Japanese
Cosmic Mauve
2025年08月号掲載
Member:Kota Nakayama(Vo/Gt)
Interviewer:石角 友香
音楽で世界を変えようというより、みんなで楽しく支え合っていこうって気持ちのほうが強い
-底抜けに明るいっていうよりは現実ももちろん知っている、肩肘張らないライフソングという感じがしました。
たしかに。Zucky自身、周りの人間を後ろから見てるどっしりとした性格だと思ってて。そういう視点があるからこそ、自分でいろいろと考えて不安とか課題を自分の中に落とし込んで人に優しく語り掛けるような曲を作っていて、いいなと思いますね。2番のAメロの"淡い街の上/降り注いだ雨は上がる"って歌詞の"上"にすごいこだわってて。僕が最初"色"って間違えちゃってたんですけど、絶対に"上"にしたいっていうふうに言ってたんです。Zuckyの中の世界は、すごいロマンチックで希望に満ち溢れてると思うんですよね、"雨は上がる"とか"君はまるで真夏の太陽"とか。でも、かと思ったら"時は思うより早く進んでいる"ってなんか不安を感じてるというか、そういうところがZuckyらしいなって思いますね。
-アルバムに向けて書いたNakayamaさんの新しい曲というと?
「ハイタイドサーフィン」、「ようこそ浜辺へ」、「避暑地の出来事」、あと最初の「The Theme from "Summer Brings You Good"」はアルバムを作る後半で、アルバムをしっかり意識して作った曲ですね。
-プロローグの1曲目から勢いがあるというか、アルバム序盤は"夏、海、どこかに行きたい!"みたいな感じがすごくあって。
半分ぐらいもうリリースしてる曲が入っていて、16ビートのシティ・ポップみたいな印象をすごい持たれてるなっていうなかで、例えば「ようこそ浜辺へ」はその中でもちょっとやってないような雰囲気、達郎さんのアルバム『BIG WAVE』や大滝詠一さんの雰囲気というか、ちょっとノリノリじゃない雰囲気をやってみたいなと思って書いたりしましたね。あと、SUMMER SALT等のインディーっぽい感じも意識して作ったのが「ようこそ浜辺へ」や「避暑地の出来事」なんですけど、海をもうちょっといろんな視点で見れたらなって考えたというか、視点が広がるような曲を作れたらなと思って作りました。
-12曲の中でも最後の「See ya!」は後半のサンバっぽい展開も新鮮でした。
メキシコにも行ったんですが、それを機にサルサとか、あとブラジルの音楽を聴くようになって、それはZuckyとも共有してるんですけど、そういうところがちょっとずつ出てきてるのかなと思います。
-なるほど。Nakayamaさんは自分のライフスタイルがあって、それを素直に出せる場所としてバンドがある感じですか?
そうですね。社会人になって、人生ってあとは結婚して子供が生まれて、子供の成長しか手放しで楽しいことってないかも? と思ったときに、海外に行くことと、他に何がしたいかな? って考えたらやっぱ音楽やりたいなと思って。音楽は自分が心から楽しめることなんだなと思ってます。
-音楽で何かを成し遂げたいっていうよりも、自分の人生のためにっていう?
そうですね。中学生の頃に曲を書き始めたときも"フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)"の映像を観て憧れたりしてたので、やっぱりそういう景色をバンドのみんなで見たいっていうのはありますけど、音楽で世界を変えようというよりは、みんなで楽しく支え合っていこうって気持ちのほうが強いかもしれない。
-他の遊びではなく、音楽に信用できるものがある感じ?
そうですね。ずっと心に残っている言葉があって、お母さんが一回話してくれたんですけど"Kotaが生まれたときにすごく嬉しくて、この世界には楽しいことがいっぱいあるからそれを全部教えてあげたいと思ったんだよね"みたいなことを言われてすっごい感動して。いろいろ海外に行ったり友達と遊んだりしてて、でも将来大丈夫かな? という不安もあったなかで、その言葉がすごく腑に落ちたんです。生活の根拠になったというか。それと同時に、もっとみんなにも共有してどんどんそういう経験をしてもらって、みんなで楽しく過ごせていけたらいいなと思って。例えば初めてレコーディングしたときとか、ライヴでお客さんの表情を見てすごい楽しくて、そういうことやってると、お母さんの言ってた"この世界には楽しいことがいっぱいある"というのが広がっているような気がして、僕にとって1つの活力として繋がっているところがあります。
-そういうNakayamaさんの資質があって、幼馴染が集まったことはバンドにとってすごく大きいことなのでは?
ほんとですね。そういう感覚的なところはみんなも共通してる感じがすごくしてて。強い意思を持つのも大事だけど、漠然としたものを言葉にせず大きくしていく、みたいな。時間とか物事に対する感覚を一緒に育んできていて、今集まったからこういうふうに楽しくバンドをやってるのかなと感じます。不安もありますけど、メンバーと分け合って、支え合って楽しくいられる感じもしますね。
-今一番必要なことな気がする。
ははは。ほんとですか?
-昨今、SNS上で喧嘩してる人ばかり見るので。
自分が言われてるように感じちゃうから寂しくなったりするんでしょうね。でも友達と会って音楽聴いたらやっぱり楽しくなるって昔から信じてるんで、僕等がそういう存在だったらいいなって思いますね。
-では最後に、サブスク時代の曲作りについてお聞きするのですが、Cosmic Mauveが何か意識してることはありますか?
正直、パパッて飛ばしちゃうような音楽が多いじゃないですか。だからイントロの衝撃はあったほうがいいなと思うんですけど、例えばカネコアヤノさんの最近のアルバムとかもすごく生々しくて、僕は音楽らしいと思うんです。TikTokも最近は逆に長い動画の再生回数が伸びやすくなってきたみたいなこと言いますけど、インスタントに情報を手に入れられるからこそ、より人間らしい生々しいものをみんな求めてるのかなってすごい感じてて。だから以前は長い曲を作っても短くしようと思ってたんですけど、逆にもっと物語みたいにどんどん景色が見えるような曲作りを考えたり、アルバムはやっぱり通して聴いてほしいと思うので、そういうことを意識して作ったり。特に物語とか景色がその人それぞれで見えるような音楽にしたいなっていうのを考えてますね。そういうところが僕たちなりの人間らしさなんじゃないかなと思っているので。
RELEASE INFORMATION
Cosmic Mauve
1st FULL ALBUM
『Summer Brings You Good』

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