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INTERVIEW

Japanese

betcover!!

 

betcover!!

Interviewer:TAISHI IWAMI

-海外や国内も含め、ヒップホップの動きはどう思います?

それを見ちゃうとバンドはダサいなって。でもバンドって本来はすごくカッコいいもの。というか、そもそもカッコいいものにジャンルも何もない。それを証明したのがヒップホップだと思うんです。言いたいことを言うとか、カテゴリーにとらわれないとか、精神的な部分がはっきりしてるから、ちゃんとカルチャーを生み出せてる。

-ヒップホップたるを踏襲するアーティスト、既存のカテゴリーを塗り替えて、もはやヒップホップやラッパーという呼称すら取っ払い、新たな確固たる価値観を示すアーティスト。すごく自由で豊かですよね。

要するに、今の日本にあるバンド・シーンがダサいだけなんですよ。だから、クロスオーバーが当たり前である今の時代に"これがロックだ"って掲げるのもセンスのないことなのかもしれないですけど、あえてそれくらい強く言ってもいいと思うんです。

-クロスオーバーなんて、今や単にそれだけじゃなんの評価軸にもならない。そういう意味で、国内のロックは時計が止まったところから評価されることが多い。伝える側が遅れてるせいで、孤立してる部分もあると思います。だから、もっと自由なロックを提唱することは大切かと。

そう思います。僕の音楽だってそう。2010年代のシティ・ポップ文脈で語られるのはわかるんです。けど、内包しているものまで見ろよって思います。僕にそれだけの魅力がないなら仕方ないけど。こういう状況って、それぞれが、それぞれの立ち位置から爆発しないと変わらない。みんなが言いたいことを言い合って議論できる環境を作ることが大切だと思います。

-betcover!!の音楽は、シティ・ポップだと思って聴いていたら寝首を刈られる感じ、ありますよね。内包というより、もう出てる。そこは既存の言葉で言うと"パンク"なのかなと。

はい、パンクです。本当はパンク・バンドでベースを弾きたいと思ってますから。でも、そのまんまパンクをやっちゃうと、今の時代その世界の外には伝わらない。だから広くバンドやポップスのフィールドでやった方がいいと思ってるんです。シティ・ポップと言われても全然構わない。実際に聴いてくれたら何か感じてもらえると思う。別にカウンターがファッション化したっていい。SEX PISTOLSのころもそうだったと思うんです。

-聴く側に、本物志向を押しつけることこそ文化を閉ざしますからね。

ヒップホップや海外のポップスがそうであるように、何かに対するディスが否定されているわけじゃない。さっきおっしゃったように、ヒップホップとロックの融合、あらゆるジャンルのクロスオーバーなんて当たり前のこと。なのに、日本のロック・シーンは言いたいことを言っちゃダメな空気があるって、変ですよね。あえて分けるなら、ヒップホップはライフ・スタイル、ロックは理想主義じゃないですか。そこがロックのカッコいいところでもあるのに、理想の見せ方が根本的に違う。だから、ロックならではの詩的な表現は残しつつ、ヒップホップのように生活に結びつけて、言いたいことを言うのが一番今っぽいように思います。

-言わないという選択や、オブラート的にぼかすという選択がかゆく感じることもよくあります。そういうお気持ちは、「海豚少年」と「ゆめみちゃった」にはどう表れていますか?

とか言いながら、この2曲はわりとぼかしちゃってるかも。レコーディングしてるときって楽しくてワクワクしてるから、その空気感が詰め込まれていればオッケー、みたいなところがあって......。もうちょっと強い主張を込めなきゃって、今思いました。

-出てきたものをそのまま、頭で考えることを選択しない新しさやカオス。そういう熱い衝動を感じたんですけど。

曲に主張がないというか、内面的すぎるような気がします。もっと外側に向いて発しないとなって。でも、そういう意味で「海豚少年」はこれまでで最もポップな曲でもあります。それこそ今まではやってこなかった、サビみたいなものも意識的に作りましたし。CAR SEAT HEADRESTの「Something Soon」っぽい感じを参考にしつつ、そこにジャズの要素も入れたりして。その流れで、次のフル・アルバムはもっと外側に向いたエネルギーのあるものを作りたいですね。まだそういう曲はできてないですけど。

-「ゆめみちゃった」はどうですか?

音の広がりという意味では、もうちょっと攻めたかったです。でもこれくらいの方が受け取りやすいような気もします。

-曲の展開が癖になりますよね。イントロから歌に入るまでは、引っ張りの境地。

あれはもろにKING TUBBYからの影響です。ヴォーカルがやっと入ってきたと思ったら、リズムがふっと消える。そういうユーモアはどこかに入れたいんですよね。その、やり方がKING TUBBY そのまんますぎて、レコーディング中もエンジニアさんとずっと笑ってて。そういうテンションの上がり方を詰め込んだようなユーモア。ノリ的な笑いじゃなくて。

-ユーモアとポップ。次のアルバムをとても楽しみにしてます。

次はいわゆるJ-POP的なフォーマットで曲を作って、これまで1曲で展開してきたことをアルバム1枚でやろうかな、とか考えたりもしてます。聴いてくれる人やお客さんに寄ることが悪いとは思わないですし。天の邪鬼だから、評価されて期待されたこととは別のことをしたいっていう気持ちもありますけど。