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INTERVIEW

Japanese

れん

 

れん

Interviewer:石角 友香

嘘は書いても歌えないので、本当に自分の中に溜まっているものを どれだけ抉り、探せるかだと思います


-ところで、これまでリリースしてきた楽曲の中で、ターニング・ポイントになってる曲ってありますか?

ターニング・ポイントは「最低」だと思います。

-ご自身ではこの曲がそれまでの曲よりも強さやフックがあったという自覚は?

自分個人的にも「最低」は気に入ってます。構成もAメロ、Bメロ、全部キャッチーだし。2番は、2A行ってDに行くんですけど、Bメロを省略することによって楽曲の伝わりやすさとか、くどくない感じとかもちゃんと考えてやれてたので、1年ちょっと音楽やれたことがやっと形になったというか。Spotify"RADAR: Early Noise 2023"に選ばれたこともそうですけど、音楽が好きで本当にたくさん聴いてる曲の中でも「最低」を"いいな"と思ってもらえたっていうのは、アーティストとして成長できたのかなと思うひとつのきっかけになりましたね。

-音楽的にもブラッシュアップされてましたね。

ありがとうございます。

-今年の"Early Noise"に選出される以前も、れんさんはSNS上ですでにファンダムを持っていたわけですが、"Early Noise"に選出されるとやっぱりまた違うものですか?

そうですね。知ってくれる人は目に見えて増えたなぁと感じます。プレイリストにセレクトされる機会も増え、そこから知ってくれる機会が多くなったのかなと思います。いろんなところから僕を知ってくれる人が増えたので、対バン・ライヴなどへお声掛けいただくことも増えました。

-今年の"Early Noise"アーティストに関するポッドキャスト("RADAR:Early Noise 2023 [Music+Talk Edition]")で、これまで横並びの人とまた違うアーティストたちと一緒に紹介されるので、そこでも興味を持ったんです。

嬉しいですね。

-今年の10組ってめちゃくちゃ面白いですね。

いや、すごいっす、普通に(笑)。たしかにそう考えるとすごいですよね。あんま考えてなかったですけど、やっぱ歴代"Early Noise"でもすごい人たちばっかりで。その中のひとりになれたのが、ひとつアーティストやれてるなかでいいことですよね。

-サブスク全盛時代だからと言って、それを意識して曲を作るということは考えてないとれんさんはおっしゃってた気がするんですが、自分らしさを踏まえたうえで、曲作りで気を使ってることはありますか?

嘘は書いても歌えないので、本当に自分の中に溜まっているものをどれだけ抉り、探せるかだと思います。普段意識してなくても"考えよう"となればいろいろ出てくるので、嘘を書かないようにしてます。言葉にはできないけど"訴えたい"みたいなところを僕は歌にしてますね。歌だから伝えられるものもあるかなと思うので、言葉にできない部分とか汚い部分とかを吐き出すような感じで曲にしてもいいのかなと。今作ってる曲は特にそうですね。

-5月31日に配信された新曲「フシアワセ」はさらに技が上がってきた感じが。

うん。「フシアワセ」はすごい未練というか、まぁずっとですけど。この曲は"君がいないと幸せになれない"、"君がいなきゃ幸せじゃない"っていうので"フシアワセ"なんですけど、ただの強がりですよね。もともとタイトルが"おかえり"っていう曲だったんですよ。でも"おかえり"っていう単語がまず検索ワードめちゃくちゃあるじゃないですか。なので、引っかかんないような単語で、できればそのへんの単語と差別化できるもので、カタカナ5文字のタイトルだとよりインパクトあるから、みたいな話をジャケ写とか作ってくれてるスタッフさんとしていて。"じゃあ「フシアワセ」いいかも"っていうのが秒で思いついて"フシアワセ"になりました。

-だとするとそれは現代的というか、サブスク時代ならではのタイトルの付け方ですね。

たしかにそうですね。YouTubeで言うサムネイルみたいな。ジャケ写もそうですけど。入りでいかに食いつかせられるか? みたいなところはサブスク時代のアレなんじゃないですかね。考えてないようで考えてましたね、当たり前のように。

-れんさんはよく"共感性"ということをおっしゃるんですけど、共感性っていうような柔らかいものではなくて毎回結構グサグサくるんですよ。

ははは! グサグサきます? あぁ、良かったです(笑)。

-自分はこんなに悲しかったりとか未練があったりつらかったりするけど、この気持ちってなんなんだろう? 自分だけなのかな? と思ってるはずで、それが毎回表現されてるので。

でもよく言われますね、"れん君の歌詞って包み隠さずストレートだよね"みたいな。"ストレート・パンチの連続だよね"って。だから刺さる人には刺さるし、ってとこなんですかね。さっき言った嘘を書けないっていうのに繋がりますけど、たぶん言葉、歌詞って、包み込まなくていいものだと思ってるので。だからきっとそれが刺さってくれているんでしょう(笑)。

-新曲もまたグサグサくるんだろうなって覚悟して聴いてました(笑)。

(笑)それは嬉しいです。10代とかだけじゃなくて、いろんな世代の人にそうやって評価してもらえるのはすごい嬉しいですね。ライヴにも70代の人とかも来てくれたりして、そういう人にも気に入って好きって言ってもらえるような曲を作れてるんだなと、制作のモチベーションにもなりますし、ライヴやりたいなぁっていうモチベーションにもなるので。SNS時代のデメリットもありますけど、そういうメリットもありますよね。いろんな人が直接本人に声を掛けられるし、メッセージ送れるしっていうのはいいことだなと思います。