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INTERVIEW

Japanese

9mm Parabellum Bullet

2014年07月号掲載

9mm Parabellum Bullet

Member:菅原卓郎 (Vo/Gt) かみじょうちひろ (Dr)

Interviewer:石角 友香

-たしかに。おふたりにとって『Greatest Hits』の11曲の中からターニング・ポイントになった楽曲とその理由を教えていただけますか。

菅原:そうですね、「Black Market Blues」がやっぱり作詞とか、歌の面で、ひとつ自分で"ああ、こうやって作っていけばいいんだ"ってことを感じれた曲だったんで。この中で言ったら、そこがひとつのターニング・ポイントです。

-作るっていうのは詞の物語性みたいな意味ですか?

菅原:いや、もう単純にテクニックっていうか方法論というか、そういう点ですね。それまでは行き当たりばったりでなんとかこう作ってきたんだけど、「Black Market〜」の時点で"あ、ここを頂上にしておけばいいんだ"っていうか。そういうのが見えて、そこに向かって登っていけばいいんだっていうのを1つ見つけたというか、体感したというか。"あ、このやり方で頂上まで行けないんだ"っていう時は別のやり方でやればいいとか、1つの基準ができたっていうことですね。

--かみじょうさんはいかがですか?

かみじょう:まぁいろいろありますけど、やっぱ「カモメ」はでかいでしょう。たぶん世間が思う9mmの曲って銃撃戦見てるようなイメージがあると思いますけど、これは完全に......なんつうのかな、バラード的なほうに振り切ってるので。もともとうちのバンドは曲が持ってる表現の幅は広いとは思ってますけど、これは作った本人の滝も言ってましたけど、"9mmらしからぬことやったけどかっこよくない?"みたいな感じですね。

-でも荒涼感とか孤高ってものがひとつ9mmのイメージとしてあるとしたら、ひとつの表現ですね、この曲は。

かみじょう:そうです。奇しくもこれ、震災の頃にこの曲を録ってました......。

菅原:2月ぐらいに俺たちずっとアルバムを録ってて、完成する前に震災があったんだよね。「カモメ」は全部録ってたんだけど。

-じゃあそういう2011年春頃の精神状態が影響していたり?

かみじょう:互いにするかしないかぐらいだったんですけど、こういった曲を作ったから(4thアルバム)Movement』のあとに出た(5thアルバム)『Dawning』の中に「コスモス」っていうバラードみたいな曲があるんですけど、そういうのにはすごい影響してますね。ああいった閉塞感があるような日本の状況の時に、メタルとかおどろおどろしい曲とか聴きたくない、聴かせたくないみたいな思いがメンバーから出てきて。そういう時でも聴ける曲を作ろうとか――話し合ったわけではないですけど。実際、滝が書いた曲に卓郎もそういう歌詞を乗っけたので。こういっちゃアレですけど、あの頃の経験があったから広がりましたね。

菅原:なんていうか"元気出していこうぜ"っていう感じじゃなくて、『Movement』の時のツアーで「カモメ」を演奏して思ったことなんですけど。なんか全然、ハッピーな曲じゃないんだけど、慰めを与えられるような曲だなぁと思って。それは全然、地震の前に完成してたんだけど。そういう曲が自分たちのバンドにできて、それを演奏してもまれたことがよかったなと。それはさっきかみじょうくんが言った「コスモス」っていう曲とか、次のアルバムはよりすごくエネルギッシュなものになったことに繋がってると思うんですよね。

-「カモメ」は意思の塊ですよね。下手したらその人は生きてないかもしれないけど、意思だけでも残ってるかもしれない、みたいな。

菅原:そういうふうにもとれますよね。

-探してる人も探されてる人もいる、なんか震災に直接繋がる言い方ですけど、そういう心情は確かに喚起される曲かなと。

菅原:なんか基本的にそういうことばっかりを考えているんだなっていうことですね。自分はホントに心動かされるようなポイントは、そういうところにあるんだろうなっていうか。単に人とか登場人物でって話しになってるけど、もっと喩えの領域でも感じられる、何かを当てはめても読み取れる話かなと。他の歌詞でもそこは同じなんですよね。元気な威勢のいい曲の歌詞でも。

-不思議なことに時系列で並べたベスト盤でもストーリーはできるんだなと思って。

菅原:それは自分でも思ったんですけど、よく考えたら時系列っていうもの自体がストーリーだから当然だよなっていう結論に落ち着きました。

-そしてこのライヴ・ベスト『Selected Bullet Marks』なんですが、これも笑ったり泣いたり忙しかったんですけど。

菅原:はい。正解ですね(笑)。