Japanese
9mm Parabellum Bullet
2014年05月号掲載
Writer 山口 智男
9mm Parabellum Bullet。この独特なバンド名を持った4人組の存在を、筆者が知ったのは2007年2月3日のことだった。
新木場STUDIO COASTで開催された"independence-D 2007"というイベントの"STREET ROCK DAY"を観に行き、そこで彼らのライヴにたまたま遭遇したのだった。正直、その時はパンクでもメタルでもない、何とも形容しがたい爆音を奏でる9mmの魅力を、筆者はいまひとつ掴みきれずにいたのだが、そんな筆者とは反対に、彼らのライヴを見ながら"かっこいい!かっこいい!"と興奮していた知人の様子は、今となっては懐かしい思い出だ。
振り返ってみると、2007年と言えば、激しすぎるライヴ・パフォーマンスによって、ライヴ・シーンを賑わせていた彼らがちょうど飛躍しようとしていた時期だったのだが、そういうバンドの勢いに気付けなかったなんて、今でも自分のボンクラさが恨めしい。その意味では、ちょっと苦い思い出でもあるわけだが、そんなことはここではどうでもいい。
その後、2007年10月にメジャー・デビューを飾った9mmは精力的なライヴ活動に加え、ハードコアもメタルも飲み込んだラウドロックなサウンドと時に歌謡を連想させるメロディの組み合わせとも言える、あまりにもユニークなサウンドが大歓迎され、ご存知のように、あれよあれよという間に日本のロック・シーンを代表する存在になっていった。そして、バンド結成10周年を迎えた今年2月、満を持して、彼らにとって初となる日本武道館2デイズ公演、10th Anniversary Live「O」/Live「E」を成功させたのだった。
その彼らが5月7日にリリースする『act O』と『act E』という2枚のDVDは、それぞれ2月7日(金) Live「O」と8日(土) Live「E」、彼らが日本武道館のステージで披露した2時間に及ぶ熱度満点のパフォーマンスを収録した作品だ(2つをカップリングした10,000セットの完全生産限定盤もあり)。因みにタイトルの「O」と「E」はodd(奇数)とeven(偶数)の意味。
メンバー4人によるドラム・バトル、「カモメ」と「黒い森の旅人」におけるストリングスとの共演、共に哀愁メロディが印象に残る「オマツリサワギニ」「EQ」という各日、初披露した新曲など、アニバーサリーにふさわしい演出も見どころには違いないが、何よりも複数のカメラを使い、ステージで熱演を繰り広げるメンバーに肉薄した臨場感溢れる映像を堪能したい。
チケットを入手できなかったとか、8日、関東地方を襲った大雪のせいで出かけられなかったとか、いろいろな事情で会場に足を運べなかったファンはもちろん、どちらか1日、あるいは2日とも足を運んだというファンもできるかぎり手に入れたほうがいい。なぜなら、ライヴを捉えた作品ながら、ここでしか見られないものがあるからだ。
圧巻はドラム・セットの後ろから客席を捉えた映像だ。満員のファンがバンドの10周年を祝福するという当日、メンバーがステージから見ていた輝きに満ちた景色を疑似体験できるのが堪らない。こんな素晴らしい景色を見ることができるというのも彼らがバンドを続ける理由のひとつなのではないだろうか。
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