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INTERVIEW

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古坂大魔王

古坂大魔王

Interviewer:岡本 貴之

-デジタル・ロックやアイドル、アニソンっていう打ち込み系の音楽がある一方、生音のロック・バンドに関してはどうでしょう。どうやって発信していったらいいですかね?

う~ん......これ、逆にみんなどうしてるんですかね? 生音って、最初に言ったように1,000年前に戻ってる気がするので、ライヴだと最高だと思うんですよ。やっぱりライヴの生音には勝てないです。僕らはどんだけ打ち込みをしても、結局本番ではボタンを"ポン"と押すだけなので。バンドって、ライヴだと演奏しているダンスがつくんですよね。当たり前ですけど、"ジャーン"っていう音が振付とリンクしているので、絶対盛り上がるんですよ。だからライヴではバンドには敵わない。現代のオーケストラですよね。問題はそのオーケストラのレコーディング、特にドラムなんです。ギターとかベースは音を鳴らさなくても内部アンプでいくらでもいけちゃうと思うんですけど、ドラムはやっぱり本気でぶっ叩かないと出ない音がありますからね。それをみんなお金をかけてスタジオを借りてやってるんですかね。ドラマーが叩いたドラムって、全部ズレているんですよ。でもそのズレがかっこいいんですよね。だから、ドラムは絶対生で録音した方がいいと思います。

-ロック・バンドがその魅力をちゃんとパッケージする方法には、もっと研究の余地がある?

相当あると思います。それに、ドラマーは絶対いなくなってほしくないです。今、ドラマーがどんどん辞めてるんですよ。"打ち込みでいいじゃん"っていう考えになってるんで。iPhoneで音源を聴いたりするぶんには、打ち込みでもいいんです。でも、やっぱり爆音で聴いたりとか何十回も聴き始めたりすると違います。若い子たちが"昔の音っていいよね"っていうのは、やっぱりクオリティが高いからですよね。松田聖子の曲とか最近よく流れますけど、オート・チューンっていう声を直す機械がなかったのに、あんなに上手いじゃないですか?リズムもすべて生で叩いているわけで、すごくズレてリズムもバラバラなんだけど、それがいいなって。そういう分析ができているからこそ、今バンドは絶対打ち込みを使わない方がいいと思うんですよね。だから、ライヴをやって金を貯めていい音をレコーディングするっていう。そういう意味ではこの"BIG UP!"は、ライヴ音源を配信してもいいと思うんですよ。

-なるほど、たしかにそれでもいいですよね。

そうなんですよ。実際、SEX PISTOLSとかもライヴ音源の方が有名だったりして、ジャズに関して言えばライヴ音源しかないわけじゃないですか? バンドの生き抜く術はそこかなって思うんですよね。ライヴ音源を公式音源にする世の中になってもいいような気がします。

-昔はRCサクセションみたいにライヴ音源からブレイクしたバンドもいましたもんね。

そうですよね? あれって公式音源ですもんね。僕はロックに詳しくないけど、ライヴハウスで何点かマイクで録った音でいいと思います。実際、今バンドで有名になった人でYouTubeから出てきている人は全部ライヴ音源ですからね。あとは、そのライヴ音源を、できるならばプロにマスタリングしてもらう。"BIG UP!"はマスタリングをガチガチのプロの方がやってくれるので、これは利用した方がいいですよね。わかりやすく言うと、ボリュームが上がるんですよね。ロックだって言ってても、聴いててジャニーズとかAKB48の曲よりボリュームが下がると、ちょっと嫌じゃないですか。ジャニーズの音って超いいですから。そこと同じくらいの音が出せるっていうのは結構なテクニックなんですよ。一般の人はジャニーズとかAKB48の音と比べていいってなかなかできないので、それもやってくれるってなかなかないですからね。ロック・バンドはそこらへんは"BIG UP!"のサービスに任せて、なるべくライヴに近い音源を作るのが、いいんじゃないかと僕は思います。


自己満足でもいいんですよ。でも、すげぇこだわってほしいですね


-映像についてもおうかがいしたいのですが、ピコ太郎が世界でブレイクするうえで、ヴィジュアル面でのインパクトが非常に大きかったと思うのですが。

もう、8割ですね。世界を回って一番言われるのは"なんでその服装なんだ?"っていうことなので。

-あのビジュアルのインパクトを最大限に生かすために、常に背景は白なんですか。

そのとおりです。それと、表情が見えないとだめなんでアップ多めという。全体と表情っていうのをなるべく分けたんです。だから"何を見せたいか"をまず決めた方がいいと思うんですよ。それは正直に言った方がいいと思います。例えばバンドだったら"俺は顔を見せたいんだ"っていう人は、顔を見せた方がいいです。"ギターを見せたいんだ"っていう人は、ギターを見せた方がいいです。全員でバランスをとるのは大事なんですけど、自己満足でもいいんですよ。でも、すげぇこだわってほしいですね。映像はどうしても人にやってもらうと、"あぁ、これでOKです"ってなっちゃうんで、やるんだったらもう文句を永久に言い続けられるような人を見つけるか、自分でやるかだと僕は思いますね。映像は本当にこだわらないと。「PPAP」って、自分でソフトを買って、あのPVを作るまでに勝手にプロデュースした女の子のPVを自分で作って、勉強しつつようやく「PPAP」のPVができて。ものすごく時間かかったんですよ、あれ。作ったあと、編集し直して10何回目なんですよ。本当に自分で1コマ1コマ作ったんです。だから、あれが流行ろうと流行らなかろうと、もう十分だったんですよ。だから流行ったときに"あぁ、あそこまでこだわってやったからかな"って思ったんですけどね。

-最後に、"BIG UP!"を使って自分の作品を世の中に発信してみたい、という人たちにメッセージをお願いします!

"すごくハードルの高いことをするんですよ"というのと、"どうでもいいんですよ"っていう、2点ですね。とりあえずやってみて失敗してみるのがいいと思います。まずやってみてください。やってみたら周りになんの反応もないことに気づくので。それで、"どうすれば反応が出るんだろう?"っていうのを精査していくのが一番いいです。1回やっただけで"やっぱり俺ダメだな"って思うのはやめましょう。やってから修正していくっていう感じにすればいいので、まずやってみた方がいい。ただ、ものすごくこだわるっていう意識を持った方がいいです。だから、"まずやってみて、プラス、ものすごく勉強する"っていうことをすれば、きっとたくさんの人に見てもらえると思います。