Japanese
9mm Parabellum Bullet
2016年08月号掲載
Member:菅原 卓郎(Vo/Gt) かみじょうちひろ(Dr)
Interviewer:柴 那典
9mm Parabellum Bulletがリリースする8thシングル『インフェルノ』はTVアニメ"ベルセルク"のオープニング・テーマ。しかも、そのために書き下ろされた90秒完結のナンバーだ。熱血なメロディにも、ジェットコースターのように全力疾走で駆け抜ける曲調にも、9mmらしいエッジの鋭さが息づいている。先日には約3年ぶりの6thアルバム『Waltz on Life Line』を自主レーベル"Sazanga Records"からリリースし、新たな歩みを始めた彼ら。新曲について、"ベルセルク"について、そして全国ツアーについて、話を訊かせてもらった。
-「インフェルノ」(Track.1)はまず"ベルセルク"のタイアップの話をもらってから作り始めた曲なんですか?
菅原:そうですね。"オープニングをやらないか"という話があって、"じゃあやりましょう"って滝(善充/Gt)が作ってきたのが、この曲そのままだったんです。アニメのオープニング・テーマの尺で作ったもんだから、これを2回やって2番を作るのかなって思ってたんだけど、これで終わりだった。
-アニメのタイアップ曲では、89秒の尺を最初に作って、それができたあとに、フル尺の3分とか5分の曲になったというパターンはよく聞きます。
菅原:はい。でも、これで完成だから伸ばせないっていうのが滝の話だったんです。"これはこれ、先はない"って。
-"ベルセルク"のオープニング・テーマをやってくれという話が最初にきたときのみなさんの感触はどうだったんですか?
菅原:俺は漫画の"ベルセルク"を高校生のころから読んでいたので、"おぉ~"って思いましたね。それで、何度かアニメ化されてると思うんですけど、自分の好きな作品が映像化されるときに、自分が(テーマ・ソングを)やるなんて思わないじゃないですか。だから、話がきてすごく嬉しかったです。で、"ベルセルク"だったら9mm Parabellum Bullet(以下:9mm)はできるだろうなと思って。表現というか、音も歌詞もそんなに遠くないものがあるなと思ってたんで。そもそも好きだし。
-遠くないものがある、というのは?
菅原:曲とか歌詞の話になっちゃうんですけど、自分たちが書いてきた楽曲の中にも、"ベルセルク"の漫画を読んだときに感じるようなものがあるなって思うんですね。もともとそういうチャンネルもあるし、今回は"ベルセルク"のためだけというぐらいの気持ちで作ってるから、自分が今まで共鳴すると思っていた部分に手を伸ばしていけば、自然といいものになる予感があったんです。自然に書けるんじゃないかなって感じでした。
-なるほど。かみじょうさんも"ベルセルク"は通ってきてる?
かみじょう:学生時代にめちゃめちゃ読みましたね。大学、大学院ぐらいのときだったような。
-おふたりに改めて語ってもらえればと思うんですけれど、"ベルセルク"の作品の魅力はどういうところなんでしょう?
かみじょう:やっぱり、中世ヨーロッパの世界観にホラー要素もあって、"この先どうなっていくんだ"みたいな惹き込まれるシナリオがとてもうまいなと。それなりに人生を経験して、綺麗事だけで済まされないようなこともわかってる人が読むと面白いと思います。
菅原:主人公たちはすごく酷い過去を持っていたり、酷い目に遭ったり、そういうことをいろんな人物造形の中で描いていくんです。そもそもが過酷な時代なんですけど、物語の必然性の中でその過酷さがより強いものになっていく。ただ、悪意というか、暴力に遭うということが偽悪的じゃない感じがするんですよ。自業自得だと思える奴もいるし。この先どうなるんだろうっていう好奇心は湧くんだけど、"え? これって?"みたいな疑問が湧かない。あとはやっぱり絵がすごいですよね。最初から描き込みがすげぇなと思ってたんですけど、最近はもう、すごく精密で。どんどん進化している。そこも魅力だなと思いますね。
-ちなみに、おふたりがとりわけ気に入ってるキャラクターは?
菅原:いっぱいいるんですけど、髑髏の騎士が好きなんですよね。たぶん、あの人がなんで"髑髏の騎士"になったのかとか、魔女の師匠と古い知り合いだとか、"そもそもなんで復讐しようとしてんの?"とか、ずっと説明されないんじゃないかなと思うんですよ(笑)。そういうよくわかんないんだけど説得力のあるキャラクターがいることでこっちの好奇心が湧くというか。いつか全部を説明してくれるんじゃないかって思わせながら話が進んでいくのが熱いなと思って。あとはゾッドっていう奴もいて。主人公のガッツからしたらこいつは敵なんですけど。でもたまに一緒に戦ったりするんですよね。そもそもガッツはもはや人間じゃないんですけど、あのキャラクターが好きですね。
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前作から約3年ぶり、9作目となるフル・アルバム。ヘヴィなサウンドでガツンと攻める「Hourglass」に始まり、お祭り感のある「One More Time」に続いて、疾走感と爽やかなメロディに彩られた「All We Need Is Summer Day」と、アルバム冒頭からグイグイ引き込むキラー・チューンで畳み掛ける。9mm独特の、歌謡曲的な響きと和のテイスト、そして緊張感がバシバシ伝わる重厚なバンド・アンサンブルがきれいに交わって、アルバム全体で体感10分弱。THE ALFEEもビックリな暑苦しいメロディとコテコテのメタル、そこにオリエンタルなリフ、激しく手数の多いドラムと、情報量がとにかく多い。多様な活動や音楽表現に挑んできた彼らだからこそできた、説得力のあるアルバム。(山本 真由)
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9mmの音楽的探求と遊び心、そして涙しながら拳を突き上げたくなる自分なりの正義への肯定感が、すべてアップデートされた8thアルバム。滝 善充のギター・サウンドの新機軸は、「Beautiful Dreamer」のイントロで聴けるストリングスのような響き、複数曲で聴けるオルガンを思わせる新たなエフェクトや奏法だ。「名もなきヒーロー」のアンセム感、クランチなリフの塊感がライヴでの期待値を上げる「21g」、アコースティック・ギターとガット・ギターで編まれた「夏が続くから」、ジリジリと迫る恐怖感を伴う「Ice Cream」もあれば、9mm流ウェディング・ソングとも取れる「いつまでも」、ここから続くバンド・ストーリーを想起させる新録の「Carry On」など、全方位に開かれた12曲を収録。(石角 友香)
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結成15周年イヤーに放つシングルは、鍛え上げられたアンサンブルで疾走しつつ、マインドは温かでタフな9mm流の応援歌。滝 善充のギターを始め、シグネチャー・サウンドと言える音色がメンバーの人間性も表すが、カオティックなまでの超絶技巧や度肝を抜くフレーズはいったん横に置き、山あり谷ありのバンド・ヒストリーとファンの人生を繋ぐような、菅原卓郎(Vo/Gt)の飾らない歌詞がストレートに届く仕上がりに。"守りたいものにいつも/守られているんだね"という一節は特に心に響く。Track.2はZepp Sapporoで開催した"カオスの百年TOUR 2018"振替公演のライヴ音源を丸ごと収録。ここにも生きて再会するというバンドとファン、人間同士のリアルなストーリーが込められている。(石角 友香)
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"オルタナティヴ歌謡"を明確に標榜した、9mm Parabellum Bullet 菅原卓郎(Vo/Gt)のソロ・プロジェクト。デビュー時のプロデューサーであるいしわたり淳治が全作詞、滝 善充(9mm Parabellum Bullet/Gt)が全作曲を手掛けたという、期待を裏切らない菅原のための世界観が構築されている。中でも、往年のジャパニーズAOR風の表題曲は歌謡曲フレーバーとファンキーさが新鮮。また、全6曲のうち、道を踏み外しそうな危険な恋の歌半分、ピュアゆえに傷つきがちな恋の歌半分、男目線4、女目線2という歌詞の割り振りも絶妙。しかも滝印のギターも聴けるという、真剣な遊びが満載。玉置浩二や中田裕二の艶やかな色気とはまた違う、硬質で澄んだ色気とでも言うべき独自の存在感を放っている。(石角 友香)
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腕と指のリハビリ中の滝 善充(Gt)だが、表現欲求がアルバムに120パーセント投影されたのか? あるいは冷静にコンセプチュアルなアルバムを目指した結果、"滝 善充"が音像化したのかはわからないが、本作は全作曲からアレンジ、プロデュースまでほぼすべて滝が手掛け、菅原卓郎(Vo/Gt)が全作詞を手掛けている。全編、滝らしいクラシックのシンフォニーを思わせる荘厳なアンサンブルがバンド・サウンドに変換されていて、速弾き、タッピング、ギター・シンセ、クランチで高速なコード・カッティングなどが、9mm流のシンフォニーの軸にあり、もちろん各楽器も畳み掛けるようにアンサンブルを紡ぐ。旧約聖書のバベルの塔の神話は、神に逆らう人間が空に向けて塔を築いて破壊されるが、この作品は運命に逆らって生きる苦悩と歓びのプロセスを音像で表現しているような強度がある。(石角 友香)
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CMにしろ主題歌にしろ、タイアップというものは"お題"だと思っている。バンドやアーティストがそのテーマにどう応えるか。その枠組みの中で自分らしさをどう見せるか。そういう意味では今回の新曲は豪速球を真っ向から振りにいって全力で打ち返したような1曲。9mm Parabellum BulletとTVアニメ"ベルセルク"の世界観のハマりっぷりもさることながら、90秒一本勝負の曲展開もアニメ主題歌というフォーマットならではのもの。ただ単に尺が短いだけじゃなく、そこに様々な要素を詰め込み、急加速と急旋回がフックになっている。自ら発足した"劇団ナイアガラ"での活動も含め、アニメやボカロにもフィールドを広げる滝善充(Gt)の進化系を示す1曲でもある。 (柴 那典)
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3年待たされただけあって、3年ツアーができるほどバラエティに富み、強度もとてつもないアルバムが到着した。クアトロA-Sideシングルで明らかになった中村和彦の疾走感のある8ビートや、案外これまで形にしてこなかったギター・ロック・バンドの表現を前面に出した楽曲、ジャズから民話的な世界観まで意表を突きまくるかみじょうちひろの楽曲。しかも全員が曲を書くことプラス、4人が演奏者、アレンジャーとしてさらにイメージを高解像度で実現できる"音楽家としての筋トレ"みたいなものも実感。それは引き算した楽曲でも効果を上げている。9mmの音楽は人知れず決意や覚悟を促してくれるが、その"スイッチ=新曲"が10曲以上も増えたこの心強さ。もちろん滝の"らしい"楽曲、卓郎のリリシズムもさらに極まった。(石角 友香)
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9mmの日(9月9日)に今年はニュー・シングル、それもメンバ--四者四様のキャラが出た"クアトロA面シングル"という意思表明をする9mm。滝独特のエフェクティヴなフレーズが血を沸き立たせる「反逆のマーチ」。菅原による歌詞の潔さにも震える。そう、"愛でも勇気でも思い出させて"くれるのはやっぱり9mmだ。そして驚くほどストレートで速い8ビート「ダークホース」に見る、中村のロック・バンドの理想像。そして菅原作曲の「誰も知らない」は、こんな時代の信頼できる等身大のヒーロー像が「反逆のマーチ」だとしたら、その人間にも矛盾する内面があると告げる。そしてダークな世界観と跳ねるリズムが特徴的なかみじょうの「Mad Pierrot」の構成力。全体に音圧よりアンサンブルで聴かせるのも今の彼らの地力だろう。(石角 友香)
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すでに配信リリースされ、地上波の音楽番組でもプレイされ、もちろんツアーでも重要な位置を占める曲になった「生命のワルツ」。哀感に満ちたアコギのクラシカルなイントロで素の気持ちに導きつつ、新たな扉が開くように鋭いビートとリフが切り込んでくる瞬間の血が沸き立つ感じ。3拍子の大きなグルーヴを感じつつ、物理的には8分の6拍子のリズムそのものがシンフォニックな印象を与えるという、スラッシュ・メタルでありつつ、まったく違うジャンル感も同時に聴こえる独自性はリピートして聴く楽しさに満ちている。すべての楽器がパーカッシヴな「オマツリサワギニ」、滝のエフェクティヴなフレーズが不穏さを掻き立てる「EQ」と3曲のバランスも最強。完全生産限定Special Editionには"カオスの百年 vol.10"のライヴ映像も付属。(石角 友香)
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結成10周年記念、9mm Parabellum Bullet初のベスト・アルバム。Track.1「The World」の音像の、ある種の素朴さに驚くが、これは彼らが初期楽曲をライヴで演奏し、進化し続けていることの証明でもある。シングルとEPの表題をコンパイルしているだけに彼らの音楽に通底する"何かを変えたい""まだ気づいていない感情への刺激"の最も研ぎ澄まされ、キャッチーな部分が凝縮されている。そしてそのことに誇りを持っているバンドならではの堂々としたベスト・アルバムだ。そして実はこのバンドの本質を知るには初回限定生産盤(10周年盤)のみに付属するライヴ・テイク・ベスト『Selected Bullet Marks』。初ワンマンでのドシャメシャなカオスから2014年の日本武道館2daysまで、選びに選んだ20曲。バンドとオーディエンスが生み出す(大げさに言えば)生命力の底力に細胞が震える。(石角 友香)
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9mmも今年結成9周年である。彼らが、その爆発的なエモーションと卓越した演奏力を持ってシーンに登場した時の衝撃は記憶に新しいが、何よりも素晴らしいのは、9mm自身はそうした状況に留まらず、この数年間、ずっと自らの音楽を進化させ続けてきていることだ。このシングルにおいても、表題曲「Answer And Answer」は破壊力満点のサウンドと叙情的な歌謡メロディが融合した9mm節爆発のキラー・チューン、続く「Snow Plants」は歌を聴かせるリリカルなミディアム・バラード、最後の「Mr.Brainbuster」は1分少々だが存在感ありまくりのインスト・ハードコアと、自分たちの持ち前の魅力と飽くなき挑戦心を体現した3曲が並んでいる。このセンスとストイックさは、この国のシーンになくてはならないものだ。(天野 史彬)
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来年バンド結成9周年を迎える9mm Parabellum Bulletが、既にライヴでも披露している「ハートに火をつけて」を表題曲にした4曲入りシングルをドロップ。やわらかさと鋭さを兼ね揃える1分40分のラヴ・ソング「Scream For The Future」、カー・レースをモチーフにした歌詞とスリリングなアレンジが際立つ「R.I.N.O.」、メタル要素のある高速ドラムやギターが炸裂する「ラストラウンド」と、極限まで研ぎ澄まされた攻撃的なナンバーが揃う同作だが、特に際立つのは「ハートに火をつけて」。昭和歌謡風の哀愁漂うメロディが醸し出す魅惑のムードと、スカのリズムが絡み合い、菅原卓郎の歌に艶をさす。アニヴァーサリー・イヤーを控えるバンドの、最新型の熱情を感じることが出来る作品だ。(沖 さやこ)
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錚々たるメンバーが集結し、くるりの名曲をカヴァーした鶏びゅ~と・アルバム。それぞれが趣向をこらしたカヴァーを披露しているが、その中でも別次元の名演を披露しているのが松任谷由実「春風」。いっそのこと、シングル・カットしたらいいのに。トラディショナルなメロディ解釈が新鮮なハンバート・ハンバート「虹」も素晴らしい。9mm Parabellum Bullet の「青い空」は、原曲を知らなければ彼らのオリジナルだと言われても納得してしまいそうな出来映えだし、Andymori「 ロックンロール」もカッコイイ。曽我部恵一「さよならストレンジャー」の渋いフォーク・カヴァーも流石の味わい。あと、「言葉はさんかく こころは四角」での木村カエラの素朴な歌声が好きです。(佐々木 健治)
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