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INTERVIEW

Japanese

chef's

2025年03月号掲載

chef's

Member:ヨシダ アヤナ(Vo/Gt) フルギヤ(Gt) 高田 真路(Ba) 吉島 伊吹(Dr)

Interviewer:石角 友香

-面白い!

高田:"Ci(n)der era"もnを抜くと"Cider era"で。歌詞の中に"弾け飛んだ時代"って言葉があるんですけど、nを取るとドリンクの"サイダー(Cider)"になるんですよね。で、"プルミエール"に関しては"エール"はビールでも言うのと、同時に"プルミエール"は舞台用語で初日って意味なんですけど、この曲はレーベルに入って最初の曲だったので、"初日"という言葉を使おうってところから来ていて。で、"洒落徒"は"酒"っていう字も入ってるし、"シャレード"っていう舞台用語もあるのでその2つを掛けてます。"ブランニュース"は"新しい(Brand new)"って言葉と"ニュース"、"ブラン"は"酒"みたいな感じで、全部お酒や飲み物から付けてます。まずここから決めてEPを作っていくっていうのが僕の作り方ですね。

-オーロラの頭文字がAじゃなくてOなのはそういうことなんですね。この曲はアレンジが果たしている部分も多いと思うんですけど、すごくミュージカルっぽい印象で。

高田:舞台のスポットライトと、スポットライトがぶれて広がる、ステージが明るくなる感じみたいなのはブラスしかり、アレンジで意識しましたね。

-このブラスはシンセ・ブラスじゃなくて生なんですか?

高田:これはシンセ・ブラスですね。僕が打ち込みました。

-しかも間奏から展開が変わるじゃないですか。フレージングや拍の取り方が現代ジャズっぽいのかな? と。

高田:あぁ、すごい。彼(フルギヤ)にはギターでオーロラ感を出してと課して、いぶ君にはこんなもん人は叩けないだろうっていうのを送りつけているつもりで、でもそれを伊吹君は毎回叩いてくるっていうね。この順番では人は動かないというのがなんとなく身体の構造上あって、それを何個も入れることによって、見たことのない動きをして快感を得るってレコーディング方法をしていて。特に2番に入ってからは1拍目が実は変わってて、それを人に探られないようにしなきゃいけないっていうドラムを叩くんですけど、それを見事やってのけてくれたんで、それがいい感じに現代ジャズというか、ちょっと面白い感じになってるのかなって気がします。

-吉島さんとフルギヤさんの性格やアプローチが真逆ぐらいの感じが面白いです。

高田:それは僕もすごく思います。

-全然違う人がいることによる面白さっていうか。

高田:攻めるフルギヤがいて、いい意味で聴かせるようにまとめてくれるのいぶ君、どんなジャンルにも合う声をしているアヤナさんがいて、僕の中ではもうこのバランスじゃなきゃ成り立たないなっていうのがあってやってます。

-それは高田さんに先見の明があったのか、だんだんそうなってきたのかどっちなんでしょうね。

フルギヤ:どうですかね。僕は誘われたとき高2とかだったんですけど、僕の1個上の先輩か僕で迷ってたらしくて、別に俺そんときそこそこ弾けましたけど......。

一同:(笑)

フルギヤ:その当時からしたら今のフレーズが出てくるとは思わない感じだったんで、先見の明があるんだと思います(笑)。

高田:当時はこんなに音楽の話してないんですけど、3人はまず何より人で選んでて。バンドは解散したら意味がない、一生続けたい、一生家族みたいなところが欲しいってのが僕の中にあるんです。僕が暴れてもいぶ君は僕より絶対まともだから止めてくれるし、フルギヤは今と全然違う音楽やってたんですけど、ギター・ソロを弾いてるときに彼だけ光ってたんですよね。"ギター・ソロまで待てよ。俺のギター・ソロがサビだからな"みたいな感じで弾いてて、僕はギター・ヒーローとか大好きなんで、自分に合うギタリストはフルギヤかなっていうのはそのときに見て思ってました。で、僕等男3人は超根暗なので、何よりも明るくて華があって、まぁ3人が消えてももうこの人でchef'sだろうってなるようなアヤナさん、というバランスだったんで、そこはちょっと予測しながら見てたかもしれないですね。

-やはり先見の明ですよ。ヨシダさんのヴォーカルに新鮮なところを感じたのが、技術の必要そうなフロウも多い「Ci(n)der era」で。

ヨシダ:今回の『thirsty flair』に入ってる「Ci(n)der era」は最近録音し直したやつで、最初録ったのは2年前ぐらいなんです。あんまりそっちの記憶はないんですけど、改めてまたレコーディングしてちゃんとしっかり歌ってみて、すごく難しいことしてるなっていうのはすごく思って。

フルギヤ:考えることが多かったと思う。たぶん「Ci(n)der era」に限らず、全体を通してリズムの跳ねを意識するとか、ただ歌うだけじゃなかったんだよね?

ヨシダ:そうだね。感覚をいろんなところに研ぎ澄ませて、跳ねるとか表情を考えるとか、そういうことにも意識を集中させた曲でした。「ourora」と「Ci(n)der era」と「洒落徒」の3曲も最近録って、頭を使って歌った曲だった気がします。

-「洒落徒」はリズムや歌の譜割りも面白いですが、歌詞の内容も全方位をディスってて。

高田:ディスってますね。

フルギヤ:今までそういった曲はなかったので面白かったですね。その歌のレコーディングしてるときに話を聞いてて。

高田:あんまりマイナスなことを普段口にしないので。実は1日で作ったんですよ。僕、期限がないと曲を作れない人間でして、これは期限があって、レコーディング3日前とかに"ちょっと作んなきゃなそろそろ。明後日レコーディングだし"と思って。この曲もリファレンスはちゃんとあったんですけど、ただそれ以上に身から出ると、やっぱこうなるんだな、がこの「洒落徒」だったかもしれないです。

-身から出たんですか。

フルギヤ:(笑)

高田:珍しく出すとしたらこんな感じになってしまうんだなと作ってから思いました。

-高田さんの曲作りの手法を聞いてきたので、改めてこういうことを聞くのもどうなのかと思うんですけど、今って皆さん単曲で聴くことが多いですが、この時代の曲作りをどう考えてますか?

高田:単曲を発売して、それをまとめればそれをEPという風潮には、僕は全面反対というか。頭から聴いてその人がどういう考えで作ったかが見えないんだったら、時間がもったいないから頭から聴かせるなよってのがあって。自分がそれを作りたくないから、曲順通りに聴いたときに意味があるっていうことにはすごくこだわっていますね。なので、単曲で聴いてもリードとして成り立っているみたいなところは、意識して作ってるかもしれないです。

RELEASE INFORMATION

chef's
NEW EP
『thirsty flair』
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[murffin Lab. / murffin discs]
2025.3.19 ON SALE
MDLB-0047/¥1,800(税込)