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INTERVIEW

Japanese

9mm Parabellum Bullet

2019年09月号掲載

9mm Parabellum Bullet

Member:菅原 卓郎(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

4ピース・バンドのひとりがフルにステージに立てないという状況も、音楽を作ることで超えてきた9mm Parabellum Bullet。前作『BABEL』では、滝 善充&菅原卓郎というソングライター・コンビで深化を見せた手腕を、バンド結成15周年のアニバーサリー・イヤーの新作『DEEP BLUE』では、バンドが培ってきた楽曲の多彩さという形で発揮した印象だ。音楽性のみならず、誠実さとエッジの立った部分を芯に持ったまま、表現力を高めてきたこのバンドに"DEEP BLUE"というワードは最高に似合う。グッとタフで優しさも増したこの新作について菅原に訊く。

-改めて『BABEL』(2017年リリースの7thアルバム)を今聴くと、その一貫性に驚きました。その後はさらにメンバー個々人の活動も増えて。この間はどういう時期だったと思いますか?

『BABEL』自体はすごくヘヴィで重苦しくて、自分たちのそのときの状況を反映してるものなんですけど、それをああやって形にすることで向き合いやすくなったところもあると思うんですよね。で、こんな統一感のある世界観のものを作ったあと、ちょっとやそっとの完成度じゃ、もう次の曲とかアルバムは作りたくないなというか、中途半端にしたくないなと思ってたので、自然に曲ができるのを待とうというふうにしてたんですけど。まぁ『BABEL』から『DEEP BLUE』までの間はキツネツキ(※菅原と滝 善充によるユニット)をやったりとか、僕のソロをやったりとか、9mm(9mm Parabellum Bullet)でサポートをふたり入れたスタイルでやるとか、いろいろ試したんですけど、全部が9mmに通じてて。それが自然と調子を取り戻すための活動になってたと思います。まぁ、俺のソロとキツネツキって、中は同じ人ですから(笑)。結局僕と滝がやってるっていう。ただ、そのアウトプットが違う方法であるっていうのはすごく大事で。『BABEL』で重苦しいものを作って、軽いものを作りたいっていう気持ちは、キツネツキでやったりソロでやったりして、"あ、なるほど、このぐらいでも僕らがやりたいことは表現できるな"って試していけたので、キツネツキやソロはすごくいい場所だったなと思います。

-今回の『DEEP BLUE』は9mmのおいしいところが全部入ってる印象があって、いい意味での幕内感がありました。

そうですね。インディーっぽい曲が入ってたり、メジャーでデビューして以降よくしているメタルもミックスされたものがあったり。それは僕らが意識して、METALLICAとかPANTERAみたいなバンドのザクザクしたギターが好きだから、ああいうサウンドでもっと自分たちに近いものが作れないかとか、ストロングなギターの音を作りたいとかやってたところもあるんですけど。「Getting Better」とかは、インディーの頃というか、ディスコ・パンクみたいなものとオルタナ/ハードコアなところが混ざったもので、それだけじゃなくて、9mmしか鳴らさないだろうなってスタンスの曲――「Beautiful Dreamer」とかもありますし、そういうとこが幕内感かなと思います。

-曲の多彩さで言うと『Movement』(2011年リリースの4thアルバム)に近い印象もあって。

あぁ、誰かが言ってたなぁ。(HEREの)武田(将幸)君だったかな(笑)。

-ファンクラブ名誉会長が言うならそうなのかも(笑)。9mmが歌い続けているテーマというか、例えば「新しい光」(『Movement』収録曲)の歌詞のような内容が、もっとタフになった印象で。何かを信じていられる、その信じることの根拠が年齢やキャリアを伴ってくるというか。

うん。そうですね。比べたら「新しい光」の頃は背伸びしてるというか、曲で歌ってるような気持ちを"信じてる"っていうより、それを"信じたい"っていう感じだったかもしれないんですけど、今は実感として、もうこれを信じるって言い切れるような気持ちになってます。それは15年活動してきて重ねてきたものがあるから。

-毎回わりとアンセミックな曲は収録されてて、「名もなきヒーロー」はシングルとして出てから少し時間は経ちましたが、内容に柔らかさがあるというか、時代性なんでしょうか。

自分たちを反映してるっていうほうが強いですね。時代はそんなに気にしないかな。まぁ、自然と織り込まれるだろうぐらいの気持ちですかね。ただ「Carry on」が一番古くて、去年の5月に配信シングルとして初めて聴いてもらったんで、当然その前にレコーディングしてるんですけど、歌ってる声とかバンドの音とかが、新しく録ってる音とはちょっと違ってて、「名もなきヒーロー」と「Carry on」は他の曲と全然違うんです。ただ「Carry on」にアルバムを締めてほしかったんで、最後の曲にしたんですけど、ギターの音を新しく録り直すとかして、ちょっと今の音に近づけて。

-そして今回も全曲滝(Gt)さんと菅原さんのコンビで作ったんですね。これは自然に?

そうですね。滝が今回もそういうふうにして完成度を高めたいっていうか、統一感を出したいっていうことだったから。『BABEL』で良かったのは、そこがひとつあるんで。ただ前回より、一緒にアレンジを考えることがさらに多かったり、半分ぐらいの曲は大きくデモの段階からアレンジが変わったりしましたね。そこは滝と僕のふたりで作業しながら、"これだ"って形を作っていきました。

-9mm以外でもふたりのコンビ作品はあるわけですが、それぞれの温度感はどう違うんですか?

キツネツキと9mmはもう比べるべくもないというか、9mmは曲があって歌詞があって、タイトル付けてって感じなんですけど、キツネツキはタイトルがあって、曲があって歌詞があってみたいな順番で、とかいろいろなんです(笑)。

-曲作りの楽しいトレーニングになりそうな。

そうですね。エクササイズというか、なまらないように。キツネツキをやること自体も、滝がステージの感覚を失わないようにするためではあったんです。ギターじゃなくて、ドラムで。それが次第にギターも弾くようになったりして、ちょっとずつリハビリの難しさが上がるというか。ただ、もはやそのステージの感覚を失わないようにしようというところを超えて、"これはとてもいいものだ"という(笑)。

-音楽をやるためのリハビリは音楽が一番いいってことなんですね。

うん。そうなんです。だから、滝は音楽で復活する人なんだなと。音楽に向かって何かをやることで、ちょっとずつ引っ張られていって、元気が出てきたから。

-ところで、配信でリリースされてた曲以外で早い時期にできていた曲というと?

「DEEP BLUE」ですね。「名もなきヒーロー」と「DEEP BLUE」が同じぐらい。今年の頭ぐらいにレコーディングが終わって、歌詞がその2曲が一番先にできてたんで。「DEEP BLUE」がそこでできたことで、アルバム・タイトルも"DEEP BLUE"にしようって決めることができました。

-初期のもうちょっと気負いのある感じに比べて素直な感じがしますが、"DEEP BLUE"ってタイトルは9mmっぽいと思います。

きれいなものっていうわけじゃなくて。"DEEP BLUEって綺麗な色だね"っていうのは歌詞にもあるんですけど、憂鬱なこととか悲しいこととかいろんな青い色を塗り重ねていって、その結果、黒になるんじゃなくて、それでも青をキープする、それがDEEP BLUEってことなんじゃないか、青春するってことなんじゃないか? っていう考えのもとに歌詞ができていったんで、書きながら"そういうことか!"って自分でも思ったんです。その頃まだ6曲ぐらいしか歌詞はできてなかったんですけど、そこにたぶん収束するというか、"これが受け止めてくれるぞ"と思ったんで、タイトルにしたんですよ。