッチーな部分が凝縮されている。そしてそのことに誇りを持っているバンドならではの堂々としたベスト・アルバムだ。そして実はこのバンドの本質を知るには初回限定生産盤(10周年盤)のみに付属するライヴ・テイク・ベスト『Selected Bullet Marks』。初ワンマンでのドシャメシャなカオスから2014年の日本武道館2daysまで、選びに選んだ20曲。バンドとオーディエンスが生み出す(大げさに言えば)生命力の底力に細胞が震える。(石角 友香)
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9mmも今年結成9周年である。彼らが、その爆発的なエモーションと卓越した演奏力を持ってシーンに登場した時の衝撃は記憶に新しいが、何よりも素晴らしいのは、9mm自身はそうした状況に留まらず、この数年間、ずっと自らの音楽を進化させ続けてきていることだ。このシングルにおいても、表題曲「Answer And Answer」は破壊力満点のサウンドと叙情的な歌謡メロディが融合した9mm節爆発のキラー・チューン、続く「Snow Plants」は歌を聴かせるリリカルなミディアム・バラード、最後の「Mr.Brainbuster」は1分少々だが存在感ありまくりのインスト・ハードコアと、自分たちの持ち前の魅力と飽くなき挑戦心を体現した3曲が並んでいる。このセンスとストイックさは、この国のシーンになくてはならないものだ。(天野 史彬)
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来年バンド結成9周年を迎える9mm Parabellum Bulletが、既にライヴでも披露している「ハートに火をつけて」を表題曲にした4曲入りシングルをドロップ。やわらかさと鋭さを兼ね揃える1分40分のラヴ・ソング「Scream For The Future」、カー・レースをモチーフにした歌詞とスリリングなアレンジが際立つ「R.I.N.O.」、メタル要素のある高速ドラムやギターが炸裂する「ラストラウンド」と、極限まで研ぎ澄まされた攻撃的なナンバーが揃う同作だが、特に際立つのは「ハートに火をつけて」。昭和歌謡風の哀愁漂うメロディが醸し出す魅惑のムードと、スカのリズムが絡み合い、菅原卓郎の歌に艶をさす。アニヴァーサリー・イヤーを控えるバンドの、最新型の熱情を感じることが出来る作品だ。(沖 さやこ)
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錚々たるメンバーが集結し、くるりの名曲をカヴァーした鶏びゅ~と・アルバム。それぞれが趣向をこらしたカヴァーを披露しているが、その中でも別次元の名演を披露しているのが松任谷由実「春風」。いっそのこと、シングル・カットしたらいいのに。トラディショナルなメロディ解釈が新鮮なハンバート・ハンバート「虹」も素晴らしい。9mm Parabellum Bullet の「青い空」は、原曲を知らなければ彼らのオリジナルだと言われても納得してしまいそうな出来映えだし、Andymori「 ロックンロール」もカッコイイ。曽我部恵一「さよならストレンジャー」の渋いフォーク・カヴァーも流石の味わい。あと、「言葉はさんかく こころは四角」での木村カエラの素朴な歌声が好きです。(佐々木 健治)
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2022.10.02 @Zepp Haneda(TOKYO)
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